トップ
>
磊落
>
らいらく
ふりがな文庫
“
磊落
(
らいらく
)” の例文
両親は初め、彼のそういう好意をかなり悪意の眼でながめていたが、ついにはその騒々しい隣人の
磊落
(
らいらく
)
な様子に気が折れてしまった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は豪放
磊落
(
らいらく
)
なれど、酒を好み、老年に及ぶまで遊里にでいりし、俗曲、
俳諧
(
はいかい
)
に長じ、日常のようすには不拘束なことが少なくなかった
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
広い縁側につづいた一ばん広く明るい区画には、浴衣がけに寛ろいだ父が、白扇を使ひながら、
磊落
(
らいらく
)
な大声で来客と談笑してゐる。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この時代の代表的
剣客
(
けんかく
)
で、
性
(
せい
)
恬淡
(
てんたん
)
磊落
(
らいらく
)
であり、仕官を嫌って生涯仕えず、市井遊侠の徒と多く交わり、無拘束をもって終始したという。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
磊落
(
らいらく
)
で剛膽な渡邊君と、綿密で神經質な野村君とは、二人の體格と服裝とからしておもしろい對照を見せてゐた。旅の空の氣輕さ。
山陰土産
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
と、鼻をひょこつかせるようにしながら、この
磊落
(
らいらく
)
な大泥棒は、そのままいいほどの間合をおいて、雪之丞の乗物を
跟
(
つ
)
けはじめた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
墓に埋められる前までのラザルスは快活で、
磊落
(
らいらく
)
で、いつも大きい声を出して笑ったり、洒落を言ったりするのが好きであった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
酒のみで、いつも豪放
磊落
(
らいらく
)
らしくふるまっていた木部中佐を補佐する意味で新しく赴任して来たのが陸軍少佐の藤原威夫だった。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
磊落
(
らいらく
)
に笑うときには、人のよさそうな童顔になるが、その顔全体には、いいようもない頑固一徹さ、太々しさのようなものが漲っていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
座を
取做
(
とりな
)
すおきみの様子はすっかり落付きを持ってもはや小間使の気は無くなっています。わたくしが感心してみていると池上は
磊落
(
らいらく
)
に
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『
其事
(
そのこと
)
は
此
(
この
)
虎髯
(
ひげ
)
がお
話
(
はなし
)
申
(
もう
)
すのが
順當
(
じゆんたう
)
でせう。』と
不意
(
ふゐ
)
に
室内
(
しつない
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んで
來
(
き
)
たのは、
例
(
れい
)
の
磊落
(
らいらく
)
なる
虎髯大尉
(
こぜんたいゐ
)
、
本名
(
ほんめい
)
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
左門の心は老成し、
磊落
(
らいらく
)
だつた。すべて世間に有りうることは、悪であれ醜であれ、彼に一応はあるがままに容るされてゐた。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
科学上の
磊落
(
らいらく
)
な過失というものは、東洋人、殊に日本人は滑稽な偶然事として赦す寛大さを持って生れているのかもしれない。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
豪放
磊落
(
らいらく
)
の気風に乏しく、物事にこせこせして、愚痴っぽく、思っていることをそのまま言わず、へんに紳士ふうに言い繕う癖があります。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これは三十そこ/\でせう、無造作な
身扮
(
みなり
)
と
磊落
(
らいらく
)
な物言ひが特徴で、面長な色の白い、歌舞伎役者の誰やらに似てゐると言はれた好い男です。
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
煮え詰まったような二人のあいだに、官兵衛の
磊落
(
らいらく
)
な語調はよほど気分を前へもどすのに効果があった。恵瓊も朝の光に
面
(
おもて
)
を少しあらためて
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたしは、そうそう子供と見てもらいますまいという意気ごみで、できるだけ
磊落
(
らいらく
)
な、しかも
鹿爪
(
しかつめ
)
らしい顔つきになって、こう言ってやった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
と言われたが、
磊落
(
