トップ
>
終
>
しまい
ふりがな文庫
“
終
(
しまい
)” の例文
そうして
終
(
しまい
)
には店が引けると直ぐに帰って参るようになりました。お蔭で意見一つ申上げないのに主人の身持が直ったのでございます
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
で、
終
(
しまい
)
には、親の世話になるのも自由を拘束されるんだというので、全く其の手を離れて独立独行で勉強しようというつもりになった。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そこをヘツリながら登るので、ヘエヅル山の称が起り、
終
(
しまい
)
に景鶴山となったのであるというのが臆測を
逞
(
たくましう
)
して到達した私の結論である。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
終
(
しまい
)
には御不興を受けたようであったが、どうぞすべての失礼を許してくれ、母としての自分の切な心を
汲
(
く
)
んでくれ、と書いてよこした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
終
(
しまい
)
には歯をきしるようなお調子で「お許し下さい! お許し下さい!」と叫ぶのがいかにも異常なので、ツイお傍へ飛んでまいりました。
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
▼ もっと見る
旦那もう
帰国
(
けえり
)
ますか。この二人は主従と見えたり。「ああしてしまえば東京に用事は無いのだ。今日の
終
(
しまい
)
汽車で
帰国
(
かえる
)
としようよ。 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
滅多に手荒なことをしたことのなかった父親をして、
終
(
しまい
)
にお島の
頭髪
(
たぶさ
)
を
掴
(
つか
)
んで、彼女をそこに
捻伏
(
ねじふ
)
せて
打
(
ぶち
)
のめすような憤怒を激発せしめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私も「どうして斯様な女が、そう好いのだろう?」と少し自分でも不思議になって、
終
(
しまい
)
には浅間しく思うことさえもあった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
春の水に浮んでいる一
艘
(
そう
)
の舟が水上を
漕
(
こ
)
いで行くと、その水面に起った波動が
終
(
しまい
)
に岸まで及んで、その岸根をちゃぶちゃぶと打つというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その喰うや喰わずの生活も出来なくなって
終
(
しまい
)
にまる一日、何も口にしないような日が続いた、そのある日のこと……。
自殺を買う話
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
刻々に黄色な空が減じて
終
(
しまい
)
には一直線となって、はっきりと地平線から
此方
(
こちら
)
を覗き込んでいる。それが厭らしい細長い眼付で笑っているように思われた。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
スヰントンの
万国史
(
ばんこくし
)
は中学などで使っているが、あれさえ
始
(
はじめ
)
から
終
(
しまい
)
までスッカリ分る中学の教師はないと思う。
今世風の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
なんて
瞞
(
ごま
)
かし込み、
宜
(
い
)
い程に挨拶を致し、
終
(
しまい
)
には何かお
遣物
(
つかいもの
)
をしよう、何を遣ったら宜かろう、
八崎
(
はっさき
)
から幸い
好
(
よ
)
い鮎が来たから贈りたいものだと云うので
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こういうことがたびたびあって、
終
(
しまい
)
には字を書いてくれという人さえ無くなった。そこで日々の暮しにも差支え、ある場合には盗みをしないではいられなくなった。
孔乙己
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
泣いている内に、頭が熱して来て、
終
(
しまい
)
には、悲しさも口惜しさもなく、ただ
無暗
(
むやみ
)
と涙が出て来た。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それを石でコツーンと力に任せて打ちひょろひょろと転げてはまた起ち上って打つ事は幾度か知れません、打ち付けて、
終
(
しまい
)
に石を投げ附けて、ひょろひょろと元の処へ戻ってきて
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
おれは
焦
(
せ
)
っ
勝
(
か
)
ちな性分だから、こんな長くて、分りにくい手紙は、五円やるから読んでくれと頼まれても断わるのだが、この時ばかりは
真面目
(
まじめ
)
になって、
始
(
はじめ
)
から
終
(
しまい
)
まで読み通した。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クシベシは心の
中
(
うち
)
