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亡者
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もうじゃ
ふりがな文庫
“
亡者
(
もうじゃ
)” の例文
オニなども今では
角
(
つの
)
あって
虎
(
とら
)
の皮をたふさぎとし、必ず地獄に住んで
亡者
(
もうじゃ
)
をさいなむ者のごとく、解するのが普通になったらしいが
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「極東」のシナ人までこめた世界じゅうの黄金
亡者
(
もうじゃ
)
が、バラックと二
挺
(
ちょう
)
短銃と砂金袋と悪漢とシェリフの国をつくるべく押寄せた。
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
今のさき取りかたづけさせたあの五人の
亡者
(
もうじゃ
)
にでも食べさせるつもりであるなら、さかな屋で生臭入りの弁当もおかしいのです。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
経巻は六道を行く
亡者
(
もうじゃ
)
のために六部お書かせになったのである。宮の持経は六条院がお手ずからお書きになったものである。
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ああ、ユトリロ。まだ生きていやがるらしいね。アルコールの
亡者
(
もうじゃ
)
。
死骸
(
しがい
)
だね。最近十年間のあいつの絵は、へんに俗っぽくて、みな駄目」
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
我執
(
がしゅう
)
と自負と
虚偽
(
きょぎ
)
とのわなにかかって身もだえしている嫉妬心の
亡者
(
もうじゃ
)
、それ以外に今の自分に何が残されているというのだ。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「むむ、宮戸川のお光か。道理で、見たような女だと思った。あいつ、いい
亡者
(
もうじゃ
)
になって大道占いに絞られている。はは、色男でも出来たかな」
半七捕物帳:47 金の蝋燭
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
本堂の
背後
(
うしろ
)
は墓地でもあろうか、浮世に未練を残した
亡者
(
もうじゃ
)
が地下で
窃
(
ひそ
)
かに
咽
(
むせ
)
ぶかのような夜鳥の啼く声が聞こえて来る。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
如何様
(
どん
)
なお寺にも過去帳がある。彼は彼の罪亡ぼしに、其の過去帳から彼の餌になった二三
亡者
(
もうじゃ
)
の名を写して見よう。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
声を聞いても、ぞっとするというやつだ。なるほど、わたしは厭なやつで、がりがり
亡者
(
もうじゃ
)
で、暴君かもしれない。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
近頃になって人間が死ななくなった訳でもあるまい、やはり従前のごとく相応の
亡者
(
もうじゃ
)
は、年々御客様となって、あの
剥
(
は
)
げかかった額の下を
潜
(
くぐ
)
るに違ない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何処へも行きゃあしないさ。こうしてね、ぼつぼつ商売を始めるんだよ。そのうちに、
亡者
(
もうじゃ
)
がやってくるから、そしたら、私のいう通りにすればいい」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのあやし火の中を
覗
(
のぞ
)
いて見ろい、いかいこと
亡者
(
もうじゃ
)
が居らあ、地獄の
状
(
さま
)
は一見えだ、と千太どんがいうだあね。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
来たな、どの
面
(
つら
)
下げて何といって来たか。
亡者
(
もうじゃ
)
とは言いながら、よくかぎつけて来たものだ。こうなってみると、どっちが先走りをしたものかわからない。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
花を尋ねたり、墓を訪うたり、美しい夢ばかり見ていたあの頃の自分には、このイタリア人は暗い黄泉の闇に荒金を掘っている
亡者
(
もうじゃ
)
か何かのように思われた。
イタリア人
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
馬鹿あ
吐
(
ぬ
)
かせ、三銭の
恨
(
うらみ
)
で
執念
(
しゅうねん
)
をひく
亡者
(
もうじゃ
)
の
女房
(
かかあ
)
じゃあ
汝
(
てめえ
)
だってちと役不足だろうじゃあ
無
(
ね
)
えか、ハハハハ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
木乃伊
(
みいら
)
とか、とにかくそんなような、そしてまったく感応性なんてもののない……そうだ、つまり
亡者
(
もうじゃ
)
だね
