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塞
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つま
ふりがな文庫
“
塞
(
つま
)” の例文
『ハ、
否
(
いゝえ
)
。』と
喉
(
のど
)
が
塞
(
つま
)
つた樣に言つて、山内は其
狡
(
ずる
)
さうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髭を捻つてゐる信吾の顏をちらと見た。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私はもうグッと胸が
塞
(
つま
)
って来ましたから、構うことはないもうやっつけてしまえと思ったのですけれども、足立さんがしきりに止める。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
深井は眉深に被つたソフトの下から、素早くそれと認めたが、向うでそれと気附いて呉れるまで、息を
塞
(
つま
)
らせて待ち構へた。
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
葬式の出る前は
沸騰
(
にえかえ
)
るようなごたつきであった。家の
内外
(
うちそと
)
には、ぎッしり人が
塞
(
つま
)
って、それが秩序もなく動いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
云うなら人を驚ろすかように
滔々
(
とうとう
)
と述べたてなくっちゃつまらない、おれの癖として、腹が立ったときに口をきくと、二言か三言で必ず行き
塞
(
つま
)
ってしまう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
が、どうしたのか
声
(
こえ
)
は
咽喉
(
のど
)
から
出
(
い
)
でず、
足
(
あし
)
もまた
意
(
い
)
の
如
(
ごと
)
く
動
(
うご
)
かぬ、
息
(
いき
)
さえ
塞
(
つま
)
ってしまいそうに
覚
(
おぼ
)
ゆる
甲斐
(
かい
)
なさ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
紅葉の『色懺悔』は
万朶
(
ばんだ
)
の花が一時に咲匂うて
馥郁
(
ふくいく
)
たる花の香に息の
塞
(
つま
)
るような感があったが、露伴の『風流仏』は千里
漠々
(
ばくばく
)
たる広野に彷徨して
黄昏
(
たそが
)
れる時
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一體俺は、何だつて、此様な
薄暗
(
うすぐら
)
い、息の
塞
(
つま
)
るやうな室に閉ぢ籠つて、此様な眞似をしてゐるんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「オヤ
何所
(
どこ
)
かお悪う御座いますか」と細川は
搾
(
しぼ
)
り
出
(
いだ
)
すような声で
漸
(
やっ
)
と言った。富岡老人一言も発しない、一間は
寂
(
せき
)
としている、細川は
呼吸
(
いき
)
も
塞
(
つま
)
るべく感じた。
暫
(
しばら
)
くすると
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それが
怖
(
おそろ
)
しい!
其
(
その
)
窖
(
あなむろ
)
で
呼吸
(
いき
)
が
塞
(
つま
)
ってはしまやせぬか?
其
(
その
)
穢
(
むさ
)
い
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へは
清
(
きよ
)
い
空氣
(
くうき
)
は
些程
(
つゆほど
)
も
通
(
かよ
)
はぬゆゑ、ロミオどのが
來
(
わ
)
する
頃
(
ころ
)
には
予
(
わし
)
ゃ
死
(
し
)
んでしまうてゐねばなるまい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
驚いて目をポッチリ明き、いたいげな声で悲鳴を揚げながら、四
足
(
そく
)
を張って
藻掻
(
もが
)
く
中
(
うち
)
に、頭から何かで包まれたようで、真暗になる。窮屈で
息気
(
いき
)
が
塞
(
つま
)
りそうだから、出ようとするが、出られない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
この二人の路の
行
(
ゆ
)
き
塞
(
つま
)
ることは見
易
(
やす
)
い道理であったかも知れない。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
白糸ははたと
語
(
ことば
)
に
塞
(
つま
)
りぬ。渠は定まれる家のあらざればなり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「だが……」純吉は云ひかけて息の
塞
(
つま
)
る思ひがした。
渚
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
静子は故なき兄の疑ひと怒が、
悔
(
くや
)
しい、恨めしい、弁解をしようにも喉が
塞
(
つま
)
つて、たゞ堅く/\袖を噛んだが、それでも泣声が洩れる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お庄は息が
塞
(
つま
)
るような心持で、急いで
堤
(
どて
)
について左の方へ道を折れた。店屋の立て込んだ狭い町まで来た時、お庄は冷や汗で体中びっしょりしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が、
奈何
(
どう
)
したのか
聲
(
こゑ
)
は
咽喉
(
のど
)
から
出
(
い
)
でず、
足
(
あし
)
も
亦
(
また
)
意
(
い
)
の
如
(
ごと
)
く
動
(
うご
)
かぬ、
息
(
いき
)
さへ
塞
(
つま
)
つて
了
(
しま
)
ひさうに
覺
(
おぼ
)
ゆる
甲斐
(
かひ
)
なさ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
胸に例の一条が在る拙者は
言句
(
ごんく
)
に
塞
(
つま
)
って了った、然し直ぐ思い返してこの依頼を快く承諾した。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
兄さんはすぐ
呼息
(
いき
)
の
塞
(
つま
)
るような風に向って突進しました。水の音だか、空の音だか、何ともかとも