で、ここへ六俵積んで、それからあそこへ又十俵ばかり積んで、それからどこへ積むのか知らと見ておりますと、俵は六俵積み上げられただけで、それで
終
(
しまい
)
と見えまして
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
深沢深は幾度かそれを迎え討つように、気違い染みた演奏を続けましたが、
終
(
しまい
)
には朗々と場内一パイに響き渡るバッハの音楽に圧倒されて、指を休めたまま
凝
(
じ
)
っと聴き入る外はなかったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後の一週間は、子供の側に居るのもこれぎりか、なんと思って復た起きてる……
終
(
しまい
)
には、半分眠りながら看護をしていましたよ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
後は御存じの通り、空を飛ぶような心持で、足も地につかず、夢中で手を
曳合
(
ひきあ
)
って
駈出
(
かけだ
)
した処を、あっと云う間もなく、
終
(
しまい
)
汽車で
刎飛
(
はねと
)
ばされた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
終
(
しまい
)
に工賃の滞っているために、身動きもできなくなって来た職人と、
店頭
(
みせさき
)
へ将棋盤などを持出していた小野田の、それにも気乗がしなくなって来ると
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
雨が降って外へ出られないから、
乃公達
(
おれたち
)
はお父さんの書斎で五目
列
(
なら
)
べや挾み将棋をして音なしく遊んだ。
終
(
しまい
)
に清が財産差押ごっこをしようといい出した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と云われるのが嬉しく思いまして、しげ/\通いましたが、又市も馬鹿でない男でございますから、
終
(
しまい
)
には癇癪を
発
(
おこ
)
して、
藤助
(
とうすけ
)
という
若者
(
わかいもの
)
を呼んで居ります。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若い者と違って、別段に冷かすなどという風もなく、そういうことにも言い馴れた、という風に、初めから
終
(
しまい
)
まで同じような句調で、落着き払って、柔らかに言う。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
我より先きにこの道に遊んでいたものは子供で、それは五形花を
摘
(
つ
)
んで束にして遊んでいたのが、
終
(
しまい
)
に
飽
(
あ
)
いてかく地上に棄てて去ってしまったものであろうというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
このお
温習
(
さらい
)
程私の嫌いな事はなかったが、之をしないと、
直
(
じき
)
ポチを
棄
(
すて
)
ると言われるのが辛いので、渋々内へ入って、
形
(
かた
)
の如く本を取出し、少し
許
(
ばかり
)
おんにょごおんにょごと
行
(
や
)
る。それでお
終
(
しまい
)
だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
終
(
しまい
)
には外界の刺戟は鋭く感覚に上って来なくなるのは明かな事実である。
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
終
(
しまい
)
には子供を召使いに預けて、自分一人で毎日のように出かけて行くようになりました。そうなって来ると、今までは何とも思わなかった自分の美しいと云う評判が、
嬉
(
うれ
)
しく思われて来たのです。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
終
(
しまい
)
にはコロボックンクルは泣き出しました。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
そして自ら
嘲
(
あざけ
)
るように笑って、
終
(
しまい
)
にはもう腹を
抱
(
かか
)
えて
転
(
ころ
)
げるほど笑ったかと思うと、悲しげな涙がその後からさめざめと流れた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
乃公が
終
(
しまい
)
に小刀を
投
(
ほう
)
り出して、つうつうと血の
唾
(
つばき
)
を吐いたら、二人は「ざまあ見やがれ」と言って逃げ出した。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また
小児
(
こども
)
たちも、手毬が下手になったので、
終
(
しまい
)
まで突き得ないから、自然長いのは半分ほどで消えています。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
作は親のことを言出されると、時々ぽろぽろ涙を流していたものだが、
終
(
しまい
)
にはえへへと笑って聞いていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
抵当に入れた
田地家蔵
(
でんじいえくら
)
は人に取られ、身代限りをして江戸へ来ても馴染がねえから、何をしても損をしたんだよ、貧乏の苦労をするせいか、とうとう
終
(
しまい
)
に眼は
潰
(
つぶ
)