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
それからこちらの
住人
(
じゅうにん
)
として
何
(
なに
)
より
慎
(
つつし
)
まねばならぬは、
怨
(
うら
)
み、そねみ、
又
(
また
)
もろもろの
欲望
(
よくぼう
)
……そう
言
(
い
)
ったものに
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
われるが
最後
(
さいご
)
、つまりは
幽界
(
ゆうかい
)
の
亡者
(
もうじゃ
)
として
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
赤鬼青鬼にひったてられて
亡者
(
もうじゃ
)
がこの鏡の前に立つと、亡者
生前
(
せいぜん
)
の
罪悪
(
ざいあく
)
が一遍の映画となって映り出す。この
大魔鏡
(
だいまきょう
)
こそは
航時機
(
タイムマシーン
)
を併用して居る無線遠視器である。
十年後のラジオ界
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
「手足を縛って猿轡をはめて溺れ死んだ上、わざわざそれを解いて身投げする
亡者
(
もうじゃ
)
はあるまい、八」
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
まるで
燐火
(
おにび
)
のように生白く見えて来るにつれて、踊っている人達の身体の色がちょうど、地獄に堕ちた
亡者
(
もうじゃ
)
を見るように、赤や、緑色や、紫色に光って見えて来るんですって。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、その声は、地獄の
亡者
(
もうじゃ
)
の笑い声のようにしわがれた
空
(
から
)
っぽな、気味の悪い声であった。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
おまえは、なにかまぼろしを見て、そうしていたのじゃろうが、いつまでも、そうしていたら、平家の
亡者
(
もうじゃ
)
の中へひきこまれ、ついには
八
(
や
)
つざきにされてしまうところじゃった。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
苦痛にしいたげられ、悪意にゆがめられ、
煩悩
(
ぼんのう
)
のために支離滅裂になった
亡者
(
もうじゃ
)
の顔……葉子は背筋に一時に氷をあてられたようになって、身ぶるいしながら思わず鏡を手から落とした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
庭径をながむれば樹木も
戦慄
(
せんりつ
)
するように思われ、木の葉のさらさらとそよぐ音にも、家なき
亡者
(
もうじゃ
)
の私語が聞こえる。地獄の門前にいるまじめくさった番兵のように、灰色の
燈籠
(
とうろう
)
が立っている。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
亡者
(
もうじゃ
)
は足が
速
(
はや
)
く、一般の苦力さえも知らないような近路をして走り廻る。私はもう一度大きい声を立てて笑ったが、なんだか気違いになりそうな気がしたので、あわててその笑い声をおさえた。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
あの
亡者
(
もうじゃ
)
どもの名簿が御入用なんでがしたな? おやすい御用で! わしはな、今度の人口調査に戸籍から
削除
(
けず
)
ってもらおうと思って、ちゃんと別の紙に一人のこらず書きつけておきましたわい。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「どうじゃな。この剃刀では
亡者
(
もうじゃ
)
の頭をたくさん剃ったであろうな」
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
頭陀袋一つで
亡者
(
もうじゃ
)
が浮かばれねえってわけでもあるめえに。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
僧「斯ういう
亡者
(
もうじゃ
)
には
血盆経
(
けっぽんきょう
)
を上げてやらんと……」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
背中の貼紙——「
亡者
(
もうじゃ
)
」と大書してある。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
亡者
(
もうじゃ
)
の案内をなさる
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
五人とも
亡者
(
もうじゃ
)
の姿がなくなっておりましたゆえ、にわかに騒ぎだして、八方へ手分けしながら捜したところ——
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しきりにパチつかせていたが「本当にさ、幽霊だの
亡者
(
もうじゃ
)
だのって、そりゃ御前、
昔
(
むか
)
しの事だあな。電気灯のつく
今日
(
こんにち
)
そんな
箆棒
(
べらぼう
)
な話しがある訳がねえからな」
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と思うと、なにかんがえたか、
賽
(
さい
