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雛妓
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おしゃく
ふりがな文庫
“
雛妓
(
おしゃく
)” の例文
「ゆうべ、この千吉の妹のやつが、殺されたんです。いつぞやお話し申し上げた、柳橋から
雛妓
(
おしゃく
)
に出ていたお
半
(
はん
)
という
美
(
い
)
い
娘
(
こ
)
です」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
の黄色い声が聞えたり、踊る姿が
磨硝子
(
すりガラス
)
を
透
(
とお
)
して映ったりした。とうとうお
終
(
しま
)
いには雛妓が合宿へ遊びに来るようになった。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
突当
(
つきあたり
)
らしいが、横町を、その三人が曲りしなに、小春が行きすがりに、
雛妓
(
おしゃく
)
と
囁
(
ささや
)
いて「のちにえ。」と言って別れに、さて教授にそう言った。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
達が若い張りのある声で「いっちく、たっちく太右衛門どん——」を繰り返しました。鬼にされたのは白旗直八。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新造卸しの引出物の折菓子を与えられて、唇の紅を乱して食べていた
雛妓
(
おしゃく
)
が、座を取持ち顔に、「
愛嬌喚
(
あいきょうわめ
)
き」をした。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
とウッカリ口を辷らしたから
堪
(
た
)
まらない。隅ッ子の方に固まっていた
雛妓
(
おしゃく
)
が「ワッ」と泣き出す……トタンに来島の血相が又も一変して真青になった。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
小六は早くから、少し
年増
(
としま
)
の芸者と十二、三の
雛妓
(
おしゃく
)
と一緒に来て、お茶を出したりお膳を運んだりするのでした。きっとこの人たちは同じ家にいるのでしょう。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「こんな下駄を
穿
(
は
)
かして、式に連れて行かれるものか。これは、お前、
雛妓
(
おしゃく
)
なぞの穿くような下駄だ」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
帯広
(
おびひろ
)
は十勝の
頭脳
(
ずのう
)
、
河西
(
かさい
)
支庁
(
しちょう
)
の
処在地
(
しょざいち
)
、大きな野の中の町である。
利別
(
としべつ
)
から
芸者
(
げいしゃ
)
雛妓
(
おしゃく
)
が八人乗った。今日
網走線
(
あばしりせん
)
の鉄道が
㓐別
(
りくんべつ
)
まで開通した其開通式に赴くのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
眼瞼
(
まぶた
)
の裏の紅い処をひっくりかえして白眼を出させたり、
耳朶
(
みゝたぶ
)
や唇の端を掴んで振って見たり、芝居の子役か
雛妓
(
おしゃく
)
の手のようなきゃしゃな青白い指先が狡猾に働いて
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
過般
(
こないだ
)
も
宴会
(
えんかい
)
の席で
頓狂
(
とんきょう
)
な
雛妓
(
おしゃく
)
めが、あなたのお
頭顱
(
つむり
)
とかけてお
恰好
(
かっこう
)
の
紅絹
(
もみ
)
と
解
(
と
)
きますよ、というから、その心はと聞いたら、地が
透
(
す
)
いて赤く見えますと云って笑い
転
(
ころ
)
げたが
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
女学生の群も中々多く、時には芸者や
雛妓
(
おしゃく
)
や又はカッフエの女給らしい艶めいた若い女性達が、真面目な顔付でオールを動かしていたりして、色彩をはなやかならしめている。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
その時分若松屋には三代目の小糸という
雛妓
(
おしゃく
)
も、お丸という二代目も出ていた。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
岡田三郎助の
雛妓
(
おしゃく
)
の額が、また壁間に残っているのも、思い出の種である。
芝、麻布
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
灯がつくと、芸者と
雛妓
(
おしゃく
)
とがどやどや
厭
(
いや
)
に品をつくって入って来た。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
