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そろばん
ふりがな文庫
“
算盤
(
そろばん
)” の例文
一年と二年とはどうやら無事で、
算盤
(
そろばん
)
の下手な担任教師が斉藤平大の通信簿の点数の勘定を間違った
為
(
ため
)
に首尾よく卒業いたしました。
革トランク
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
向うの帳場格子の中には人が三人ほどいたが、
算盤
(
そろばん
)
をはじいたり帳面を繰ったりするだけで、誰もこっちの相手にはなって
呉
(
く
)
れない。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まともに
算盤
(
そろばん
)
を取られると、向う一ヶ年位は、一銭の月給も受取れないことになって居るという、驚く
可
(
べ
)
き事実を発見するでしょう。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僧衣の中で、指が
算盤
(
そろばん
)
をはじいていた。お松達は、一層親切に待遇された。信者達は「小母さん」の存在を聖母の位に迄引き上げた。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
この先もう一苦労してもいい相手だから、ずいぶん
安値
(
やす
)
いものにつくが……などと彼の頭はやはり、
算盤
(
そろばん
)
とは縁が断ち切れなかった。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
何だ銀行へ
這入
(
はい
)
って
算盤
(
そろばん
)
なんかパチパチ云わすなんて馬鹿があるもんかと、こうでございますから頭から相談にも何にもなりません。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一日の売揚の勘定が始まる頃には、真勢さんをはじめ、新どん、吉どんなどの主な若手が、
各自
(
めいめい
)
算盤
(
そろばん
)
を手にして帳場の左右に集った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
でも最前までは
算盤
(
そろばん
)
責めの拷問かとなんとも言えない烈しい痛みだった腰から下が、もう今ではなんの感覚もなくなってしまっていた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
そして不思議なことには
斯
(
こ
)
ういう羽目になるにつれ、国太郎の大ふうは、ますます増長して、損得の
算盤
(
そろばん
)
からは遠ざかって行った。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
兒童出席簿と睨み合をし乍ら
算盤
(
そろばん
)
の珠をさしたり
減
(
ひ
)
いたり、過去一ヶ月間に於ける兒童各自の出缺席から、其總數、其歩合を計算して
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
耳に
挟
(
はさ
)
んだ筆をとると、さらさらと
帖面
(
ちょうめん
)
の上を走らせ、やがて、それを口にくわえて
算盤
(
そろばん
)
を
弾
(
はじ
)
くその姿がいかにもかいがいしく見えた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
長屋の連中のことだから、
算盤
(
そろばん
)
絞りかなにかの白木綿の三尺——一同それをといて、つなぎ合わせてみたところで、長さはしれている。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
或るうら/\と晴れた日の事、眠くなるような午後の授業が済んで墨だらけの手に
算盤
(
そろばん
)
を抱えながら学校の門を出ようとすると
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
過ち易きは、人のみち、
算盤
(
そろばん
)
の珠。迷ひ易きは、
女衒
(
ぜげん
)
の口、恋のみち、謎、手品、本郷の西片町、ほれぼれと惚れてだまされたるかなし。
第二真珠抄
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お茶を持つて店へ出て来た晴代も見てゐる前で、木山は
連
(
しき
)
りに
算盤
(
そろばん
)
をぱちぱちやりながら、親方に
謀
(
はか
)
つてゐたが、総てはオ・ケであつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
尾佐竹氏の『幕末外交物語』によると生麦事件に関して英国議会では開戦は
算盤
(
そろばん
)
に合わないといった趣旨の演説がなされている。
尊攘戦略史
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
算盤
(
そろばん
)
を弾きながら、お文が向うむいたまゝで言つたのと、殆んど同時に、総てを心得てゐる雇女は、濡れ縁から下を覗き込んで
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ヂューヂャが
算盤
(
そろばん
)