)
の
河原
(
かわら
)
の
亡者
(
もうじゃ
)
のように、そこらの小石をふところいっぱいひろいこんだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
単なる
亡者
(
もうじゃ
)
の隠れ行く処であるに
止
(
とど
)
まらず、絶えず是から流れ出て、現世を楽しく明るくするものの、
爰
(
ここ
)
が主要なる源頭であることを、かつて我々は南北共同に
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「うふ、ゆうべだけじゃないよ。このごろは、
亡者
(
もうじゃ
)
ども、一般に金まわりがよいと見えて、見料の外にチップを置いていくよ。
呆
(
あき
)
れた時勢だな。はッはッはッはッ」
第四次元の男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一度
何処
(
どこ
)
か方角も知れない島へ、船が
水汲
(
みずくみ
)
に寄つた時、浜つゞきの
椰子
(
やし
)
の樹の奥に、
恁
(
こ
)
うね、透かすと、一人、コトン/\と、
寂
(
さび
)
しく
粟
(
あわ
)
を
搗
(
つ
)
いて居た
亡者
(
もうじゃ
)
があつてね
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それをする時に
体
(
てい
)
よく組を別けて、一組は留守を守り、一組は垣根を越えて行くのでありました。こうして外へ迷い出して歩くものを、彼等の仲間で
亡者
(
もうじゃ
)
と呼んでいました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
下界の動乱の
亡者
(
もうじゃ
)
たちに何かを投げつけるような、おおらかな身振りをしていて、若い小さい処女のままの
清楚
(
せいそ
)
の母は、その美しく勇敢な全裸の
御子
(
みこ
)
に初い初いしく寄り添い
俗天使
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あッと顔見合せる一座の中へ、
月代
(
さかやき
)
も
髯
(
ひげ
)
も伸び放題ながら清らかな紋服に着換えた林太郎は、細々とした自分の影を踏んで、——
冥途
(
めいど
)
を行く
亡者
(
もうじゃ
)
のように静かに進み出たのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
肝心の時は逃げ出して今ごろ十兵衛が
周囲
(
まわり
)
に
蟻
(
あり
)
のように
群
(
たか
)
って何の役に立つ、馬鹿ども、こっちには
亡者
(
もうじゃ
)
ができかかって居るのだ、
鈍遅
(
どじ
)
め、水でも汲んで来て打っ
注
(
か
)
けてやれい
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
宇宙万象も何もかもから切り離された
亡者
(
もうじゃ
)
みたようになって、グッタリと椅子に
凭
(
も
)
たれ込んで底も
涯
(
はて
)
しもないムズ
痒
(
がゆ
)
さを、ドン底まで掻き廻わされる快感を、全身の毛穴の一ツ一ツから
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「大日如来が
嘘
(
うそ
)
を仰せられたのでなければ、私が熱誠をこめて行なう修法に効果の見えぬわけはありません。悪霊は
執拗
(
しつよう
)
であっても、それは
業
(
ごう
)
にまとわれたつまらぬ
亡者
(
もうじゃ
)
ではありませんか」
源氏物語:39 夕霧一
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
まだ気の毒な
亡者
(
もうじゃ
)
も、より気の毒な生き残りも二三あります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
亡者
(
もうじゃ
)
のような心地。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こんな真似をして
澄
(
すま
)
していたものは旧弊な
亡者
(
もうじゃ
)
と、汽車へ積み込まれる豚と、宗伯老とのみであった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無断で出京したに違いないと見、流行の苦学
亡者
(
もうじゃ
)
を諭戒するような語で、あたまからぼくを叱った。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はあてね。寺帳とね。
亡者
(
もうじゃ
)
調べの過去帳なら話もわかるが、寺帳とはまた初耳だ。そんなものを
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この小塚原の
亡者
(
もうじゃ
)
どもが浮び出すほど、踊って待っていろ……ところでいったい、お前たちは無暗に踊ったり跳ねたりしているようだが、踊りのこつというものを知っているのか
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“亡者”の意味
《名詞》
あるものに取りつかれた人。
(出典:Wiktionary)
亡
常用漢字
小6
部首:⼇
3画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“亡者”で始まる語句
亡者扱
亡者達