無題 京都むだい きょうと富倉次郎にとみくらじろうに
おまへの歯はよく切れるさうな 山々の皮膚があんなに赤く 夕陽で爛らされた鐃鉢を 焦々して摺り合せてゐる おまへはもう暗い部屋へ帰つておくれ おまへの顎が、薄明を食べてゐる橋の下で 友禅染を晒すのだとかいふ黝い水が 産卵を終へた蜉蝣の羽根を滲 …