を抱えて家から出て来る。そして昇り段に腰を下ろして、泊りと燕麦と水飼い賃は幾らになるかと勘定しだす。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「しかし現在、そうした売買になってるのだから。あなた今開墾費とおっしゃったが、こうっと、お前ひとつ
算盤
(
そろばん
)
をおいてみろ」
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
帆足先生と云えば中々
大儒
(
だいじゅ
)
でありながら数学を
悦
(
よろこ
)
び、先生の説に、鉄砲と
算盤
(
そろばん
)
は士流の重んずべきものである、その算盤を
小役人
(
こやくにん
)
に任せ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「しっかりやるにも何にも、小学程度の読み書き
算盤
(
そろばん
)
丈けですから、策の施しようがないんです。あれでは俸給も
廉
(
やす
)
い筈ですな」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
金と
算盤
(
そろばん
)
のほかには目の無い若造だと知りつつも、悪い気持はしないで、かえってまた、多少の昔懐かしいものさえ湧いて来て歓迎する。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これは一
場
(
じょう
)
の笑話であるが、
活世界
(
かつせかい
)
においては、あからさまにいわなくとも、胸中ではこういう
算盤
(
そろばん
)
を
採
(
と
)
るものがたくさんある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
算盤
(
そろばん
)
ずくで商売している者からは……星岡は道のために努力をしているのだが、自分でいうのは変だが、こんなのはどこにもありませんよ。
美味放談
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
それ
故
(
ゆえ
)
遊ぶ度々の
玉祝儀
(
ぎょくしゅうぎ
)
待合の席料から盆暮の
物入
(
ものいり
)
までを
算盤
(
そろばん
)
にかけて見て、この先何箇月間の勘定を一時に支払うと見れば
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こう言って赤星探偵は懐中から広い洋紙と、細長い計算尺と、それから掌に入りそうな
算盤
(
そろばん
)
とを出して
卓子
(
テーブル
)
の上に並べました。
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身寄りにも上野の
彰義隊
(
しょうぎたい
)
で死んだ若ものもあったから、
算盤
(
そろばん
)
をはじく武士より直参武士になれと進められたのかも知れない。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
わたしは、船荷の受取人である商人を見わけることができた。
算盤
(
そろばん
)
をはじいているような額やそわそわと落着かぬ物腰でそれとわかったのだ。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
広栄は次の
室
(
へや
)
で計算していた。
黒柿
(
くろがき
)
の机に向って預金の通帳のような帳面を見い見い、
玩具
(
おもちゃ
)
のような
算盤
(
そろばん
)
の玉を
弄
(
いじ
)
っていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「どうかしばらくお待ち下さい。」そう言って係員は、片手で紙に数字を記入しながら左手の指で
算盤
(
そろばん
)
の玉を二つ
弾
(
はじ
)
いた。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
色街で
女買
(
をんなかひ
)
をするのを男の自慢のやうに心得てゐる男が一年程過ぎて
算盤
(
そろばん
)
を取つて見ると、
費
(
つひへ
)
が思つたよりは意外に
嵩
(
かさ
)
んでゐるのに気が
注
(
つ
)
いた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『統宗』は万暦二十年程大位作の書にして
算盤
(
そろばん
)
の算法をも説き、毛利は算盤を伝授した。門弟数百人もあったというからよほど行われたと見える。
文化史上より見たる日本の数学
(新字新仮名)
/
三上義夫
(著)
敷地の買上、その
代価
(
ねだん
)
の交渉、受負師との掛引、割当てた寄附金の取立、現金の始末まで自分に
為
(
さ
)
せられるので、自然と
算盤
(
そろばん
)
が机の上に置れ通し。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
やたらに大福帳をめくって意味も無く
算盤
(
そろばん
)
をぱちぱちやって、はじめは
出鱈目
(
でたらめ
)
でも、そのうちに少しの不審を見つけ、本気になって勘定をし直し
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
達
(
たし
)
屋敷方
(
やしきがた
)
の
普請
(
ふしん
)
計
(
ばか
)
りにても二千兩
餘
(
よ
)
の
儲
(
まう
)
けありしとなり
然
(
しか
)
れども彼の
加賀屋長兵衞
(
かがやちやうべゑ
)
より
借請
(
かりうけ
)
し二百兩の事は
忠
(
ちう
)