らいらく
)
にして世評などに無頓着を
衒
(
てら
)
う豪傑にしても、なおかつかかる人が多い。いわんや普通の凡人においてはなおさらである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それを
故意
(
わざ
)
と心附かぬ
風
(
ふり
)
をして、
磊落
(
らいらく
)
に母親に物をいッたりするはまだな事、昇と眼を見合わして、
狼狽
(
うろたえ
)
て横へ外らしたことさえ
度々
(
たびたび
)
有ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
陽には
磊落
(
らいらく
)
らしく見えて実は極めて狭量な神経家たる紅葉は美妙が同人に
抜駈
(
ぬけが
)
けして一足飛びに名を成したのを余り快よく思わなかったらしい。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
然も互いに妻子を持てる一ぱしの人間であるのに、
磊落
(
らいらく
)
と云えば磊落とも云えるが、岡村は決して磊落な
質
(
たち
)
の男ではない。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この詩は、豪放
磊落
(
らいらく
)
な三樹が、終天の恨みをこめ
軍駕籠
(
とうまる
)
で箱根を越えるときに詠じたもの、当時
勤王
(
きんのう
)
の志士たちは争ってこれを口ずさんでいた。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
必
(
かなら
)
ず
魂魄
(
こんぱく
)
だけは
御傍
(
おそば
)
へ行って、もう一遍御目に
懸
(
かか
)
りますと云った時に、亭主は軍人で
磊落
(
らいらく
)
な
気性
(
きしょう
)
だから笑いながら、よろしい、いつでも来なさい
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
名刺を差出すとどうぞ暫くと、云い残して二階へ
登
(
あが
)
って行くと入違いに快活な三十歳位の男が降りて来て
磊落
(
らいらく
)
な
語調
(
ちょうし
)
で
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
世俗的な
虚栄心
(
きょえいしん
)
が無い訳ではないが、なまじいの仕官はかえって
己
(
おのれ
)
の本領たる
磊落
(
らいらく
)
闊達を害するものだと思っている。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
私の顔を見ると妙に赤面したニコニコ顔で、熱い紅茶なぞをすすめてくれたが、昨日よりもズット
磊落
(
らいらく
)
な調子で、投げ出したように言うのであった。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
余好意を謝してその容貌を見るに、
魁偉
(
かいい
)
にして筋骨
逞
(
たくま
)
しく、
磊落
(
らいらく
)
にして豪傑肌なる快男児也。いよいよ心強く覚ゆ。
層雲峡より大雪山へ
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
古寺
(
ふるでら
)
見たような家に老母と小さい
姪
(
めい
)
とタッタ二人残して出て行くのですから、
流石
(
さすが
)
磊落
(
らいらく
)
書生も
是
(
こ
)
れには弱りました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
自ら楫を入れたのを急いだと解く人があるが、
磊落
(
らいらく
)
な武蔵の別にそういうつもりも無く、
紙撚
(
こより
)
で襷にしたのと同じような心安さからであったのであろう。
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
警部はチラと私の顔を見て、さも
磊落
(
らいらく
)
に笑って見せたが、その実腹の中ではひどく不快に思っている様子だった。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
田山白雲は豪放
磊落
(
らいらく
)
を以て鳴り、このごろは、その附近の異風景の写生に
専
(
もっぱ
)
らで、義務として開墾に応分の力を出すほかには、細務に当るの余暇がない。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
酒豪だけに極めて
磊落
(
らいらく
)
な性行の人であったが、一面、常に画道を精進し、よく新意を捉えて時代の先駆をなした。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
磊落
(
らいらく
)
に言いながら、お自らもとろりと見るからに苦そうな一服を楽しみながら用いると、気性に促しました。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「捨子則ち寺の児」というような
磊落
(
らいらく
)
な句法が其角の長処で嵐雪の句のやさしみとは大分趣を異にしておる。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
中央に校長のまばらに白い頭と
謹直
(
きんちょく
)
な顔が見えた、その左に背の高いつるのごとくやせた漢文の先生、それととなりあって例の英語の朝井先生、
磊落
