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畝
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あぜ
ふりがな文庫
“
畝
(
あぜ
)” の例文
畝
(
あぜ
)
も畑もあったものじゃありません、
廂下
(
ひさしした
)
から土間の
竈
(
かまど
)
まわりまで、鰯を詰込んで、どうかすると、この石柵の上まで敷詰める。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
子供だけは
平生
(
いつも
)
その小溝を飛び越えているので、老人と
同時
(
いっしょ
)
に飛び越えようとすると、老人は
畝
(
あぜ
)
へべったりと坐りこんで
虎杖採り
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
山裾の小川沿いに、正面の街道から、田の
畝
(
あぜ
)
づたいに、敵が近づいてきた。だん袋を
履
(
は
)
いて、陣笠をかむり、
兵児帯
(
へこおび
)
に、刀を差して、肩から白い包を背負った兵であった。
近藤勇と科学
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
西明寺を志して来る途中、一処、道端の低い
畝
(
あぜ
)
に、
一叢
(
ひとむら
)
の
緋牡丹
(
ひぼたん
)
が、薄曇る日に燃ゆるがごとく、二輪咲いて、枝の
莟
(
つぼみ
)
の、
撓
(
たわわ
)
なのを見た。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふと
紅
(
もみ
)
の
袴
(
はかま
)
のように見えたのも
稀有
(
けう
)
であった、が、その下ななめに、
草堤
(
くさどて
)
を、
田螺
(
たにし
)
が二つ並んで、
日中
(
ひなか
)
の
畝
(
あぜ
)
うつりをしているような人影を見おろすと
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
……
蕎麦屋
(
そばや
)
の出前持になるのもあり、現在私がその
小父者
(
おじご
)
などは、田舎の役場に小使いをして、濁り酒のかすに酔って、
田圃
(
たんぼ
)
の
畝
(
あぜ
)
に寝たもんです。……
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
畝
(
あぜ
)
どなりの
廃畑
(
すたればた
)
をよく見ると、畳五枚ばかりの
真中
(
まんなか
)
に、
焼棄
(
やきすて
)
の灰が、いっぱい湿って、
淀
(
よど
)
んで、竹の燃えさしが半ば朽ちて、ばらばらに倒れたり、
埋
(
うも
)
れたりしています。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ばちゃりと
刎
(
は
)
ねる。どうもおかしい。そのうちに、隣のじとじとした
廃畑
(
すたればた
)
から、
畝
(
あぜ
)
うつりに出て来る蛙を見ると、頭に三筋ばかり長い髪の毛を
引掛
(
ひっか
)
けて
曳
(
ひ
)
いているのです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
谷
(
たに
)
の
底
(
そこ
)
にも
落
(
お
)
ちないで、ふわりと
便
(
たより
)
のない
処
(
ところ
)
に、
土器色
(
かはらけいろ
)
して、
畷
(
なはて
)
も
畝
(
あぜ
)
も
茫
(
ばう
)
と
明
(
あかる
)
いのに、
粘
(
ねば
)
つた、
生暖
(
なまぬる
)
い
小糠雨
(
こぬかあめ
)
が、
月
(
つき
)
の
上
(
うへ
)
からともなく、
下
(
した
)
からともなく、しつとりと
来
(
き
)
て
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
亀井
(
かめい
)
、
片岡
(
かたおか
)
、
鷲尾
(
わしのお
)
、四天王の松は、
畑中
(
はたなか
)
、
畝
(
あぜ
)
の
四処
(
よところ
)
に、雲を
鎧
(
よろ
)
い、
繇糸
(
ゆるぎいと
)
の風を浴びつつ、
或
(
ある
)
ものは
粛々
(
しゅくしゅく
)
として
衣河
(
ころもがわ
)
に枝を
聳
(
そびや
)
かし、
或
(
ある
)
ものは
恋々
(
れんれん
)
として、
高館
(
たかだち
)
に
梢
(
こずえ
)
を伏せたのが
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聞
