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囂々
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ごうごう
ふりがな文庫
“
囂々
(
ごうごう
)” の例文
波は岩を、岩は波を噛んで、ここに
囂々
(
ごうごう
)
、
淙々
(
そうそう
)
の音を
成
(
な
)
しつつ、再び変圧し、転廻し、
捲騰
(
けんとう
)
し、
擾乱
(
じょうらん
)
する豪快無比の壮観を現出する。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
囂々
(
ごうごう
)
とひびいて摩擦音を轟かせ、地獄の大釜がたぎるような氷擦の熱霧をあげながら、日速四百十九メートルといわれる化物氷河の谷。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
たったいま調印交換をすましたばかりの
和睦
(
わぼく
)
などは、頭のうちから消し飛ばして、陣々の諸士も、
囂々
(
ごうごう
)
と
私議紛説
(
しぎふんせつ
)
を放ちあい
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
事実上彼らの一人が普通民から凌辱をでも受けた場合に、一部落こぞって
囂々
(
ごうごう
)
としてその報復を試みる場合が少くない。
特殊部落ということについて:まず部落としての集団的取扱いを廃せよ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
また近頃デモクラシーの声が各所に
囂々
(
ごうごう
)
として唱えられ、また僕自身も小さいながらもこれを旗印としているに
拘
(
かかわ
)
らず
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
夜闇
(
やみ
)
の中であらゆる物の見える不気味な視力と、
囂々
(
ごうごう
)
たる車輪の響きにも拘らずあらゆる物音の聞える耳と、もう一つ
十時五十分の急行
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
彼等はただちに明日の進退について相談にとりかかったが、
囂々
(
ごうごう
)
として意見が尽きずもみにもんで十二時すぎに及んだ。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
常に
嵌口
(
かんこう
)
されながら常に
囂々
(
ごうごう
)
たるその暗黙の闘争から、武装せる平和が、本来既に疑わしい文明の更に自ら身をそこなうべき術数が、生まれたのである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼はすなわち
囂々
(
ごうごう
)
たる反対、妨害、
罵詈
(
ばり
)
、
讒謗
(
ざんぼう
)
をものともせず、非戦論をひっさげて全国を遊説せんと志し、まず自己の選挙区に帰るや、有権者団体は
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
論ずる者、或は
都鄙
(
とひ
)
政談の
囂々
(
ごうごう
)
たるを憂い、天下子弟の法律・政治の学に流れて、理学を修めざるを
咎
(
とが
)
むと
雖
(
いえど
)
も、これ
未
(
いま
)
だ今日の実情を究めざるの罪なり。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
船の外は真暗な天地に、
囂々
(
ごうごう
)
と
吼
(
ほ
)
ゆる風と波とばかりです。船は木の葉のように
弄
(
もてあそ
)
ばれて、すでに振り飛ばすべきものの限りは振り飛ばしてしまいました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今一つのハンドルを廻すと、
囂々
(
ごうごう
)
たる音響と共に、この大きな半球型の天井が徐々にまわり始めるのだった。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と言ったような、何さま世の中はこの問題で
囂々
(
ごうごう
)
と沸き立っているところを示している慌ただしさであった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる賛否の中に世の視聴を集めた作品ですが、その頃から有名になりかけて居た女優の柳糸子が、作者の丹波高一にせがんで貰い受け、それが縁になって
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
空は暗く
曇
(
くも
)
って、
囂々
(
ごうごう
)
と風が
吹
(
ふ
)
いていた。水の上には
菱波
(
ひしなみ
)
が立っていた。いつもは、
靄
(
もや
)
の立ちこめているような
葦
(
あし
)
の
繁
(
しげ
)
みも、からりと
乾
(
かわ
)
いて風に吹き
荒
(
あ
)
れていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
暗黒の洞窟の中で、耳も
聾
(
ろう
)
するばかりのすさまじい水音が
囂々
(
ごうごう
)
と轟きわたり、一同の聴覚を麻痺させる。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
帆柱山
(
ほばしらやま
)
の麓の高台にある藤本家からは、八幡製鉄所が眼下に望まれる。
囂々
(
ごうごう
