軍勢ぐんぜい)” の例文
為朝ためともれいの二十八をつれて西にしもんまもっておりますと、そこへ清盛きよもり重盛しげもり大将たいしょうにして平家へいけ軍勢ぐんぜいがおしよせてました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おもわぬことにほこさきをくじいたおつ軍勢ぐんぜいけて退却たいきゃくいたしますと、今度こんどこう軍勢ぐんぜいきゅういきおいをかえして、げるおつ軍勢ぐんぜいってゆきました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕立屋さんがこういうのをききますと、みんなはすっかりこわくなって、まるで魔王まおう軍勢ぐんぜいわれてでもいるように、われさきにとにげだしました。
そのとき忍熊王おしくまのみこ軍勢ぐんぜいには、伊佐比宿禰いさひのすくねというものが総大将そうたいしょうになっていました。それに対して皇后方からは建振熊命たけふるくまのみことという強い人が将軍となってめかけました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その城とは、三里じゃく距離きょりをおいて、水屋みずやはらにかりの野陣をしいているのは、すなわち秀吉方ひでよしがた軍勢ぐんぜいで、紅紫白黄こうしびゃくおうの旗さしもの、まんまんとして春風しゅんぷうに吹きなびいていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしは使命を果すためには、この国の山川やまかわに潜んでいる力と、——多分は人間に見えない霊と、戦わなければなりません。あなたは昔紅海こうかいの底に、埃及エジプト軍勢ぐんぜいを御沈めになりました。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかもこの同じ宿屋だったかもしれないが、のちに何万という軍勢ぐんぜいひきいる大将たいしょうがここで生まれたのだ。はじめはうまやのこぞうから身を起こして、公爵こうしゃくがなり、のちには王さまになった。
その声につれてだんずるびわの音は、また縦横じゅうおうにつき進む軍船ぐんせんの音、のとびかうひびき、甲胄かっちゅうの音、つるぎのり、軍勢ぐんぜいのわめき声、大浪おおなみのうなり、だんうら合戦かっせんそのままのありさまをあらわしました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
とおっしゃって、弓矢ゆみや太刀たちをおりになり、身方みかた軍勢ぐんぜいのまっさきっていさましくたたかって、ほとけさまのてきのこらずほろぼしておしまいになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あるときの戦争せんそうに、こうくにおつくにやぶられて、おつ軍勢ぐんぜいは、どしどし国境こっきょうえて、こうくにはいってきました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「——わかっています。織田おだどのの軍勢ぐんぜいが、いよいよ此寺ここへ押しよせてきたのであろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それもほとんど軍勢ぐんぜいというほどのものもくださらないのです。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そこで、おつ軍勢ぐんぜいが、こうのあるちいさなまち占領せんりょうしたときに、こう大将たいしょうは、すっかりそのまち食物しょくもつはらって、ただ、さけみずばかりをのこしておきました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで義家よしいえ身方みかた軍勢ぐんぜいひきいて、こんどもえとさむさになやみながら、三ねんあいだわきもふらずにたたかいました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
多宝塔たほうとうを中心として、施無畏寺せむいじの庭に陣ぞろいした武田たけだ軍勢ぐんぜいは、手負てお討死うちじに点呼てんこをしたのち、伊那丸いなまるの命令一下に、またも一部の軍卒ぐんそつが、法師野の部落を八方にかけわかれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ですから田村麻呂たむらまろ軍勢ぐんぜいも、勇気ゆうきすこしもおとろえませんが、さしつめさしつめるうちにてきかずはいよいよふえるばかりで、矢種やだねほうがとうにきてきました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
先頭せんとうはたて、うまにまたがった武士ぶしは、けんたかげ、あとから、あとから軍勢ぐんぜいはつづくのでした。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「たいへんです、えびす軍勢ぐんぜいが、せてまいりました。」と、おうさまに、おげしました。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それがためにおうさまとおきさきは、ついにえびす軍勢ぐんぜいのために、浮虜とりことなってしまいました。——
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)