奥には、板新道の
雛妓
(
おしゃく
)
らしいのが、五人ほど、水盤をのぞき合って、
明礬
(
みょうばん
)
の
辻占
(
つじうら
)
だの、水草の
弄具
(
おもちゃ
)
などを咲かせて、騒いでいる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昼は屋台が廻って、この玄関前へも練込んで来て、
芸妓連
(
げいしゃれん
)
は地に並ぶ、
雛妓
(
おしゃく
)
たちに、町の
小女
(
こおんな
)
が
交
(
まじ
)
って、一様の花笠で、湯の花踊と云うのを
演
(
や
)
った。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
逸作は、もしこのことで不孝の罰が当るようだったら俺が引受けるなどと冗談のように言って、それから女中に命じて
雛妓
(
おしゃく
)
かの子を
聘
(
へい
)
することを命じた。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
や、若い
芸妓
(
げいしゃ
)
達——力に逆らわないように慣らされている女達——は、こう
艶
(
なまめ
)
かしい合唱を響かせました。
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今度は十五六のお転婆な
雛妓
(
おしゃく
)
が、後へ廻って両手で足を掬い上げたので、見事ころ/\と芝生の上を転がりましたが、どッと云う笑い声のうちに、再びのッそり起き上り
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「時に、
銚子
(
ちょうし
)
を持つ役ですが」と実は稲垣の方を見て、「君の
許
(
とこ
)
の娘を借りて、俊と、二人出そうと思いましたがね、それも面倒だし……いっそ
雛妓
(
おしゃく
)
を頼むことにしました」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
例の芸者や
雛妓
(
おしゃく
)
やかみさんや奥さんや学生や紳士や、さま/″\の種類階級の人々のぞろ/\渦を巻いた、神楽坂独特の華やかに艶めいた
雑踏
(
ざっとう
)
の中を掻き分けながら歩いていた光景は
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「……バカア……
好色漢
(
すけべえ
)
……そんな事を云うたて
雛妓
(
おしゃく
)
は惚れんぞ……」
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると、その洋館と日本座敷とをつないでいる橋廊下の上にぼんやりと、海をながめている
雛妓
(
おしゃく
)
のすがたがあった。トム公の影はすぐに隠れていた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
商売をひいてからは、いつも独りで束ねるが、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しなら不自由はなし、
雛妓
(
おしゃく
)
の桃割ぐらいは慰みに結ってやって、お世辞にも誉められた覚えがある。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたくしは
雛妓
(
おしゃく
)
に訳をざっと説明してから家の中を
見廻
(
みまわ
)
して、「ですからここは借家よ」と言った。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
座敷著姿の艶っぽい芸者や
雛妓
(
おしゃく
)
等があの
肩摩轂撃的
(
けんまこくげきてき
)
の人出の中を掻き分けながら、こちらの横町から向うの横町へと渡り歩いている光景は、今も昔と変りなくその善い悪いは別として
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
達も客も芸妓も皆んな並べて
銭形平次捕物控:054 麝香の匂い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
雛妓
(
おしゃく
)
の時に前歯を折ったといって、このへんに」と、糸切歯を指して「——ちょびっと、銀を入れているのが、笑う時に、妖婦らしく見えたっけが」
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次の部屋の
真中
(
まんなか
)
で、盆に向って、
飯鉢
(
おはち
)
と茶の土瓶を引寄せて、
此方
(
こなた
)
の
灯
(
あかり
)
を頼りにして、
幼子
(
おさなご
)
が独り飯食う秋の暮、という形で、
掻
(
か
)
っ込んでいた、
哀
(
あわれ
)
な
雛妓
(
おしゃく
)
が
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人は
襖
(
ふすま
)
を開けて出て来て、
雛妓
(
おしゃく
)
を見て、好奇の眼を
瞠
(
みは
)
った。雛妓は丁寧に
挨拶
(
あいさつ
)
した。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
