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夕陽
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ゆふひ
ふりがな文庫
“
夕陽
(
ゆふひ
)” の例文
ことに八重の
淡紅
(
うすくれなゐ
)
に咲けるが、晴れたる日、砂立つるほどの風の
急
(
にはか
)
に吹き出でたるに、雨霰と
夕陽
(
ゆふひ
)
さす中を散りたるなど、あはれ深し。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
横手
(
よこて
)
の
桟敷裏
(
さじきうら
)
から
斜
(
なゝめ
)
に
引幕
(
ひきまく
)
の
一方
(
いつぱう
)
にさし込む
夕陽
(
ゆふひ
)
の光が、
其
(
そ
)
の進み入る
道筋
(
みちすぢ
)
だけ、空中に
漂
(
たゞよ
)
ふ
塵
(
ちり
)
と
煙草
(
たばこ
)
の
煙
(
けむり
)
をばあり/\と眼に見せる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そのとき
西
(
にし
)
のぎらぎらのちぢれた
雲
(
くも
)
のあひだから、
夕陽
(
ゆふひ
)
は
赤
(
あか
)
くなゝめに
苔
(
こけ
)
の
野原
(
のはら
)
に
注
(
そゝ
)
ぎ、すすきはみんな
白
(
しろ
)
い
火
(
ひ
)
のやうにゆれて
光
(
ひか
)
りました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
非常
(
ひじやう
)
に
甘味
(
うま
)
い
菓子
(
くわし
)
に
舌皷
(
したつゞみ
)
打
(
う
)
ちつゝ、
稍
(
や
)
や十五
分
(
ふん
)
も
※
(
すぎ
)
たと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
、
時計
(
とけい
)
は
午後
(
ごご
)
の
六時
(
ろくじ
)
を
報
(
ほう
)
じて、
日永
(
ひなが
)
の五
月
(
ぐわつ
)
の
空
(
そら
)
も、
夕陽
(
ゆふひ
)
西山
(
せいざん
)
に
舂
(
うすつ
)
くやうになつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
家を出でゝ程久しきに、母も弟も還ること遅し、鴉は
杜
(
もり
)
に急げども、帰らぬ人の影は破れし
簷
(
のき
)
の
夕陽
(
ゆふひ
)
の
照光
(
ひかり
)
にうつらず。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
大洋の波濤のうねり、
夕陽
(
ゆふひ
)
の光芒のなかをよぎる
飛魚
(
とびうを
)
の群、遠ざかる港の夜の灯、水平線上に浮ぶ島々の陰翳、すべてこれ夢と云つてもよかつた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
駅路の遊君は
斑女
(
はんじょ
)
、
照手
(
てるて
)
の末流にして今も
夕陽
(
ゆふひ
)
ななめなる頃、泊り作らんとて
両肌
(
もろはだ
)
ぬいで大化粧。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
斷崖
(
だんがい
)
の
上
(
うへ
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
凭
(
もた
)
れて
憩
(
いこ
)
つた
折
(
をり
)
から、
夕颪
(
ゆふおろし
)
颯
(
さつ
)
として、
千仭
(
せんじん
)
の
谷底
(
たにそこ
)
から、
瀧
(
たき
)
を
空状
(
そらざま
)
に、もみぢ
葉
(
ば
)
を
吹上
(
ふきあ
)
げたのが
周圍
(
しうゐ
)
の
林
(
はやし
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
誘
(
さそ
)
つて、
滿山
(
まんざん
)
の
紅
(
くれなゐ
)
の、
且
(
か
)
つ
大紅玉
(
だいこうぎよく
)
の
夕陽
(
ゆふひ
)
に
映
(
えい
)
じて
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
赤い
夕陽
(
ゆふひ
)
に照らされて……友は野末の石の下……と口ずさむと日露戦争中の哀愁が
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
夕陽
(
ゆふひ
)
を受けて、無氣味な艶めかしさで人に迫るのでした。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ねんごろに
夕陽
(
ゆふひ
)
宿
(
やど
)
せる枯尾花
水車
(
すゐしや
)
踏み
出
(
だ
)
し揺れかがやきぬ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そして庭には白い木の花が、
夕陽
(
ゆふひ
)
の中に咲いてゐた
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
桃割れへ
夕陽
(
ゆふひ
)
はしばし鋭し
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
夕陽
(
ゆふひ
)
で爛らされた
鐃鉢
(
ねうばち
)
を
無題 京都:富倉次郎に
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はこの
夕陽
(
ゆふひ
)
の光をば
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ事なく悲しく感じながら、
折々
(
をり/\
)
吹込
(
ふきこ
)
む外の
風
(
かぜ
)
が大きな波を
打
(
うた
)
せる
引幕
(
ひきまく
)
の上を
眺
(
なが
)
めた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それから、さうさう、
苔
(
こけ
)
の
野原
(
のはら
)
の
夕陽
(
ゆふひ
)
の
中
(
なか
)
で、わたくしはこのはなしをすきとほつた
秋
(
あき
)
の
風
(
かぜ
)
から
聞
(
き
)
いたのです。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
時
(
とき
)
は
午後
(
ごゞ
)
の
六時
(
ろくじ
)
間近
(
まぢか
)
で、
夕陽
(
ゆふひ
)
は
西山
(
せいざん
)
に
臼
(
うすつ
)
いて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
くわと照らす
夕陽
(
ゆふひ
)
の光
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お
豊
(
とよ
)
は
何分
(
なにぶん
)
よろしくと頼んでお
滝
(
たき
)
が
引止
(
ひきと
)
めるのを
辞退
(
じたい
)
して
其
(
そ
)
の
家
(
いへ
)
を出た。春の
夕陽
(
ゆふひ
)
は赤々と
吾妻橋
(
あづまばし
)
の
向
(
むか
)
うに傾いて、花見帰りの混雑を一層
引立
(
ひきた
)
てゝ見せる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
銀
(
ぎん
)
のすすきの
波
(
なみ
)
をわけ、かゞやく
夕陽
(
ゆふひ
)
の
流
(
なが
)
れをみだしてはるかにはるかに
遁
(
に
)
げて
行
(
い
)
き、そのとほつたあとのすすきは
静
(
しづ
)
かな
湖
(
みづうみ
)
の
水脈
(
みを
)
のやうにいつまでもぎらぎら
光
(
ひか
)
つて
居
(
を
)
りました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ひとならび
夕陽
(
ゆふひ
)
をうけて
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
本郷の高臺にすさまじく燃え立つ
夕陽
(
ゆふひ
)
の輝き、其れが靜り返つた池の水に反映する強烈な色彩、散歩する人々の
歩調
(
あしなみ
)
、話聲、車の
往來
(
ゆきき
)
、鳥の啼く聲、蓮の葉の
戰
(
そよ
)
ぎ
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
夕陽
(
ゆふひ
)
をせ中に一杯浴びて
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
無論其邊の商店や料理屋には
瓦斯
(
ガス
)
の火がついて居たが、烈しい
夕陽
(
ゆふひ
)
は西の空一面を
紅
(
くれなゐ
)
に燒き立てゝ、見渡す往來のはづれなる本願寺の高い屋根をば恐しいほど眞黒に焦してゐる。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
陽
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
“夕陽”で始まる語句
夕陽丘
夕陽時
夕陽等
夕陽雲