喩
(
たと
)
えられない響の中を、地面から
跳
(
は
)
ね上る
護謨球
(
ゴムだま
)
のような勢いで、ぽんぽん飛ぶのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ギッシリ
塞
(
つま
)
った和漢洋の書籍が室内を威圧していた。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と
凝
(
じっ
)
と母の
面
(
かお
)
を視た時には、
気息
(
いき
)
が
塞
(
つま
)
りそうだった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
滝本は、震へて、喉が
塞
(
つま
)
つた。
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
雪は五寸許りしか無かつたが、
晴天
(
はれ
)
続きの、塵
一片
(
ひとひら
)
浮ばぬ透明の空から、色なき風がヒユウと吹いて、吸ふ息毎に鼻の穴が
塞
(
つま
)
る。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
気が
塞
(
つま
)
って来ると、笹村はぶらぶら家の方へ行って見た。家には近所の
菎蒻閻魔
(
こんにゃくえんま
)
の縁日から買って来た
忍
(
しのぶ
)
が
檐
(
のき
)
に釣られ、子供の悦ぶ金魚鉢などがおかれてあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
口へ
掌
(
てのひら
)
を当てがっても、
呼息
(
いき
)
の通う音はしなかった。母は
呼吸
(
こきゅう
)
の
塞
(
つま
)
ったような苦しい声を出して、下女に
濡手拭
(
ぬれてぬぐい
)
を持って来さした。それを宵子の額に
載
(
の
)
せた時、「
脈
(
みゃく
)
はあって」と千代子に聞いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又も文句に
塞
(
つま
)
ったが、気を引きたてて父の写真を母の前に置きながら
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「何うです、君の方の
爲事
(
しごと
)
は隨分氣が
塞
(
つま
)
るでせうね?」つて言つたら、「いや、貴方だから打明けて言ひますが、實に下らないもんです。」
我等の一団と彼
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
母親は時々こくりこくりと
居睡
(
いねむ
)
りをしながら、鼻を
塞
(
つま
)
らせて、
下卑
(
げび
)
たその文句に
聴
(
き
)
き
惚
(
ほ
)
れていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「東京へ⁈」細川は声も
喉
(
のど
)
に
塞
(
つま
)
ったらしい。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
二言か三言で必ず行き
塞
(
つま
)
つて仕舞ふ。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
見るからが人の好さ相な、丸顔に髯の赤い、デツプリと肥つた、
色沢
(
いろつや
)
の好い男で、襟の
塞
(
つま
)
つた背広の、腿の辺が張裂けさうだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「今いる家は、体が楽でも気が
塞
(
つま
)
っていけないそうで……。」と、母親も傍から口を添えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『は。』と靜子は
塞
(
つま
)
つた樣な聲を出して、『あの、今日あたりお着き遊ばすかも知れないと、お噂致して居りました。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
枕紙に
染
(
し
)
みついた女の髪の匂いの胸を
塞
(
つま
)
らす時がじきに来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『ハ。』と静子は
塞
(
つま
)
つた様な声を出して、『アノ、今日あたりお着き遊ばすかも知れないと、お噂致して居りました。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
君、S——新聞の主筆の從弟といふ奴が居るんだ。恁麽處で一時間も二時間も密談してると人に怪まれるし、第一此方も氣が
塞
(
つま
)
る、歩き乍らの方が可い。
札幌
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二人は、それから名前や
年齡
(
とし
)
やをお吉に
訊
(
き
)
かれたが、大抵源助が引取つて返事をして呉れた。負けぬ氣のお八重さへも、何か
喉
(
のど
)
に
塞
(
つま
)
つた樣で、一言も口へ出ぬ。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、
強
(
し
)
ひて作つた様な笑顔を見せた。今が今まで我家の
将来
(
ゆくすゑ
)
でも考へて、胸が
塞
(
つま
)
つてゐたのであらう。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その實男も、先刻汽車に乘つた時から、妙に此女と體を密接してゐることに壓迫を感じてゐるので、それを
紛
(
まぎ
)
らかさうとして、何か話を始め樣としたが、兎角、言葉が喉に
塞
(
つま
)
る。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
此室
(
ここ
)
には、(と声を落して、目で壁隣りの室を指し乍ら、)君、S——新聞の主筆の従弟といふ奴が居るんだ。恁麽処で一時間も二時間も密談してると人にも怪まれるし、第一
此方
(
こつち
)
も気が
塞
(
つま
)
る。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
負けぬ気のお八重さへも、何か喉に
塞
(
つま
)
つた様で、一言も口へ出ぬ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
塞
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“塞”を含む語句
閉塞
塞外
逼塞
立塞
塞翁
優婆塞
城塞
馬耳塞
山塞
息塞
馬塞
娑婆塞
韻塞
口塞
荊与棘塞路
方塞
柬埔塞
栓塞
堰塞
馬塞耳
...