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後足
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あとあし
ふりがな文庫
“
後足
(
あとあし
)” の例文
「これ、こんなに
後足
(
あとあし
)
に
傷痕
(
きずあと
)
があります。」と
叫
(
さけ
)
びました。お
母
(
かあ
)
さんも、
姉
(
ねえ
)
さんも、みんなそばにきて、それを
見
(
み
)
て、びっくりしました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
くまは、
後足
(
あとあし
)
で立ち上がったまま赤いランプの光におびえてか、
爪
(
つめ
)
をとぐねこのように、バリバリとそばの
羽目板
(
はめいた
)
に爪をたてた。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
「御めっちの知った事じゃねえ。黙っていろ。うるせえや」と云いながら突然
後足
(
あとあし
)
で
霜柱
(
しもばしら
)
の
崩
(
くず
)
れた奴を吾輩の頭へばさりと
浴
(
あ
)
びせ掛ける。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜ふかしは何、家業のようだから、その夜はやがて明くるまで、
野良猫
(
のらねこ
)
に注意した。
彼奴
(
きゃつ
)
が
後足
(
あとあし
)
で立てば届く、低い枝に、
預
(
あずか
)
ったからである。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「角よい、お前は、それでも、人間か。こんな
偽
(
にせ
)
の書付をこしらえて、恩になった親方に、
後足
(
あとあし
)
で、泥をはねかけるようなことをするなんて……」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
けれどもその間に、牡牛は
後足
(
あとあし
)
で土をしきりに掘って、自分の足場がうまく
据
(
すわ
)
るように、土地に
凹
(
くぼ
)
みを
拵
(
こしら
)
えました。
熊
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
しかし今前足を見ると、いや、——前足ばかりではありません。胸も、腹も、
後足
(
あとあし
)
も、すらりと上品に
延
(
の
)
びた
尻尾
(
しっぽ
)
も、みんな
鍋底
(
なべそこ
)
のようにまっ黒なのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
シャボン玉みたいに軽そうな、黒い小さなイヌが、
後足
(
あとあし
)
で立ちあがって、いっしょにブランコに乗ろうとしているわ。ブランコがゆれたので、イヌが落っこちたわ。
雪の女王:――七つのお話からできている物語――
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そうしてその
後足
(
あとあし
)
には皆一寸ばかりずつ水がついてる。豪雨は牛舎の屋根に
鳴音
(
めいおん
)
烈しく、ちょっとした会話が聞取れない。いよいよ平和の希望は絶えそうになった。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
その犬も
去
(
いぬ
)
る日
村童
(
さとのこ
)
に石を打たれて、左の
後足
(
あとあし
)
を破られしが、
件
(
くだん
)
の翁が薬を得て、その
痍
(
きず
)
とみに癒しとぞ。さればわれ直ちに往きて、薬を得て来んとは思ひしかど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
八幡様
(
はちまんさま
)
の森を出て、村の中にはいろうとすると、これはまた意外です、道のまん中にさっきの狸が
後足
(
あとあし
)
で立って、こちらを手招きしながら踊ってるではありませんか。
狸のお祭り
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
長い髪は蛙の
後足
(
あとあし
)
の一本に強くからみ付いて、あたかもかれをつないでいるかのようにも見られた。
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
後足
(
あとあし
)
でける、
首輪
(
くびわ
)
をゆすぶる、頭をぐっと上へむけて
角
(
つの
)
をふりたてる、といったありさまです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
さてこそと身を
潜
(
ひそ
)
め
窃
(
ひそ
)
かに家の外に出で、
背戸
(
せと
)
の方に廻りて見れば、正しく狐にて首を流し元の穴に入れ
後足
(
あとあし
)
を
爪立
(
つまた
)
てていたり。
有合
(
ありあ
)
わせたる棒をもてこれを打ち殺したり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
後足
(
あとあし
)
を
股
(
もゝ
)
に張り、尾をその
間
(
あひ
)
より
後方
(
うしろ
)
におくり、ひきあげて腰のあたりに延べぬ 五五—五七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
王位の名によって
王笏
(
おうしゃく
)
を攻撃し、祭壇の名によって司教の冠を攻撃することである。おのれが導くものを虐遇することである。後ろに乗せて引き連れてるものを
後足
(
あとあし
)
でけることである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
剛七郎
身長
(
みのたけ
)
六尺近く、有名なムッツリ屋、
周防
(
すおう
)
の国は
毛利左京亮
(
もうりさきょうのすけ
)
、
府中
(
ふちゅう
)
五
万石
(
まんごく
)
に
後足
(
あとあし
)
で砂をかけたという不忠の浪人——ナニ、変な洒落だ? とにかく、コイツ面倒臭いと思ったのだろう。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
爪立
(
つまだ
)
ち、
蹲
(
かが
)
んでくるりとやるかと思うと、ひょくりと
後足
(
あとあし
)
で
跛
(
びっこ
)
をひく。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
肉屋はおもしろはんぶんに、こんどは少し大きく切りとって、ぽいとたかくなげて見ました。犬はさっと