れ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、
終
(
しまい
)
に怪しんで問うまで、長い間、黙って
凝視
(
みつ
)
めていた。それ故文句も、一字一句覚えている。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
一つは夜涼みなどをして
終
(
しまい
)
に人の寝る位までの間、即ち夕暮から十時
乃至
(
ないし
)
十二時位までの間をいうので、次はどことなく白みかけて早や明けかけたという時分、即ち三時から四、五時頃の間
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
終
(
しまい
)
には
盗賊
(
どろぼう
)
だって関わないとまで思った。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
次第に
掻口説
(
かきくど
)
くような調子を帯びた。お倉の癖で、枝に枝がさして、
終
(
しまい
)
には肝心の言おうとすることが
対手
(
あいて
)
に分らないほど
混雑
(
こんがら
)
かって来た。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
三時少し過ぎなれば、
終
(
しまい
)
汽車にはまだ
時間
(
ひま
)
あり。
一度
(
ひとたび
)
病院へ取って返して、病人本間の様子を見舞い、身支度して出直さんと本郷に帰りけるに、早警官等は引取りつ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼
(
あ
)
れは三浦三崎の百姓を斬ると申すので、
私
(
わたくし
)
も仲へ這入って事柄を聞きますると、斬る程のことでもないゆえ、
猶
(
な
)
お色々と扱いますると、
終
(
しまい
)
には
私
(
わたくし
)
をも斬ると申すので
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もう
直
(
じ
)
きに暑中休暇になる。忠公は夏中は避暑に行くんだそうだ。
休暇
(
やすみ
)
になって毎日乃公と遊ぶと
終
(
しまい
)
には何んな怪我をするかも知れないから成る丈け早く海岸へ行くんだと言った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
姑
(
しゅうとめ
)
と嫁とが一緒に成って、国の方の話を始めると、
必
(
きっ
)
と
終
(
しまい
)
には両方で泣いて了う。二人は互に顔を合せているのも
苦
(
くるし
)
かった。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼是
(
あれこれ
)
と考えると蝋燭の
心
(
しん
)
のたつ様で、
終
(
しまい
)
にゃア
桂庵婆
(
けいあんばゞあ
)
に
追遣
(
おいつか
)
われるように成るだろうと
大抵
(
てえ/\
)
心配さ、愚痴をいうようだがお
前
(
まえ
)
の身が
定
(
さだま
)
らないではと
極
(
きま
)
りを付けようと思っても
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
終
(
しまい
)
にゃ、き様、お伴をするだろう、
懸
(
かか
)
りつけの
医師
(
いしゃ
)
はどこだ、とお尋ねなさいましたっけ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その日も、親指を出したり、小指を出したり、
終
(
しまい
)
に額のところへ角を
生
(
はや
)
す真似をしたりして、世間話を伝えながら笑った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
相応
(
そうおう
)
に
流行
(
はや
)
って、
薬取
(
くすりとり
)
も多いから、
手間取
(
てまど
)
るのが
焦
(
じれ
)
ったさに、始終
行
(
ゆ
)
くので見覚えて、私がその
抽斗
(
ひきだし
)
を抜いて五つも六つも薬局の机に並べて
遣
(
や
)
る、
終
(
しまい
)
には、
先方
(
さき
)
の手を待たないで
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
冗談は大概におしよと云って居りましたら、
終
(
しまい
)
には
甚
(
ひど
)
く酔って来まして、短かいのを抜いて、いう事を聞かなければ是だと
嚇
(
おど
)
し始めましたから、私も
勃然
(
むっ
)
として、大概におしなさい
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何とも物は仰いませんでしたけれど、御顔を見ているうちに、美しい
朱唇
(
くちびる
)
が
曲
(
ゆが
)
んで来て、
終
(
しまい
)
に
微笑
(
にっこりわらい
)
になって了いました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
終
(
しまい
)
には増長して家の金を持出して遊びに出て、小瀧に
入上
(
いれあげ
)
て仕舞いますので、追々借財が出来ましたが、親父は八ヶましいから女房のおくのが内々で亭主の借金の尻を
償
(
つぐの
)
って置きます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“終”を含む語句
始終
終夜
終日
臨終
終局
最終
終焉
終始
終了
始中終
終末
終宵
終幕
命終
末始終
終生
初中終
終身
終極
一部始終
...