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おうちゃく
ふりがな文庫
“
横着
(
おうちゃく
)” の例文
それから、彼女の
横着
(
おうちゃく
)
な小さな胸に、どうせ箱の中を見たと疑われるなら、今すぐ見ておいたって同じことだという考えが浮かびました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
返事を出し損なって、その中/\と思いながら、つい/\
横着
(
おうちゃく
)
を極めていたら、今日母から少々不機嫌の
音信
(
いんしん
)
に接した。
兄
(
けい
)
と妹の件の催促だ。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
かく
横着
(
おうちゃく
)
にも敢て募集せずなどといふは投書を排斥するの意には非ず。もし募集すといふ以上は検閲の責任重くなりて病身の
堪
(
た
)
ふる所に非ず。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ねこは、また、ねこで、だんだん
横着
(
おうちゃく
)
になってきました。
鰹節
(
かつぶし
)
をたくさんかけなければ、ただ
香
(
にお
)
いを
嗅
(
か
)
いだばかりで
食
(
た
)
べようともいたしません。
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
薬局生は
下
(
お
)
りながら、「おおかたお宅からでしょう」と云った。冷笑なこの
挨拶
(
あいさつ
)
が、つい込み入った話に身を入れ過ぎた津田の心を
横着
(
おうちゃく
)
にした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「もう、僕は、君をあきらめているんだ。」三木は、しんからいまいましそうに顔をしかめて、「君には、手のつけられない
横着
(
おうちゃく
)
なところがある。 ...
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
捨てて置きながら、げに嫌だったらもう一度帰って来てその子の世話になろうといったような
横着
(
おうちゃく
)
な心でのみ子供を愛しているのではないのですか
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
これらの受け持ちの人は外に幾人もいましたが、その人たちは
道具方
(
どうぐかた
)
の男で、みんな意地悪の
横着
(
おうちゃく
)
ものばかりでした。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
このへんは、大体のところ彼の
横着
(
おうちゃく
)
から来ているのであるが、又一つには、初手から私を無駄に心配させまいとしての友情が交っていることも確かだった。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
事態の
逼迫
(
ひっぱく
)
を認識せず、物の軽重を
穿
(
は
)
きちがえた、
横着
(
おうちゃく
)
とまではいかなくとも、いささか自己中心にすぎて、かなり
滑稽
(
こっけい
)
な弁辞であると断ぜざるを得ない。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
真面目な人が
跣足
(
はだし
)
で下りて、あれかこれかと捜しているうちに、無頓着な人は好い加減なのを穿いて行く。中には
横着
(
おうちゃく
)
で新しそうなのを
選
(
よ
)
って穿く人もある。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
子どもを育てないやつが
横着
(
おうちゃく
)
の
仕得
(
しどく
)
をしてるという法もない。これはどうしても国家が育児に関する何らかの制度を設けて、この不公平を
矯
(
た
)
めるのが当然だ。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
さっきは、
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だと思った。話がうますぎた。昨晩、
横着
(
おうちゃく
)
をしたのがわるかったのだ。
天罰覿面
(
てんばつてきめん
)
である。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「いいや、ああはいっても、その
場
(
ば
)
になると
横着
(
おうちゃく
)
をきめて
出
(
で
)
てこないかも
知
(
し
)
れません。
約束
(
やくそく
)
を
違
(
ちが
)
えさせないために、
何
(
なに
)
か、しちに
取
(
と
)
っておいてはどうでしょう。」
瘤とり
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
薩州と長州との
横着
(
おうちゃく
)
があまりといえば目に余る、どうしてもまず長州から征伐してかからねば、幕府の威信が地に落つるというのが、長州出兵論の根拠であります。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
五人の
人数
(
にんず
)
を要する上に、一度
櫂
(
かい
)