(
らいらく
)
な数学の先生
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
磊落
(
らいらく
)
な人だった。こんなところへきていても、ふだんとちっとも変らない、そんな感じの人だった。
その人
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
秀吉が奥州を「大しゆ」と書きしことさへ思ひ出されてなつかし、蕪村の
磊落
(
らいらく
)
にして
法度
(
はっと
)
に
拘泥
(
こうでい
)
せざりし事この類なり。彼は俳人が家集を出版することをさへ
厭
(
いと
)
へり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼は
凡
(
すべ
)
ての預言者的人物の如く生涯真知己を得ることなく、傲逸不遜
磊落
(
らいらく
)
奇偉の一人物として、幾百年の後までも人に
謳
(
うた
)
はれながら、一の批評家ありて其至真を看破し
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
僕たちの船長は、
艱難辛苦
(
かんなんしんく
)
のうちにたたき上げて得た勇気と、胆力と、沈着とによって、人びとの信用の
的
(
まと
)
となっている、粘り強い、
磊落
(
らいらく
)
な船員の標本の一人であった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
それは品のある綺麗な女であったが、何か悲しいことでもあるのか涙ぐましい顔をしていた。柳毅は
磊落
(
らいらく
)
な、思ったことはなんでも口にするという豪快な
質
(
たち
)
の男であった。
柳毅伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
磊落
(
らいらく
)
で、話上手で、
肌触
(
はだざわ
)
りのよいところを発揮したが、酒はこの前よりも多量に飲み、食後も盛んにウィスキーのグラスを傾けつつ
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
して
倦
(
う
)
むことを知らないので
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一体は
磊落
(
らいらく
)
な男なので、軍服なぞも脱ぎ散らかして置いて、細君が勝手に片付けるのであつたが、或時ふいと感じたことがあつて、今では寝ても
傍
(
そば
)
を離さないことにしてゐる。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
まだ殿下というに過ぎなかった頃は、一流の血統の王侯であったが、陛下となるにおよんでは
磊落
(
らいらく
)
な市民となった。公の間では不得要領であったが、親しい個人間では簡明であった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
俗にいう悪に強きは善にも強しの
諺
(
ことわざ
)
に
漏
(
も
)
れず、昨日までの殺人暴客は今日の文明士人となり、青雲に飛翔して、活発
磊落
(
らいらく
)
、いうとして実行せざるはなく、実行して功を奏せざる事はなし。
福沢諭吉
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
その性質の
磊落
(
らいらく
)
なる、光明なる、大胆なる、その百難を
排
(
おしひら
)
きて屈せざる、その信ずる所を執りて移らざる、その道念の
鬱積
(
うっせき
)
したる、その信念の堅確なる、その宗教的神秘の心情を有する
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
磊落
(
らいらく
)
な甚兵衛には、つんと取り澄ました惣八郎が気に入らなかった。その上、甚兵衛が惣八郎に含んでいることが一つある。それはほかでもない惣八郎と甚兵衛とは、兵法の同門であった。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は左を取って、ゴート(岩石の
磊落
(
らいらく
)
崩壊している路をいう)へとかかった。
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
彼
(
かれ
)
はぼくをみると
磊落
(
らいらく
)
に笑い、
退屈
(
たいくつ
)
なまま色々な打明話をしてくれました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
あなたは
磊落
(
らいらく
)
だからおかまいにならないけれど。ヨーもうよして頂戴。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
本職の漁師みたいな姿になってしまって、まことに
哀
(
あわ
)
れなものであります。が、それはまたそれで丁度そういう
調子合
(
ちょうしあい
)
のことの好きな
磊落
(
らいらく
)
な人が、ボラ釣は
豪爽
(
ごうそう
)
で好いなどと賞美する釣であります。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
磊
漢検1級
部首:⽯
15画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“磊落”で始まる語句
磊落者
磊落性
磊落不覊
磊落不軌