七人の
雛妓
(
おしゃく
)
ばかりが、二台の馬車につまっていた。馬車がゆれるたびに、雛妓たちはキャッキャと笑い
転
(
こ
)
けた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はァい。」と
引張
(
ひっぱ
)
って返事をして、
雛妓
(
おしゃく
)
は
膳
(
ぜん
)
を
摺
(
ず
)
らして立ち、
段階子
(
だんばしご
)
の下で顔を傾けて、可愛らしく
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何も知らない
雛妓
(
おしゃく
)
時代に、座敷の客と先輩の間に交される露骨な話に笑い過ぎて畳の上に粗相をしてしまい、座が立てなくなって泣き出してしまったことから始めて、囲いもの時代に
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「ヘエ、じゃ、
雛妓
(
おしゃく
)
にしたのかい。……それやかえっていいだろう、今のうちから、柳ばしの水で洗い上げれば、さだめし、江戸前の芸者衆になるだろうよ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、まだ寝ないで、そこに、羽二重の
厚衾
(
あつぶすま
)
、枕を四つ、頭あわせに、身のうき事を問い、とわれ、
睦言
(
むつごと
)
のように語り合う、小春と、
雛妓
(
おしゃく
)
、爺さん、
小児
(
こども
)
たちに見せびらかした。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何も知らない
雛妓
(
おしゃく
)
時代に、座敷の客と先輩との間に交される露骨な話に笑い過ぎて畳の上に
粗相
(
そそう
)
をして仕舞い、座が立てなくなって泣き出してしまったことから始めて、囲いもの時代に
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「内気だけど、品がいいもの、ほかの
雛妓
(
おしゃく
)
さんと来たら、私たちでも、顔負けがするのがあるもの」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
運が
好
(
よ
)
いと、
雛妓
(
おしゃく
)
の袖を
引張
(
ひっぱ
)
ることも出来るし、女中の
臀
(
しり
)
を叩くことも出来るのが役得。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
現在、奉行所の獄中に
囚
(
とら
)
われている郁次郎が、
雛妓
(
おしゃく
)
のお半を、何しに、
殺害
(
せつがい
)
するいわれがあろう
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
キャキャとする
雛妓
(
おしゃく
)
の
甲走
(
かんばし
)
った声が聞えて、重く、ずっしりと、
覆
(
おっ
)
かぶさる風に、何を話すともなく
多人数
(
たにんず
)
の物音のしていたのが、この時、
洞穴
(
ほらあな
)
から風が抜けたように
哄
(
どっ
)
と
動揺
(
どよ
)
めく。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雛妓
(
おしゃく
)
たちが、
隅
(
すみ
)
でクスリと笑った。庄次郎は
間
(
ま
)
が
悪
(
わる
)
そうに顔を横にした。すると簀戸越しに見える水団扇の
蔭
(
かげ
)
から、眼が——女の眼が——じいっと、やはり、自分を見ているのだった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小春さん、
先刻
(
さっき
)
の、あの可愛い
雛妓
(
おしゃく
)
と、
盲目
(
めくら
)
の
爺
(
とっ
)
さんたちをここへお呼び。で、お前さんが主人になって、
皆
(
みんな
)
で湯へ入って、御馳走を食べて、互に慰めもし、また、慰められもするが
可
(
い
)
い。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
抱妓
(
かかえ
)
が五人と
分
(
わけ
)
が二人、
雛妓
(
おしゃく
)
が二人、それと台所と
婢
(
ちび
)
の同勢、
蜀山
(
しょくざん
)
兀
(
こつ
)
として阿房宮、富士の霞に日の出の
勢
(
いきおい
)
、
紅白粉
(
べにおしろい
)
が小溝に
溢
(
あふ
)
れて、羽目から友染がはみ出すばかり、
芳町
(
よしちょう
)
の
前
(
ぜん
)
の
住居
(
すまい
)
が
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
分けてむこうは身一つで、
雛妓
(
おしゃく
)
一人抱えておらぬ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“雛妓”の意味
《名詞》
まだ一人前でない芸妓。
(出典:Wiktionary)
雛
漢検準1級
部首:⾫
18画
妓
漢検準1級
部首:⼥
7画
“雛”で始まる語句
雛
雛鳥
雛形
雛罌粟
雛壇
雛鶏
雛様
雛段
雛菊
雛芥子