トップ
>
無躾
>
ぶしつけ
ふりがな文庫
“
無躾
(
ぶしつけ
)” の例文
甚だ当惑している次第ですが、どんなものでしょうか、
無躾
(
ぶしつけ
)
なお願いですが、この狆を一週間ばかり拝借することは出来ますまいか。
幕末維新懐古談:53 葉茶屋の狆のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
いや、
無躾
(
ぶしつけ
)
だが心からお礼をいわせて下さい。かまわんでしょうな。だが、あなたはどうしても役者か音楽家にならんけりゃいかん。
道化者
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
官僚式に出来上った彼の眼には、健三の態度が最初から
頗
(
すこぶ
)
る横着に見えた。超えてはならない階段を
無躾
(
ぶしつけ
)
に飛び越すようにも思われた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
筒井は
淑
(
しと
)
やかにこれ以上たずねてくれるなという、柔らかい印象をあたえた。父という人は自らの
無躾
(
ぶしつけ
)
を
詫
(
わ
)
びるように、やさしくいった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「や、お初めて。」とリンコルンは初めて気が
注
(
つ
)
いたやうに会釈をした。「早速で
甚
(
はなは
)
だ
無躾
(
ぶしつけ
)
なやうだが、一寸お
訊
(
たづ
)
ねしたいと思つて……」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
先生のお姉さんは、先生に似た顔をしていらっしゃるがどうしても態度が
無躾
(
ぶしつけ
)
に見える。坂本さん、蜷川さん、安藤さんなどのお話が出る。
日記:03 一九一六年(大正五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
こういう私のような者からこんな
無躾
(
ぶしつけ
)
なことを申し出されて、まことに思いがけなく思し召されたでもありましょうけれど
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
申上げては
却
(
かえ
)
って御受納くださらぬと存じ、はなはだ
無躾
(
ぶしつけ
)
ながらそっと置いて参ります。お心置きなくお使い捨てください。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、
此様
(
このよう
)
な
無躾
(
ぶしつけ
)
な御手紙を、差上げます罪を、
幾重
(
いくえ
)
にもお許し下さいませ。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
無躾
(
ぶしつけ
)
にも、ずかずか奥深く参りましたで、黙って出て参るわけにも相成りませず、ほとんど立場をなくしております儀で。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青年は、美奈子の返事が遅いのを、彼女が内心当惑している
為
(
ため
)
だと思ったのであろう。彼は、自分の突然な申出の
無躾
(
ぶしつけ
)
さを恥じるように云った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それでもミスラ君は疑わしそうな眼つきを見せましたが、さすがにこの上念を押すのは
無躾
(
ぶしつけ
)
だとでも思ったのでしょう。やがて
大様
(
おおよう
)
に
頷
(
うなず
)
きながら
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
婆さんに跫音がないよなどとはまこと無礼なる悪表現で僕の
無躾
(
ぶしつけ
)
なポーズのせいに他ならぬ。要はあの時期が暗いのだ。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
雪子も最初はその
無躾
(
ぶしつけ
)
な視線を不愉快に感じるのみであったが、やがて、男が何か訳があって自分を
視詰
(
みつ
)
めているのではないか、と思うようになった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こちらが見てよくわかっているのにと思い、財布の銀貨を
袂
(
たもと
)
の中で出し悩みながら、彼はその
無躾
(
ぶしつけ
)
に腹が立った。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
待つ気持のつらさというものは、よく判るですよ。……時に、
無躾
(
ぶしつけ
)
なことをお聞きするが、あんたのお客さんは、どうもまことに、不思議なお客さんばかりですね
三の字旅行会
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「お銭の勘定……人の家へ来て何だって、そんな
無躾
(
ぶしつけ
)
なことをなさるんです、いったいお前は誰です」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
筆者は
聊
(
いささ
)
か意外に思って、事の詳細を今一度同氏に問合わせたところ折返して左の通返事が来たから、
無躾
(
ぶしつけ
)
ながらここに抜き書さしてもらう事にした。(原文のまま)
