旧字:團欒
来太の来る日のにぎやかな団欒にも加わるようなことは少なく、たいていひとり自分の部屋でこつこつ勉強しているという風だった。
しかもガブリエルとエドヴィナ伯爵の婚約式が済んでからは、アンジェリカは一家の団欒の席に顔をみせないことも少なくなかった。
「ああ、相も変らず高雅な団欒でございますことね。法水さん、貴方はあの兇悪な人形使いを——津多子さんをお調べになりまして」
そういうえらい役人の臨席を得て、会はいやが上にも運動会気分をそそられていたのである。それはまったく楽しい団欒であった。
そこは冷やかな玄関でも台所でもなくそこに思いがけない平和な家庭の団欒があって、そして誰かがオルガンをひいていたとする。