そしてあまりによく理解されることを、けっして恐るるな。影もなく覆面もなく、明瞭に確実に、必要によっては重々しく、語れよ。
ジャン・クリストフ:13 後記 (新字新仮名) / 豊島与志雄、ロマン・ロラン(著)
概してこの最近数日間というもの、彼は自分でも自分の状態を明瞭に、完全に了解するのを避けようと苦心していたような風であった。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
源氏物語:41 御法 (新字新仮名) / 紫式部(著)
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察) (新字新仮名) / 石川啄木(著)
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
このことは、道江の今度の上京の意味を考えてみるまでもなく、かれにとっては、あまりにも明瞭なことだったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
(フランツは明瞭な事実の反対を見るのに特殊な才をもってるかのようだった。もしくは、反対を信じて矛盾の面白みを味わってるようだった。)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「また巧妙ではあるが、簡単で明瞭だよ。で君はその『僧正の旅籠』を出て、それからどうしたんだい?」
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
(両手にて取りいたる画家の手を放し、椅子の背に寄りかかる。)わたくしの申す詞は明瞭でないかも知れませんが、それは御勘弁あそばさなくてはいけません。
家常茶飯 附・現代思想 (新字新仮名) / ライネル・マリア・リルケ(著)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生地についても素性についても諸説があって明瞭を欠くのは、その出身があるいは庶民の間にあったからかも知れない。はじめ歌は飛鳥井家につき、後東常縁についた。
ドールン それに、もう一つ大事なのは、作品には明瞭な、ある決った思想がなければならんということだ。なんのために書くのか、それをちゃんと知っていなければならん。
かもめ:――喜劇 四幕―― (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)