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
『あの
大
(
たい
)
そう
無躾
(
ぶしつけ
)
なことを
伺
(
うかが
)
いますが、あなた
様
(
さま
)
はよほど
永
(
なが
)
くここにお
住居
(
すまい
)
でございますか。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
昨日
(
きのう
)
は
富家
(
ふうか
)
の門を守りて、
頸
(
くび
)
に真鍮の輪を
掛
(
かけ
)
し身の、今日は
喪家
(
そうか
)
の
狗
(
く
)
となり
果
(
はて
)
て、
寝
(
いぬ
)
るに
窠
(
とや
)
なく食するに肉なく、
夜
(
よ
)
は辻堂の
床下
(
ゆかした
)
に雨露を
凌
(
しの
)
いで、
無躾
(
ぶしつけ
)
なる
土豚
(
もぐら
)
に驚かされ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「はい、左様でございます。わたくしは、深川仲町裏に住んで居りまする、
馬琴
(
ばきん
)
と申します若輩でございますが、少々先生にお願いの筋がございまして、
無躾
(
ぶしつけ
)
ながら、
斯様
(
かよう
)
に早朝からお邪魔に伺いました」
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
忠太郎 (感情を
挫
(
くじ
)
かれて)ご免なさい、
無躾
(
ぶしつけ
)
でござんした。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「では、
無躾
(
ぶしつけ
)
なようですが連れのご婦人は?」
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私の言葉は無作法で
無躾
(
ぶしつけ
)
でした。
奇談クラブ〔戦後版〕:08 音盤の詭計
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あなたを怒らすためにわざと
無躾
(
ぶしつけ
)
な言葉を
弄
(
ろう
)
するのではありません。私の本意は
後
(
あと
)
をご覧になればよく
解
(
わか
)
る事と信じます。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
本当に
無躾
(
ぶしつけ
)
だとは思いましたけれど、わたくし、先生に御すがりすれば、私がどうすればいいか、御教え下さるでしょうと思いましたものですから
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
肥満女
(
ふとっちょ
)
の女中などは、失礼
無躾
(
ぶしつけ
)
構っちゃいられん。
膚脱
(
はだぬぎ
)
の大汗を掻いて
冬瓜
(
とうがん
)
の膝で乗上っても、その胸の悪玉に
突離
(
つッぱな
)
されて、
素転
(
すてん
)
ころりと倒れる。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一そ「しまった」と思った時に
無躾
(
ぶしつけ
)
を
詫
(
わ
)
びてしまえば
好
(
よ
)
かった。そう云うことにも気づかなかったと云うのは………
お時儀
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無躾
(
ぶしつけ
)
に話しかける、私はそれを考えるとくすぐったいような、可笑しいような、それかと云って一種ロマンチックな気持にならずには居られませんでした。
たちあな姫
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
無躾
(
ぶしつけ
)
な、人の居ない時にでも礼儀と云うものがあることを忘れた、浅ましい考案だと云わなければならない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「お招き申して粗飯など差上げたいが、さし迫ったとりこみがござってそれもかなわぬ、謝礼と申しては
無躾
(
ぶしつけ
)
だが、かたち許りの寸志どうぞ御笑納下されたい」
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしてその
御物越
(
おんものご
)
しは
至
(
いた
)
ってしとやか、
私
(
わたくし
)
どもがどんな
無躾
(
ぶしつけ
)
な
事柄
(
ことがら
)
を
申上
(
もうしあ
)
げましても、
決
(
けっ
)
してイヤな
色
(
いろ
)
一
(
ひと
)
つお
見
(
み
)
せにならず、どこまでも
親切
(
しんせつ
)
に、いろいろと
訓
(
おし
)
えてくださいます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
突然こちらから訪問するのも
無躾
(
ぶしつけ
)
ではないか——なあに、先方は来る早々から、あんなに親切にしてくれたのだから、その親切に対しても、一応のお礼は述べに行かなけりゃならん。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そばに寄って来た貞時は、いかにも、世なれぬ
無躾
(
ぶしつけ
)
さで筒井に求めた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
無躾
(
