根氣こんき)” の例文
新字:根気
それでも思切おもひきツて其の作を放擲ツて了うことが出來ぬから、何時いつまでも根氣こんき無駄骨むだほねツてゐる、そして結局なさけなくなるばかりだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
祖母おばあさんはれい玄關げんくわんわきにあるはた腰掛こしかけまして、羽織はおりにするぢやう反物たんものと、子供こどもらしい帶地おびぢとを根氣こんきつてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つまり根氣こんきくらべだね。しか如何いかなる人物じんぶつでも、毎日々々まいにち/\葉書はがきてられちやはふつてけないものとえるなア。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
あなたを勤勉な秩序正しい根氣こんきのある婦人の典型と思ふからなので、決してあなたの、これまでの受難や、今後の受難に深い同情を持つ爲めではありません。
はばちたいといふためのその執拗しつえう努力どりよく勿論もちろんほかパイ使つかふことにでもなればなんやくたうはずもないのに、そんな骨折ほねをりをするといふ根氣こんきよさ、陰澁いんじふ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
午迄ひるまでこんな姑息こそく手段しゆだんえずひたひやしてたが、一向いつかうはか/″\しいげんもないので、御米およね小六ころくのために、わざ/\きて、一所いつしよ食事しよくじをする根氣こんきもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし人間といふものがかうやつていろ/\の言葉を作り上げて、そいつを滑かに使つて來た根氣こんきには驚く。根氣ではない自然だといふかも知れないが、自然の奧には根氣がある。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
祖母おばあさんははたらくことがきで、みんなのさきつておちやもつくりましたし、着物きもの根氣こんきりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
四度目に、根氣こんきのいゝ呼鈴ベルが鳴つた。全級の生徒は整列して朝食てうしよくの爲めに別の室へと進んで行つた。何か食べられるといふ見込で、私はどんなに嬉しかつたことだらう。
むかし數學すうがくすきで、隨分ずゐぶんつた幾何きか問題もんだいを、あたまなか明暸めいれうにしてだけ根氣こんきがあつたことおもすと、時日じじつわりには非常ひじやうはげしくこの變化へんくわ自分じぶんにもおそろしくうつつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いよ/\忌々いま/\しくて仕樣しやうがないので、またばかりつゞけた。矢張やはなんごたへもない。もううなつてると此方こつち意地いぢだ。畜生ちくしやう、いつまでゝもめるものかと根氣こんきよくきつゞけた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
どんな解答かいたふにしろひとこしらへてかなければならないとおもひながらも、仕舞しまひには根氣こんききて、はや宜道ぎだう夕食ゆふめし報知しらせ本堂ほんだうとほけてれゝばいと、そればかりかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところやつ突然とつぜんぼくうちにやつてやがつて、『どうも五個月間かげつかん葉書攻はがきぜめには閉口へいこうしました。あなたの根氣こんきには實際じつさいおどろきました』なんてやがつて、三十ゑんかねいてつたが、ぼくじつうれししかつたよ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
彼が仕事を根氣こんきよく運んでゆくと云つて賞讃した。