つかは)” の例文
致して見ん夫に就て急々きふ/\古河こが相談さうだんなしたきものなれども外の人をつかはしては事のわかるまじければ詮方せんかたなし我古河へ行きて吉右衞門殿に面談めんだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分が先づつかはした斥候のやうに考へたのです。その斥候が巧く遣つたので、もうおれが出かけても大丈夫だと思つたのです。
反古 (旧字旧仮名) / 小山内薫(著)
夜になつて、私に會ひ度い氣分におなりのときに私を呼びにおつかはしになつて下さいまし。そしたら私、參ります。その他のときはいけませんわ。
それゆゑにこれ異變いへんがあるたびに、奉幣使ほうへいしつかはして祭祀さいしおこなひ、あるひ神田しんでん寄進きしんし、あるひ位階いかい勳等くんとうすゝめて神慮しんりよなだたてまつるのが、朝廷ちようてい慣例かんれいであつた。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ハヽー少し逆上ぎやくじやうしてるやうぢやから、カルメロを一りんにヤーラツパを五ふん調合てうがふしてつかはすから、小屋こやかへつて一にちに三くわい割合わりあひ服薬ふくやくいたすがよい。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「わたくしもさやう申してつかはしませうかと存じてをりました。お留守の間は外へは出ません積でございます。」
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「それは何でもない事だ。後刻平次と言ふ御用聞をつかはしませうと、はつきり斷つてある」
すると上奏に及んだものがある、これはいくさを動かさるるまでもない、一人いちにんの将を河上かじようつかはして、賊のかたに向つて孝経こうきようを読せられた事ならば、賊はおのづから消滅せん、は好いぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのうちに僕にぜにを呉れたのを記したところが処々に見つかる。明治十九年十月十五日曇り。二銭柿代富太郎、茂吉えつかはし。明治二十年七月十五日。四銭茂吉え遣し。明治廿三年正月七日。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ロミオ この黄金こがねつかはすぞ、これこそはひとこゝろ大毒藥だいどくやくぢゃ、おぬしりかぬるこの些末さまつなる藥種やくしゅよりもこの濁世ぢょくせでははるかおそろしい人殺ひとごろしをするもの。おぬしではうてわしこそはどくるのぢゃ。さらば。
ひとゝせ歳越としこしてんをしたる俳諧はいかいまきふところにし、俳友はいいう兎角子とかくしともなひ、そのまき催主さいしゆのもとへいたりて巻をあるじつかはしければ、よろこびて、今夜こよひはめでたき夜なり、ゆる/\かたり玉へとて
次いで、尊氏は使者を比叡山につかはし、偽り降つて、天皇の御還幸を乞ひ奉り、天皇が還幸あらせられると、花山院くわざんゐんに幽し奉つたので、天皇は夜に乗じて、神器を奉じて吉野に行幸あらせられた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
宵に女にあひて必ず後にあはんとちかごとをたてさせてあしたにつかはしける
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
馬喰町旅籠屋清兵衞方はたごやせいべゑかたつかはされ吉三郎が母を隨分ずゐぶんいたはり申すべし一兩日中には吉三郎を無事に返しつかはさん夫迄それまで能々よく/\看病かんびやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つかはしまして歸さうと致しましたが、いちと申す娘がどうしても聽きませぬ。とうとう願書を
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「不承を有仰おつしやるところは少しも有りはしません、その代り何分なんぶん今日こんにちつかはし下さい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
其方そのはう懷妊くわいにんの由我等血筋に相違是なしもし男子なんし出生しゆつしやうに於ては時節を以て呼出すべし女子たらば其方の勝手に致すべし後日證據の爲め我等われらに添大切に致し候短刀たんたう相添あひそへつかはし置者也依て如件
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畫人武清上州桐生きりふ遊候時あそびそろとき、桐生の何某なにがし申候には、數年玉池ぎよくちへ詩を直してもらひにつかはさふらども兎角とかく斧正ふせい麤漏そろうにて、時として同字などある時もありてこまり申候、これよりは五山へ願可申候間ねがひまうすべくそろあひだ
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
正虎が「此度は右衞門佐殿公事くじ御勝利になられて、祝著に存ずる、去りながら萬一右衞門佐殿配所へつかはされる事になつたのであつたら、面々めん/\はなんとなされたのであつたか、しかと承つて置きたい」
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「五月一日。晴。長女河合へつかはす。さんぬる十七日友翁旅中病死之悔。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)