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明瞭
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めいりょう
ふりがな文庫
“
明瞭
(
めいりょう
)” の例文
尤
(
もっと
)
もこの物語の後に於て判るように、このことがどんな事実であるかということを
明瞭
(
めいりょう
)
に知っている
筈
(
はず
)
の二つの関係があるのですが
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そしてあまりによく理解されることを、けっして恐るるな。影もなく覆面もなく、
明瞭
(
めいりょう
)
に確実に、必要によっては重々しく、語れよ。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
何よりも
明瞭
(
めいりょう
)
に、日本の自然、日本人の自然観、あるいは日本の自然と人とを引きくるめた一つの全機的な有機体の諸現象を要約し
日本人の自然観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
極めて簡単
明瞭
(
めいりょう
)
なるその配色はこれがためにかへつて看るものをして自由に時間と空気と光線の感覚を催さしむるの余地を与へたり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「最後の
晩餐
(
ばんさん
)
」の研究なのだが、晩餐の十三人が、それぞれ食卓のどの位置についていたか、図解して、とても
明瞭
(
めいりょう
)
に教えてくれた。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
寧
(
むし
)
ろ気分が落ち着いて来ると、今度は前よりも一層
明瞭
(
めいりょう
)
に、一層
執拗
(
しつよう
)
に、ナオミの肉体の
細々
(
こまごま
)
した部分がじーッと思い出されました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……すこぶる簡単
明瞭
(
めいりょう
)
であった。しかも、それだけに私達の秘密生活は、百パーセントの安全率を保有している訳であったが……。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まったく夢のようで夢ではない。見れば見るほど
記憶
(
きおく
)
が
明瞭
(
めいりょう
)
になって来て、これを書いた当時の
精神状態
(
せいしんじょうたい
)
も墨も筆も思い出される。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その一部にいくつもの赤い屋根を
翼
(
つば
)
さのように拡げたサナトリウムの建物が、ごく小さな姿になりながらしかし
明瞭
(
めいりょう
)
に認められた。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そして頭がはっきりして来るとともに、今まで切り放されていたすべての過去があるべき姿を取って、
明瞭
(
めいりょう
)
に現在の葉子と結び付いた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
概してこの最近数日間というもの、彼は自分でも自分の状態を
明瞭
(
めいりょう
)
に、完全に了解するのを避けようと苦心していたような風であった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
と答えながら、彼の観察の源は
明瞭
(
めいりょう
)
だった。私の横に伏せてある本の表紙には“ハイライト著 密室殺人事件”と印刷されてる。
浴槽
(新字新仮名)
/
大坪砂男
(著)
昔、大将の母君の
葵
(
あおい
)
夫人の葬送の夜明けのことを院は思い出しておいでになったが、その時はなお月の形が
明瞭
(
めいりょう
)
に見えた御記憶があった。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
はたまた日本人にばかり特に、かつ
頻繁
(
ひんぱん
)
に繰り返されねばならぬ事情があったのか。それすらも現在はなお
明瞭
(
めいりょう
)
でないのである。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ランプが
煤
(
すす
)
だらけで暗いものだから、この頭も煤だらけになって映って来た。その癖距離は近い。だから映った影は
明瞭
(
めいりょう
)
である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日における我々日本の青年の
思索
(
しさく
)
的生活の半面——
閑却
(
かんきゃく
)
されている半面を比較的
明瞭
(
めいりょう
)
に指摘した点において、注意に
値
(
あたい
)
するものであった。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
最初
(
さいしょ
)
彼女
(
かのじょ
)
に
起
(
おこ
)
った
現象
(
げんしょう
)
は
主
(
しゅ
)
として
霊視
(
れいし
)
で、それは
殆
(
ほと
)
んど
申分
(
もうしぶん
)
なきまでに
的確
(
てきかく
)
明瞭
(
めいりょう
)
、よく
顕幽
(
けんゆう
)
を
突破
(
とっぱ
)
し、
又
(
また
)
遠近
(
えんきん
)
を
突破
(
とっぱ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そこには旅団参謀のほかにも、副官が一人、通訳が一人、二人の支那人を
囲
(
かこ
)
んでいた。支那人は通訳の質問通り、何でも
明瞭
(
めいりょう
)
に返事をした。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれども、この
明瞭
(
めいりょう
)
な現実の
根柢
(
こんてい
)
であるところの種族を黙殺して、何の知性が種族の知性となるのであろうか。梶はこう思う。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
きわめて簡単
明瞭
(
めいりょう
)
なる事実であったが、その簡単であっても、その事のために入費がかかるということも明らかなことだった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
九年、皇后御病いの折の、天武天皇の憂いは申すまでもない。薬師寺建立の勅願も、この史実をふりかえってはじめて
明瞭
(
めいりょう
)
となるであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
勝つとはなにかと
尋
(
たず
)
ぬると、おそらく
世人
(
せじん
)
は奇怪なる質問と思うであろう。勝負ほど
明瞭
(
めいりょう
)
なものはないと思う人が世に多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼の生涯の線に宝沢法人が顔を出したり消えたりしたいくつかの時代が、不思議な
明瞭
(
めいりょう
)
さをもって彼の
脳裡
(
のうり
)
に
甦
(
よみがえ
)
ってきた。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
興奮のため
喉
(
のど
)
を鳴らしはじめながら、まだ
明瞭
(
めいりょう
)
に聞き取れはしない調子で言ったが、どうせそんなことになるだろうと予期していたKも仰天し
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
このことは、道江の今度の上京の意味を考えてみるまでもなく、かれにとっては、あまりにも
明瞭
(
めいりょう
)
なことだったのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その真偽をためすためには、次のような簡単な計算をして見れば、問題は極めて
明瞭
(
めいりょう
)
になる。この円は直径六
糎
(
センチ
)
あって、線の幅は〇・二
粍
(
ミリ
)
である。
地球の円い話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
地名は時間の区別に比して更に
明瞭
(
めいりょう
)
なる区別なれば、俳句に地名を用うるは最簡単なる語を以て最
錯雑
(
さくざつ
)
なる形象を現はすの一良法なりといへども
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ポティダイアの陣営におけるソクラテスとアテナイの市場におけるソクラテス——これほど
明瞭
(
めいりょう
)
に瞑想と思索との差異を現わしているものはない。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
(フランツは
明瞭
(
めいりょう
)
な事実の反対を見るのに特殊な才をもってるかのようだった。もしくは、反対を信じて矛盾の面白みを味わってるようだった。)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
常子も松島も
明瞭
(
めいりょう
)
なことは
解
(
わか
)
らず、彼女もたまに返してもらえば、思わぬ株の配当でも
貰
(
もら
)
ったような気がするのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あまり
淋
(
さび
)
しいので、昔は嫌いなものゝ一にして居た
蓄音器
(
ちくおんき
)
を買った。
無喇叺
(
むらっぱ
)
の小さなもので、
肉声
(
にくせい
)
をよく
明瞭
(
めいりょう
)
に伝える。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
つまり部屋一杯の人の顔、それが生きてうごめいているのです。映画なぞでないことは、その動きの静かなのと、生物そのままの
色艶
(
いろつや
)
とで
明瞭
(
めいりょう
)
です。
鏡地獄
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さてこう切字に印をつけてみると、私が前に一例として出した「や」「かな」「けり」の三つの切字が、比較的に多いことが
明瞭
(
めいりょう
)
に証明されました。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
右の表によりて見る時は、われわれの所要熱量は労働中と休業中とによりて大差あり、また労働の種類によりて大差あることが、きわめて
明瞭
(
めいりょう
)
である。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
月光に
明瞭
(
めいりょう
)
に照された青年の顔は、端正な目鼻立ちにかすかな
幽愁
(
ゆうしゅう
)
を帯びてゐた。青年はやゝ控へ目に声をかけた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
なんでも
彼方
(
あちら
)
の習慣通りにやられては
堪
(
たま
)
らない。ぼくが会って、あなたのことも、
明瞭
(
めいりょう
)
に、あやまらせて置きます
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
凡
(
すべ
)
て私の見解にはあまり
明瞭
(
めいりょう
)
すぎて、露骨なほど明かに書いておいたから、いま質問を受けるのを遺憾と思う。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
……その答が余り簡単で
明瞭
(
めいりょう
)
でおまけに平凡であったから。……けれども、この場合の平凡たるや、世間の名詞は、巡査のためには
尽
(
ことごと
)
く、平凡であったろう。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし、怒りというよりそれが
羞恥
(
しゅうち
)
であり、ある屈辱の我慢であり、外側にむかって爆発し挑みかかるなにかではなく、内側へのそれであることは
明瞭
(
めいりょう
)
だった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
「また巧妙ではあるが、簡単で
明瞭
(
めいりょう
)
だよ。で君はその『僧正の旅籠』を出て、それからどうしたんだい?」
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
(両手にて取りいたる画家の手を放し、椅子の背に寄りかかる。)わたくしの申す詞は
明瞭
(
めいりょう
)
でないかも知れませんが、それは御勘弁あそばさなくてはいけません。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
夫人は、
明瞭
(
めいりょう
)
に
流暢
(
りゅうちょう
)
に、何のよどみもなく云った。が、
何処
(
どこ
)
となく力なく空々しいところがあったが、信一郎は夫人の云うことを疑う
確
(
たしか
)
な証拠は、少しもなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その空気は、やがて
明瞭
(
めいりょう
)
な形をとって現われて来た。三木の城主、別所長治の
寝反
(
ねがえ
)
りがそれである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またそういう女壮士の殺風景な政治運動は故
中島俊子
(
なかじまとしこ
)
女史の娘時代や近年の故
奥村五百子刀自
(
おくむらいおことじ
)
の実例に見て、さまでなつかしい性質のものでないことは
明瞭
(
めいりょう
)
であるから
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
生地についても素性についても諸説があって
明瞭
(
めいりょう
)
を欠くのは、その出身があるいは庶民の間にあったからかも知れない。はじめ歌は飛鳥井家につき、後東常縁についた。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
換言すれば、両眼の位置に基づいて、水平は一般に事物の離合関係を
明瞭
(
めいりょう
)
に表わすものである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
そこで吾人は、この
明瞭
(
めいりょう
)
にされた認識から出発して、現詩壇の実情する自由詩を
眺
(
なが
)
めてみよう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ドールン それに、もう一つ大事なのは、作品には
明瞭
(
めいりょう
)
な、ある決った思想がなければならんということだ。なんのために書くのか、それをちゃんと知っていなければならん。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ここに
吾人
(
ごじん
)
は、ディーニュの司教のすまいの
明瞭
(
めいりょう
)
な概念を与えておかなくてはならない。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
……その
聊
(
いささ
)
かも不安もなさげな、彼の話をきいていると、実際、空襲は簡単
明瞭
(
めいりょう
)
な事柄であり、同時に人の命もまた単純明確な物理的作用の下にあるだけのことのようにおもえた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
瞭
常用漢字
中学
部首:⽬
17画
“明瞭”で始まる語句
明瞭度