(
き
)
く
中
(
うち
)
に、
畝
(
あぜ
)
の
蔭
(
かげ
)
から、ひよいと
出
(
で
)
て
立
(
た
)
つた、
藁束
(
わらたば
)
に
竹
(
たけ
)
の
脚
(
あし
)
で、
痩
(
やせ
)
さらばへたものがある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
秋日和の三時ごろ、人の影より、
黍
(
きび
)
の影、一つ
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
の飛ぶ向うの
畝
(
あぜ
)
を、威勢の
可
(
い
)
い声。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒島道へかかろうとする、横筋の小川の
畝
(
あぜ
)
をつたって来て、横ざまに
出会
(
でっくわ
)
した男がある。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
次第に、麦も、田も色には出たが、
菜種
(
なたね
)
の花も雨にたたかれ、
畠
(
はたけ
)
に、
畝
(
あぜ
)
に、ひょろひょろと乱れて、
女郎花
(
おみなえし
)
の露を思わせるばかり。初夏はおろか、春の
闌
(
たけなわ
)
な景色とさえ思われない。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
海から吹抜けの風を
厭
(
いと
)
ってか、窪地でたちまち
氾濫
(
あふ
)
れるらしい水場のせいか、
一条
(
ひとすじ
)
やや広い
畝
(
あぜ
)
を隔てた、町の裏通りを——横に通った、正面と、
撞木
(
しゅもく
)
に
打着
(
ぶつか
)
った
真中
(
まんなか
)
に立っている。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はじめの
内
(
うち
)
、……
獲
(
え
)
た
魚
(
うを
)
は
畚
(
びく
)
の
中
(
なか
)
を
途中
(
とちゆう
)
で
消
(
き
)
えた。
荻尾花道
(
をぎをばなみち
)
、
木
(
き
)
の
下路
(
したみち
)
、
茄子畠
(
なすびばたけ
)
の
畝
(
あぜ
)
、
籔畳
(
やぶだゝみ
)
、
丸木橋
(
まるきばし
)
、……
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
に
漁
(
すなど
)
つて、
老爺
(
ぢゞい
)
が
小家
(
こや
)
に
帰
(
かへ
)
る
途中
(
とちゆう
)
には、
穴
(
あな
)
もあり、
祠
(
ほこら
)
もあり、
塚
(
つか
)
もある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
筑摩川
(
ちくまがは
)
は、あとに
成
(
な
)
り
行
(
ゆ
)
く
月見堂
(
つきみだう
)
の
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
の
蔭
(
かげ
)
から、
月
(
つき
)
が
投
(
な
)
げたる
網
(
あみ
)
かと
見
(
み
)
える……
汽車
(
きしや
)
の
動
(
うご
)
くに
連
(
つ
)
れて、
山
(
やま
)
の
峽
(
かひ
)
、
峰
(
みね
)
の
谷戸
(
やと
)
が、
田
(
た
)
をかさね、
畝
(
あぜ
)
をかさねて、
小櫻
(
こざくら
)
、
緋縅
(
ひをどし
)
、
萌黄匂
(
もえぎにほひ
)
、
櫨匂
(
はじにほひ
)
を、
青地
(
あをぢ
)
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鯉七 待て、
見馴
(
みな
)
れぬものが、何やら田の
畝
(
あぜ
)
を伝うて来る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“畝”の意味
《名詞》
畑で作物を育てる場所として土を盛り上げた箇所。
(出典:Wiktionary)
“畝”の解説
畝(うね)とは、 畑で作物を作るために(何本も間隔を空けて)細長く直線状に土を盛り上げた所のこと。英語ではhillingまたはhillと呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
畝
常用漢字
中学
部首:⽥
10画
“畝”を含む語句
大畝
田畝
一畝
南畝莠言
畝々
畝竝
畝溝
半畝
畝傍山
畝傍
畝歩
畝間
田畝道
南畝
大田南畝
隴畝
畝火
畝路
二畝
春畝
...