呼聲よびごゑ)” の例文
新字:呼声
繪にてはチマーブエ、覇を保たんとおもへるに、今はジオットの呼聲よびごゑ高く、彼の美名よきなかすかになりぬ 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あさまだきは、旅館りよくわん中庭なかには其處そこ此處こゝを、「おほきな夏蜜柑なつみかんはんせい。」……親仁おやぢ呼聲よびごゑながらいた。はたらひと賣聲うりごゑを、打興うちきようずるは失禮しつれいだが、旅人たびびとみゝにはうたである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
このをとりになるとり呼聲よびごゑは、春先はるさきから稽古けいこをしたこゑですから、たかそらはうまでよくとほりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ふたゝ海面かいめんうかでゝ、いのちかぎりにおよいでると、しばらくして、彼方かなた波上はじやうから、ひと呼聲よびごゑと、オールとがちかづいてて、吾等われら兩人りやうにんつひなさけある一艘いつそう端艇たんていすくげられたのである。
それのみにてもれは生涯しやうがい大事だいじにかけねばなるまじきひと不足ふそくらしき素振そぶりのありしか、れはらねどもあらばなんとせん、果敢はかなき樓閣ろうかく空中くうちゆうゑがとき、うるさしや我名わがな呼聲よびごゑそで
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
といふ呼聲よびごゑが闇の中から、にぎやかに、併し何となく物靜にきこえる。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
……學者がくしや術語じゆつごばなれがして、商賣しやうばいによつてかしこしである、とおもつたばかりは二人組ふたりぐみかけあひ呼聲よびごゑも、じつ玄米げんまいパンと、ちんどん、また一所いつしよになつた……どぢやう、どぢやう
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あまりなひととこみあぐるほどおもひにせまれど、母親はゝおや呼聲よびごゑしば/\なるをわびしく、詮方せんかたなさに一トあし二タあしゑゝなんぞいの未練みれんくさい、おもはくはづかしとをかへして、かた/\と飛石とびいしつたひゆくに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一トつきおなしよくくて霜月しもつきよりはるへかけては突羽根つくばね内職ないしよくなつ檢査塲けんさば氷屋こほりや手傳てつだひして、呼聲よびごゑをかしくきやくくに上手じやうずなれば、ひとには調法てうはうがられぬ、去年こぞ仁和賀にわか臺引だいひきにいでしより
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふと思出おもひだしたれば、鄰國りんごく富山とやまにて、團扇うちはめづらしき呼聲よびごゑを、こゝにしるす。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)