)
たる音響と、濛々たる
煤煙
(
ばいえん
)
。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
そして、この雑誌も、数頁をそれのために費そうとしているのであるが、私の心には、率直に云って一つの疑いが、此等
囂々
(
ごうごう
)
たる恋愛論に対して生じているのである。
もう少しの親切を
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
秋子は
堤草
(
どてくさ
)
に身体をすりつけるようにして小さくなり顔を伏せるのだった。貞吉はあわてて彼女の手を
解
(
ほど
)
いた。直通列車が
凄
(
すさ
)
まじい速力で
囂々
(
ごうごう
)
と二人の頭の上を過ぎて行った。
汽笛
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
荷車が驚いて
道側
(
みちばた
)
の
草中
(
くさなか
)
に
避
(
よ
)
ける。
鶏
(
にわとり
)
が
刮々
(
くわっくわっ
)
叫んで
忙
(
あわ
)
てゝ
遁
(
に
)
げる。
小児
(
こども
)
の
肩
(
かた
)
を
捉
(
とら
)
え、女が眼を
円
(
まる
)
くして見送る。
囂々
(
ごうごう
)
、
機関
(
きかん
)
が
鳴
(
な
)
る。
弗々々
(
ふっふっふっ
)
、
屁
(
へ
)
の如く
放
(
ひ
)
り
散
(
ち
)
らすガソリンの
余煙
(
よえん
)
。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
憲法の
已
(
すで
)
に与えられた今日においては、更にその精神に遵拠してこれを運用せよというて、天下の物論は依然として
囂々
(
ごうごう
)
たりである。憲政の前途もまた多事なりといわねばならぬ。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる
応酬
(
おうしゅう
)
のこえがぴたりとやみ、一座の眼はいっせいに大将家康を見あげた。
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
欄を
握
(
つか
)
んできっと
睥
(
にら
)
めば
天
(
そら
)
は
五月
(
さつき
)
の
闇
(
やみ
)
より黒く、ただ
囂々
(
ごうごう
)
たる風の音のみ宇宙に
充
(
み
)
ちて物騒がしく、さしも堅固の塔なれど虚空に高く
聳
(
そび
)
えたれば、どうどうどっと風の来るたびゆらめき動きて
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる世論を
惹起
(
ひきおこ
)
し、同業組合の内紛を醸し出したばかりではない。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
マルキシズムや唯物思想や、アメリカニズムや、大衆や、エログロや、その他一般に喧々
囂々
(
ごうごう
)
として附和雷同する街頭の流行論に附随して僕などが今更チンドン屋の旗持の一人になる必要は毫もない。
錯覚した小宇宙
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
が、法水は一向に頓着する気色もなく、その日は他の誰にも遇わず、経蔵の再調査だけをして、
囂々
(
ごうごう
)
たる大雷雨の中を引上げて行った。
夢殿殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
囂々
(
ごうごう
)
として、騒々として、漠々として、瞑々として、
恢々
(
かいかい
)
として、何ともつかぬ無数の
肉音声
(
にくおんじょう
)
が、蒼い蒼い向うの麗光の空から吼えとどろいて来た。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
兄
範宴
(
はんえん
)
は今や
由々
(
ゆゆ
)
しい問題の人となっているのである。
囂々
(
ごうごう
)
として社会は兄を論難し、嘲殺し、排撃しつつあるのだ。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
邸の中はひっそりしていましたけれど、邸の外は
囂々
(
ごうごう
)
として上も下もこの噂で持切りでありました。このことからして、能登守の信望は地を払ってしまいました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
暗闇の千葉街道を、
驀地
(
まっしぐら
)
に、疾走しているのは、
世田
(
せた
)
ヶ
谷
(
や
)
の自動車大隊だった。
囂々
(
ごうごう
)
たる
轍
(
わだち
)
の響は並木をゆすり、ヘッド・ライトの前に、
濛々
(
もうもう
)
たる土煙をあげていた。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それを何んとかして逮捕しなければならない、三ヶ月の間に銀行を三つも襲撃し、人間も六人もあやめて居る、——世間は
囂々
(
ごうごう
)
として我々当局者を攻撃して居る有様だ。
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる批難が学界におこって、日頃はあんなに仲もよくない物理・数学・化学その他の専門部が一致して物理学界の例会で討論をやり、竹内時男という人の学者的立場は
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる社会