ぶしつけ
)
とは重々存じながら、それが承わりてえのでござんす。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「こないに
遅
(
おそ
)
う、
無躾
(
ぶしつけ
)
に
伺
(
うかが
)
いまして。……」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
わたしは
無躾
(
ぶしつけ
)
を恥ぢながら、もと通り垂れ布を
下
(
おろ
)
さうとした。が、ふと妙に思つた事には、少女は
黙然
(
もくねん
)
と坐つたなり、頭の位置さへも変へようとしない。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんな際誰も私の
無躾
(
ぶしつけ
)
をとがめる者はなかった。隠亡が、
金火箸
(
かなひばし
)
で乱暴に灰の
塊
(
かたまり
)
をたたき割るのを見た。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
虚心平気に、勝平の云い分を聴けば、
無躾
(
ぶしつけ
)
なところは、あるにせよ、成金らしい
傲岸
(
ごうがん
)
な無遠慮なところはあるにせよ、それほど、悪意のあるものとは思われなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
椽側
(
えんがは
)
へ
遣
(
や
)
つて
来
(
き
)
て、お
嬢様
(
ぢやうさま
)
面白
(
おもしろ
)
いことをしてお
目
(
め
)
に
懸
(
か
)
けませう、
無躾
(
ぶしつけ
)
でござりますが、
私
(
わたし
)
の
此
(
こ
)
の
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
つて
下
(
くだ
)
さりますと、
彼
(
あ
)
の
蜂
(
はち
)
の
中
(
なか
)
へ
突込
(
つツこ
)
んで、
蜂
(
はち
)
を
掴
(
つか
)
んで
見
(
み
)
せましやう。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すこし
無躾
(
ぶしつけ
)
なくらいにまじまじと
風態
(
ふうてい
)
を見すえるとその男はべつにたじろぐ
気色
(
けしき
)
もなくよい月でござりますなとさわやかなこえで
挨拶
(
あいさつ
)
して、いや、御風流なことでござります
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
無躾
(
ぶしつけ
)
な来客の、人に迫るような言いぶりのうちに、なんだか、哀れな、いじらしいものがあるような心持に打たれて、米友は
憤
(
おこ
)
っていいのだか、同情していいのだか、自分ながらわからない心持で
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そんな事がまさか
無躾
(
ぶしつけ
)
に聞かれるもんですか」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
外のお邸ならば兎も角も、堀河の大殿樣の御側に仕へてゐるのを、如何に可愛いからと申しまして、かやうに
無躾
(
ぶしつけ
)
に御暇を願ひますものが、どこの國に居りませう。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それにしても余り
無躾
(
ぶしつけ
)
な質問ではないか。彼はこれまで一度も辻堂の怨霊について人に話したことはなかった。
恥
(
はずか
)
しくってそんな馬鹿馬鹿しいことが云えなかったのだ。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、あの日私が又々
無躾
(
ぶしつけ
)
を申して、貴女様から、手酷く拒絶されたことは申上げますまい。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
無躾
(
ぶしつけ
)
なことを伺うようでござりますが、もしやお身たちは、治部殿のゆかりのお方では」
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
縁側
(
えんがわ
)
へやって来て、お嬢様面白いことをしてお目に
懸
(
か
)
けましょう、
無躾
(
ぶしつけ
)
でござりますが、
私
(
わたし
)
のこの手を
握
(
にぎ
)
って下さりますと、あの蜂の中へ
突込
(
つッこ
)
んで、蜂を
掴
(
つか
)
んで見せましょう。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「拙者には兄弟はないが、どうやら死んだ家内にでも会うような……そなた様を見てから、そんな気分も致すのじゃ——これはあまり
無躾
(
ぶしつけ
)
ながら、不思議なめぐり会いが、ただごとでないように思う」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
外のお邸ならば兎も角も、堀河の大殿様の御側に仕へてゐるのを、如何に可愛いからと申しまして、かやうに
無躾
(
ぶしつけ
)
に御暇を願ひますものが、どこの国に居りませう。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
躾
漢検1級
部首:⾝
16画
“無躾”で始まる語句
無躾至極