八が
算盤
(
そろばん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
むっくりした片手で小さい
算盤
(
そろばん
)
の端を押え、
膨
(
ふく
)
らんだ事務服の胸を顎で押えるようにし、何か勘定している矢崎は、聞えないのか返事をしなかった。
一本の花
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そいつは御免を
蒙
(
かうむ
)
らう。何もそんなにむづかしい事ぢやない。唯、私の
算盤
(
そろばん
)
が、君のと少しちがつてゐるだけなんだ。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
売台に
倚
(
よ
)
りかかって大きな
算盤
(
そろばん
)
をはじいていた店員は、戦線を感じさせる孫の姿に、怯えた眼をして主人を振返った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
遠くも無い寺
参
(
まいり
)
して御先祖様の墓に
樒
(
しきみ
)
一束
手向
(
たむく
)
る
易
(
やす
)
さより孫娘に
友禅
(
ゆうぜん
)
を
買
(
かっ
)
て
着
(
きせ
)
る苦しい方が
却
(
かえっ
)
て
仕易
(
しやす
)
いから不思議だ、損徳を
算盤
(
そろばん
)
ではじき出したら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
収入役は、金高を読み上げて、二人の書記に
算盤
(
そろばん
)
をおかしていた。源作は、算盤が一と仕切りすむまで待っていた。
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
算盤
(
そろばん
)
で引いたような面しとって、
妾
(
めかけ
)
は二人も囲うちょる。それが、勝則君、今度の選挙に打って出ろうというとばい
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
算盤
(
そろばん
)
ずくで遊山する了見にはなりたくないもの、江戸ッ児の憧憬はここらにこそ
存
(
あ
)
っておるはずであるのに……。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
政言殿には二万五千石。輝録殿には一万五千石と、内々御決定の
折柄
(
おりから
)
に、又そこへ御一人は、
算盤
(
そろばん
)
の弾き直しだ。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
多「番頭さん、
貴方
(
あんた
)
は
算盤
(
そろばん
)
を取って店を
預
(
あずか
)
るものだから聞きやすが、日に十二文の草履が五足で
幾許
(
いくら
)
になりやす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この頃のように泰平が続いては自然お納戸の
算盤
(
そろばん
)
が立ち兼ねて参りまする。ドサクサ紛れに今二三十万石、どこからか切取らねばこのお城の
馬糧
(
かいば
)
に足らぬ。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お祖父さんの
算盤
(
そろばん
)
をこわしたのはお前だろう、とおっかぶせられて、そのまま無実の罪を被てしまった時のことを思い出し、さすがにいやな気持になった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そこの本立ての中に沢山の帳簿と一緒に立ててあった一挺の
算盤
(
そろばん
)
を取出すと、デスクの端において、如何にもなれた手つきでその玉をパチパチはじきました。
算盤が恋を語る話
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
椿岳の米三郎は早くから絵事に志ざした風流人であって、
算盤
(
そろばん
)
を
弾
(
はじ
)
いて身代を肥やす商売人肌ではなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一日といえども、
算盤
(
そろばん
)
を握りしことあらざるなり。しかして彼らはいかにしてその愉快なる生活をなすを得たるか。必ず他に
輜重部
(
しちょうぶ
)
の存するものあるを見ん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
五十——明かすぎる五十であるが、その人は、
算盤
(
そろばん
)
をもってきて、百と置き、二と置いて、一々
弾
(
はじ
)
いてから
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
“算盤”の意味
《名詞》
算 盤(さんばん, そろばん)
(さんばん) 和算の計算器具。算木を用いて計算する。
(そろばん) 日本や中国などで使用されている計算器。十露盤とも。
(出典:Wiktionary)
“算盤”の解説
算盤(さんばん)とは、中国数学や和算において籌算すなわち算木(算籌)を用いた計算の際に使用される盤のことである。木製の板もしくは紙でつくられることが多い。
(出典:Wikipedia)
算
常用漢字
小2
部首:⽵
14画
盤
常用漢字
中学
部首:⽫
15画
“算盤”で始まる語句
算盤玉
算盤珠
算盤気
算盤絞
算盤責
算盤屋
算盤縞
算盤高
算盤大事