年配ねんぱい)” の例文
すぐに庫裏くり玄関先げんくわんさきあゆると、をりよく住職ぢゆうしよくらしい年配ねんぱいばうさんがいまがた配達はいたつされたらしい郵便物いうびんぶつながらつてゐたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ひかりもあからさまにはさず、薄暗うすぐらい、冷々ひや/\とした店前みせさきに、帳場格子ちやうばがうしひかへて、年配ねんぱい番頭ばんとうたゞ一人ひとり帳合ちやうあひをしてゐる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あんな野郎だ。あきれてものが言へねえ、——お前路地の入口の邊で五十年配ねんぱいの下男風の男に逢つた筈だが」
彼女のいう仏天青は、大使館参事官であって、彼よりも年配ねんぱいの者であり、そして美男子である——と、これだけのことが、ようやくはっきりしたのであった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私が七歳ななつであったころに、四十位な年配ねんぱいで、小笠原の浪人加賀美暁之助かがみぎょうのすけという人だった。
ほどなくまた——そこへふたりの旅人たびびとなかよく話しながらのぼってきた。ひとりは年配ねんぱいな女で、坂東ばんどう三十三ヵしょ巡礼じゅんれいしてあるくものらしく、ひとりは天蓋てんがいのついたおい背負せおっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あにさん何してるのだと舟大工ふなだいくの子の声をそろによればその時の小生せうせいあにさんにそろ如斯かくのごときもの幾年いくねんきしともなく綾瀬あやせとほざかりそろのち浅草公園あさくさこうえん共同きようどう腰掛こしかけもたれての前を行交ゆきか男女なんによ年配ねんぱい
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
つて其處そこつてかんがへたのは、身綺麗みぎれいらしい女中ぢよちうであつたが、わたしはよくもなかつた。で、ひだりすみ屋臺やたいよこにしたところで、年配ねんぱい老爺おとつさんと、おばあさん。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのおとうさんをつてるが、攝津守せつつのかみだか、有鎭ありしづだか、こゝが柳川やながはせつだからあてにはらない。その攝津守せつつのかみが、わたしつてるころは、五十七八の年配ねんぱい人品ひとがらなものであつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
翌朝よくてうまだ薄暗うすぐらかつたが、七時しちじつたくるまが、はずむ酒手さかてもなかつたのに、午後ごご九時くじふのに、金澤かなざは町外まちはづれの茶店ちやみせいた。屈竟くつきやうわかをとこふでもなく年配ねんぱい車夫くるまやである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その十数名の軍夫の中に一人たくましきおのこあり、の看護員に向ひをれり。これ百人長なり。海野うんのといふ。海野は年配ねんぱい三十八、九、骨太ほねぶとなる手足あくまで肥へて、身のたけもまた群を抜けり。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かれ高野山かうやさんせきくものだといつた、年配ねんぱい四十五六しじふごろく柔和にうわな、何等なんらえぬ、可懐なつかしい、おとなしやかな風采とりなりで、羅紗らしや角袖かくそで外套ぐわいたうて、しろのふらんねるの襟巻えりまきめ、土耳古形とるこがたばうかむ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
躑躅つゝじでござります。」と年配ねんぱい番頭ばんとうつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)