後足
(
あとあし
)
で立ち上って、それをも上手にうけとり、がつがつと二どばかりかんでのみこみました。
やどなし犬
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
其のませを馬が
鼻先
(
はなづら
)
で
反
(
は
)
ね
除
(
の
)
けて外へ躍出して、
突然
(
いきなり
)
後足
(
あとあし
)
を揚げて丹三郎を
蹴
(
け
)
ましたから、丹三郎は
其処
(
そこ
)
へ倒れますと、馬が丹三郎の肩へ噛付きましたから、丹三郎はさも苦しげにヒイと泣声をあげ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折角の矢野の厚意をピタリと跳付けて
後足
(
あとあし
)
で
蹴
(
け
)
ってしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その着物を着た
鬣狗
(
ハイイナ
)
は身を起すと、
後足
(
あとあし
)
でぬつと突立つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
笛
(
ふえ
)
ふかず
太鼓
(
たいこ
)
たゝかずしゝまひの
後足
(
あとあし
)
となる
胸
(
むね
)
のやすさよ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
白
(
しろ
)
いくまは、
物覚
(
ものおぼ
)
えのいいほうではなかったけれど、
後足
(
あとあし
)
で
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がることや、ダンスのまねなどをするようになりました。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「僕か。僕は叡山へ登るのさ。——おい君、そう
後足
(
あとあし
)
で石を
転
(
ころ
)
がしてはいかん。
後
(
あと
)
から
尾
(
つ
)
いて行くものが
剣呑
(
けんのん
)
だ。——ああ随分くたびれた。僕はここで休むよ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鼠は慣れていると見えて、ちょこちょこ、舞台の上を歩きながら、絹糸のように
光沢
(
つや
)
のある尻尾を、二三度ものものしく動かして、ちょいと
後足
(
あとあし
)
だけで立って見せる。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
吹きすさぶあらしの伴奏にあわせて
後足
(
あとあし
)
で踊り、ちゃんとした礼儀作法を心得ている、北極グマの小さな舞踏会もありません。口や手足を打っての、小さな宴会もありません。
雪の女王:――七つのお話からできている物語――
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
また二の
後足
(
あとあし
)
は
縒
(
よ
)
れて人の隱すものとなり、幸なき者のは二にわかれぬ 一一五—一一七
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
まるで二匹の様子は、はち切れるほど力が
這入
(
はい
)
って、しかも林のように静かなのです。やがて熊は思い切ったように、奮然と
後足
(
あとあし
)
で立ち上ると、その右手を牛の左の角へぐいとばかりに掛けました。
熊
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
「ボンは
後足
(
あとあし
)
に
傷痕
(
きずあと
)
があったはずだから、そんなら
検
(
しら
)
べてみればわかるでしょう。」と、
姉
(
ねえ
)
さんはいいました。
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ええ」と云って
彼女
(
かのじょ
)
は
傘
(
かさ
)
を手に持ったまま、
後
(
うしろ
)
を向いて自分の
後足
(
あとあし
)
を顧みた。自分は赤い靴を砂の中に
埋
(
うず
)
めながら、今日の使命をどこでどう果したものだろうと考えた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんどは、いちばん大きい子が
太鼓
(
たいこ
)
を持ちだして、ドンドンたたきました。すると、熊は二本の
後足
(
あとあし
)
で立ちあがって、
踊
(
おど
)
りだしました。それはほんとにおもしろいありさまでした!
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
正雄
(
まさお
)
は、
犬
(
いぬ
)
を
抱
(
だ
)
くようにして、その
犬
(
いぬ
)
の
後足
(
あとあし
)
を
検
(
しら
)
べていましたが、
急
(
きゅう
)
に
大
(
おお
)
きな
声
(
こえ
)
をたてて
おじいさんの家
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すべての
中
(
うち
)
で最も敬太郎の頭を
刺戟
(
しげき
)
したものは、
長井兵助
(
ながいひょうすけ
)
の
居合抜
(
いあいぬき
)
と、
脇差
(
わきざし
)
をぐいぐい
呑
(
の
)
んで見せる
豆蔵
(
まめぞう
)
と、
江州伊吹山
(
ごうしゅういぶきやま
)
の
麓
(
ふもと
)
にいる前足が四つで
後足
(
あとあし
)
が六つある
大蟇
(
おおがま
)
の干し固めたのであった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
辛防
(
しんぼう
)
が
肝心
(
かんじん
)
だと思って左右
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
るに動かしたがやはり依然として歯は餅の中にぶら下っている。ええ面倒だと両足を一度に使う。すると不思議な事にこの時だけは
後足
(
あとあし
)
二本で立つ事が出来た。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前足だけは首尾よく棚の
縁
(
ふち
)
にかかったが
後足
(
あとあし
)
は宙にもがいている。尻尾には最前の黒いものが、死ぬとも離るまじき勢で喰い下っている。吾輩は
危
(
あや
)
うい。前足を
懸
(
か
)
け
易
(
か
)
えて
足懸
(
あしがか
)
りを深くしようとする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世