を揃えて漕出せば、疲れたからとて一人勝手に
止
(
や
)
める訳には行かないので、
横着
(
おうちゃく
)
で
我儘
(
わがまま
)
な
連中
(
れんじゅう
)
は、ずっと気楽で旧式な
荷足舟
(
にたりぶね
)
の方を選んだ。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
真心から熱い
慈愛
(
じあい
)
をそそぎこめば、まがれる竹もまっすぐになり、ねじけた心も
矯
(
た
)
めなおせると信じているかれだったが、竹童はとにかく、蛾次郎の
横着
(
おうちゃく
)
と
奸智
(
かんち
)
と
強情
(
ごうじょう
)
には
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叩き起された平次は、はなはだ
以
(
もっ
)
て不服そうです。
横着
(
おうちゃく
)
をきめているようですが、実は十手
捕縄
(
とりなわ
)
を預かっている八五郎に、たまには
独
(
ひと
)
り立ちの仕事をさせてみたかったのでしょう。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平林という奴は誠に
横着
(
おうちゃく
)
な奴で、平生罪人の内女の
眉目
(
みめ
)
好
(
よ
)
き者がありますと、役柄をも
憚
(
はゞか
)
らず
妾
(
しょう
)
にするという、現に只今でも
一人
(
ひとり
)
囲い者にして男児を設けたということでございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お前見たような
横着
(
おうちゃく
)
な児は死んでしまうがよい」とさえ言うようになりました。
安死術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「これ、なにをする……
横着
(
おうちゃく
)
なまねをするな……寄ってはならんともうすに」
顎十郎捕物帳:12 咸臨丸受取
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
言
(
い
)
い
訳
(
わけ
)
をしなさんな。
規則
(
きそく
)
は知っているだろう。着物をぬぎなさい。きのうの分が二つ、きょうの分が二つ。合わせて四つ。それから
横着
(
おうちゃく
)
の
罰
(
ばつ
)
に夕食のいもはやらない。リカルド、いい子や。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
もちろん酒はセラの寺内では非常に厳格に禁ぜられて居りますから決して飲むことは出来ないけれど、ラサ府に行けば壮士坊主の中には随分酒を飲んで
横着
(
おうちゃく
)
な事をやる奴が沢山あるそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
近頃は
爺婆
(
じじばば
)
の方が
横着
(
おうちゃく
)
で、嫁をいじめる
口叱言
(
くちこごと
)
を、お念仏で
句読
(
くとう
)
を切ったり、
膚脱
(
はだぬぎ
)
で
鰻
(
うなぎ
)
の
串
(
くし
)
を
横銜
(
よこぐわ
)
えで題目を
唱
(
とな
)
えたり、……昔からもそういうのもなかったんじゃないが、まだまだ
胡散
(
うさん
)
ながら
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいつは
元来
(
がんらい
)
横着
(
おうちゃく
)
だから、川の中へでも
追
(
お
)
いこんでやりましょう
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
中川「今申上げた通りに飼えば
滅多
(
めった
)
にというより
殆
(
ほとん
)
ど病気になる事はありません。
鶏
(
にわとり
)
の病気は多く飼う人の
不行届
(
ふゆきとどき
)
と
横着
(
おうちゃく
)
から起ります」老紳士「私の友人が以前飼った時分はよくノドケとハナゲという病気になったそうです」中川「あれは
鶏
(
とり
)
の
感冒
(
かぜ
)
です。 ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「なれなくっても何でも思うんだ。思ってるうちに、世の中が、してくれるようになるんだ」と圭さんは
横着
(
おうちゃく
)
を云う。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妹
(
いもうと
)
は、ずいぶん
横着
(
おうちゃく
)
なおばあさんだと
心
(
こころ
)
に
思
(
おも
)
いました。また
自分
(
じぶん
)
がおぶっては、あぶなくて
渡
(
わた
)
られないからでした。
一本の銀の針
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
中には鉤があるのを承知で、餌丈け取りに来る
横着
(
おうちゃく
)
な魚もいますよ。此方は万物の
霊長
(
れいちょう
)
ですもの。
然
(
そ
)
ういう
狡
(
ずる
)
い奴に制裁を加えるのは当り前のことです
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
あれは
人交
(
ひとまじわ
)
りのできぬ素性の者であるに拘らず、能登守を
欺
(
あざむ
)
いて、その
寵愛
(
ちょうあい
