かたち)” の例文
かつ面白おもしろ人物じんぶつであるから交際かうさいして見給みたまへとふのでありました、これからわたしまた山田やまだ石橋いしばしとを引合ひきあはせて、桃園とうゑんむすんだかたちです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
蒙るいはれなしと一向に受をさめねば忠八は止事を得ず其意に隨ひ彼の印籠を請取うけとつかたちを改め是に就て尋ね申度事たきことあり右夫婦の者は此家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かの地底の研究所から鉄の窓を開き、厚い硝子ガラス越しにこのかたちを観測していたが、かかる異様な現象のよって起こる訳を合点がてんした。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
支那最古の書てふ『山海経』に、〈旄馬ぼうばそのかたち馬のごとし、四節毛あり〉、『事物紺珠かんじゅ』に〈旄馬足四節ばかり、毛垂る、南海外に出づ〉。
又西国の山に人の作りたるやうなるひきうすかたちの石を産する所ありと春暉しゆんき随筆ずゐひつにて見たる事ありき、今その所をおもひいださず。
ふと見ると、赤銅しゃくどうのような色をした光芒ひかりの無い大きな月が、おほりの松の上に音も無く昇っていた。その色、そのかたち、その姿がいかにもわびしい。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
罵殺ばさつ一番、老婦人は強いて平気を装いつ、ごうも屈するかたち無し。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
又西国の山に人の作りたるやうなるひきうすかたちの石を産する所ありと春暉しゆんき随筆ずゐひつにて見たる事ありき、今その所をおもひいださず。
忍び今の身の敢果はかなきさまかこちつゝ如何いかなる因果と泣沈なきしづむにぞ文右衞門はかたちたゞしコレお政其方は何とて其樣に未練みれんなることを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今は米国が夜だから亜細亜アジア欧羅巴ヨーロッパは日中に在るはずだが、どの様なかたちだろう、時々刻々増す大火熱に——アアこう思うと、思うだけで戦慄する。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
例せば『呂覧』に載せた和山の吉神泰䙜たいほうかたち人のごとく虎の尾出で入るに光あり、能く天地を動かし雲雨を興す、小説『西遊記』などに虎の怪多きを見て
かつらたるやうにくしけづりたりし彼の髪は棕櫚箒しゆろぼうきの如く乱れて、かんかたかたげたる羽織のひもは、手長猿てながざるの月をとらへんとするかたちして揺曳ぶらぶらさがれり。主は見るよりさもあわてたる顔して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(かやをまじへ入れてかたちをつくる)此いたゞき大根注連だいこんしめといふものゝ左右に開たる扇をつけて飛鳥ひてうかたちを作りつける。
掛るに家老本田外記中村主計かずへ進み出一通り挨拶あいさつをはる時兩人は何等の御用に候や伺ひ奉つらんと申ければ小左衞門はかたち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
山海経せんがいきょう』に、〈天馬かたち白犬のごとくにして黒頭、肉翅能く飛ぶ〉とあり、堀田正俊の『颺言録ようげんろく』に、朝鮮の天馬形犬のごとくにこげ白兎のごとしといえるは
その道路の美しく甃石しきいしいてあるかたちや、建築物の高大な状などは言語に絶する。市全体は北と西の方へ広く伸び、端から端まで行くのに一日を費やさねばならぬ。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
人のうかがふと知らねば、彼は口もて訴ふるばかりに心の苦悶くもんをそのかたちあらはしてはばからざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(かやをまじへ入れてかたちをつくる)此いたゞき大根注連だいこんしめといふものゝ左右に開たる扇をつけて飛鳥ひてうかたちを作りつける。
『山海経』に崑崙の西に玉山あり西王母せいおうぼ居る、〈西王そのかたち人のごとし、豹尾虎歯にして善く嘯く、蓬髪ほうはつ勝をいただく、これ天の厲(厲はわざわいなり)および五残(残殺の気なり)を司る〉。
燈籠へ倚掛よつかかつて頬杖ほほづゑでもいて、空をながめてゐるかたちなども可いよ。ねえ、如何いかがでせう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此所の絶壁ぜつへき竪御号たておがう横御号よこおがうといふ、里俗りぞく伊勢より御師おんしの持きたるおはらひ箱をおがうさまといふ、此絶壁ぜつへきの石かの箱のかたちたるをもつてかくいふなり。
馬をう者厩中にこれをえばく馬病を避く、故に胡俗こぞく猴を馬留ばりゅうと称す、かたち人に似、眼愁胡のごとくにして、頬陥り、けん、すなわち、食をかくす処あり、腹になく、あるくを以て食を消す
わたし程無ほどなく右の中学を出て、しば愛宕下町あたごしたまちつた、大学予備門だいがくよびもん受験科じゆけんくわ専門せんもん三田英学校みたえいがつこうふのに転学てんがくしました、それから大学予備門だいがくよびもんに入つて二ねんまで山田やまだとは音信不通いんしんふつうかたちたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此所の絶壁ぜつへき竪御号たておがう横御号よこおがうといふ、里俗りぞく伊勢より御師おんしの持きたるおはらひ箱をおがうさまといふ、此絶壁ぜつへきの石かの箱のかたちたるをもつてかくいふなり。
かたち鶏のごとし、能く猛獣虎狼を搏逐す、妖災群悪をして、害為す能わざらしむ、(中略)今人毎歳元日、あるいは木を刻み金を鋳す、あるいは図を画きて鶏牖上ゆうじょうに為す、これその遺像なり〉。
いわく虎は山獣の君なり、かたち猫のごとくにて大きさ牛のごとく黄質黒章きのしたじくろきすじ鋸牙鉤爪のこぎりばかぎのつめ鬚健にしてとがり舌大きさ掌のごとくさかさまはりを生ず、うなじ短く鼻ふさがる、これまでは誠に文簡にして写生の妙を極め居る。
かたちは猿猴のごとくで小さし、目赤く尾短くてなきごとく青黄にして黒し、昼は動かず、夜は風に因っていと捷く騰躍し巌を越え樹を過ぎて鳥の飛ぶごとし、人を見ればじて叩頭こうとう憐みを乞う態のごとし