輿論
(
よろん
)
のうちにこの凄惨極まる日記を発表するに当っては、まず当時の受けた衝撃なり
戦慄
(
せんりつ
)
なりを、実感そのまま読者にお伝えすることが必要であろうと思われる。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
匍匐し、挑み、相撃ち、逃惑い、追跡する暗褐色の数万のグロテスクな海獣どもの咆哮と叫喚は、
劈
(
つんざ
)
くような無数の
海鴉
(
ロッペン
)
の鳴声と交錯し、騒々
囂々
(
ごうごう
)
、日夜、やむときなく島を揺りうごかす。
海豹島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
すると後から難詰の言葉を投げる者が出て、榎本は
囂々
(
ごうごう
)
の声にとり囲まれた。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
外には汽関車の響や人声が
囂々
(
ごうごう
)
と騒いで居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる不平はたいへんなものだったが、長老の鶴の一と声。ぶつぶつ引き
退
(
さ
)
がるしかなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
惨劇
(
さんげき
)
は、満都の恐怖をひきおこすと共に、当局に対する
囂々
(
ごうごう
)
たる非難が捲き起った。「科学者を保護せよ、犯人を即刻逮捕せよ」と天下の
与論
(
よろん
)
は嵐の如くにはげしかった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
謂わば非難
囂々
(
ごうごう
)
たるバルザックの文体も、根本は当時の社会生活の特質によって来らしめたものであると看破したところに、イポリィト・テエヌの、確乎たる時代的卓越性がある。
バルザックに対する評価
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この猟奇事件は今や社会各層の好奇心を
唆
(
そそ
)
り立て、市井には事実とするもの
然
(
しか
)
らずとするもの両論が
囂々
(
ごうごう
)
と沸き立って、このところ巷の話題は、アレサンドロ事件をもって持ち切りの観がある。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その夜、主峰の雲のなかで
囂々
(
ごうごう
)
と雷が荒れた。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
どよめき立った
数万
(
すうまん
)
の
大衆
(
たいしゅう
)
は、その時まるでホジクリだされた虫のごとく、地上にあってまッ黒に
蠢動
(
しゅんどう
)
し、ただ
囂々
(
ごうごう
)
、ただ
喧々
(
けんけん
)
、なにがなにやら、
叫
(
さけ
)
ぶこえ、
喚
(
わめ
)
くこえ
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛行島は、まだ何事も知らず、闇夜の嵐のなかをついて、
囂々
(
ごうごう
)
と北東へ
驀進
(
ばくしん
)
しつづけている。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
アヴァス等世界の大通信社の触手という触手は一斉に色めき立って、地元
拉丁亜米利加
(
ラテンアメリカ
)
諸国はもちろん、全欧米を熱狂と興奮の
坩堝
(
るつぼ
)
と化せしめ、世界学界に解けざる謎を与えて
輿論
(
よろん
)
は
囂々
(
ごうごう
)
として
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この現象と一方に
囂々
(
ごうごう
)
たる響を立てている文芸復興の声とは互に混りあい、絡まりあって、社会性を抹殺した文学熱、箇人化された才能の競争で一般的人間を描かんとする熱を高めたのであった。
今日の文学の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
予定の二ヵ年はとくに過ぎて、藩地のほうでも
囂々
(
ごうごう
)
と、非難の声があがっていた。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
囂々
(
ごうごう
)
たる機械音が、闇と海面とを圧していた。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さだめし
囂々
(
ごうごう
)
と蔭口きいたり、又、口の悪い
落首
(
らくしゅ
)
が諸所に現われるだろうと
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とやかくと
一刻
(
いっとき
)
ばかりは、敵も味方も
囂々
(
ごうごう
)
と
鼎
(
かなえ
)
の沸く如く騒然としていたが、やがて再び合図の太鼓がとうとうと鳴り渡ると、緊張し切った大衆は炎に
驟雨
(
しゅうう
)
が来たかのような
静謐
(
せいひつ
)
に返ってしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
囂々
(
ごうごう
)
たる反対や不平を招いてしまった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
囂
漢検1級
部首:⼝
21画
々
3画
“囂々”で始まる語句
囂々音