)
をほしいままにしている
汚
(
けが
)
らわしい女、
横着
(
おうちゃく
)
な女という評判が立っていることであります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
横着
(
おうちゃく
)
なやつめ。
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
どのからの大切なご書面、もし
失
(
うし
)
のうたらどうするつもりじゃ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
横着
(
おうちゃく
)
ものめ、ぐずぐずしていると、たたきのめすぞ。」とどなりつけました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
それでは、と膝を崩して、やや顔を上げ、少し笑って見せると、こんどは、
横着
(
おうちゃく
)
な奴だと言って叱られる。これはならぬと、あわてて膝を固くして、うなだれると、意気地が無いと言って叱られる。
一灯
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ある人諸官省の門番の
横着
(
おうちゃく
)
なるを説く。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「関さんは華族だってなんだって
堪忍
(
かんにん
)
しない。この
級
(
クラス
)
のものが一番
横着
(
おうちゃく
)
でいけないっておこっているから、花岡がいってとっつかまれば早速教員室だよ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この軽便だってそうでしょう、あなた、なまじいあの仮橋で用が足りてるもんだから、会社の方で、いつまでも
横着
(
おうちゃく
)
をきめ込みやがって、
掛
(
か
)
けかえねえんでさあ
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なんで、きよが、たこの
善悪
(
よしあし
)
なんか
知
(
し
)
るものですか。
自分
(
じぶん
)
で
買
(
か
)
いにいくべきものを、
横着
(
おうちゃく
)
をするから、そんなことになったのです。もう、あんたには、たこを
買
(
か
)
ってあげません。」
北風にたこは上がる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
横着
(
おうちゃく
)
な
和子
(
わこ
)
ではある。わしのいう
叱言
(
こごと
)
を、みんなさきにじぶんからいってしまう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小林のような
横着
(
おうちゃく
)
な男に金銭を恵むのはおろか、ちゃんとした証書を入れさせて、一時の用を足してやる好意すら、彼女の胸のどの
隅
(
すみ
)
からも出るはずはなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お父さんは僕のことを
横着
(
おうちゃく
)
ものだといって
貶
(
けな
)
しても、自分もこの通り
瓢箪鯰
(
ひょうたんなまず
)
である。都合の悪いことは努めて聞き流そうとする。腹がへっていなくても、これが癖だ。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その内で区別して見れば、
横着
(
おうちゃく
)
な奴と、横着でない奴と、横着でないけれども分らないから横着をやって、まあ朝八時に起きる所を自然天然の傾向で十時頃まで寐ている。
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
横着
(
おうちゃく
)
だね」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
夫婦ものに自分のような
横着
(
おうちゃく
)
な泊り客は、こっちにも多少の
窮屈
(
きゅうくつ
)
は
免
(
まぬ
)
かれなかった。自分は電報のように簡単な
端書
(
はがき
)
を書いたぎり何の
音沙汰
(
おとさた
)
もない三沢が
悪
(
にく
)
らしくなった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼らは自分の好きな時、自分の好きなものでなければ、書きもしなければ
拵
(
こしら
)
えもしない。至って
横着
(
おうちゃく
)
な道楽者であるがすでに性質上道楽本位の職業をしているのだからやむをえないのです。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不完全なのは、我々の心掛が至らぬからの
横着
(
おうちゃく
)
に起因するのだからして、もう少し修養して黒砂糖を白砂糖に精製するような具合に向上しなければならんという考で一生懸命に努力したのである。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
横
常用漢字
小3
部首:⽊
15画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“横着”で始まる語句
横着者
横着物
横着氣
横着過
横着面
横着千万
横着独楽
横着者奴
横着野郎