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谷
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きわ
ふりがな文庫
“
谷
(
きわ
)” の例文
進退
谷
(
きわ
)
まったお銀様は、ついに脇差を振り上げて、勢い込んで追いかけて来た神尾主膳の
面
(
かお
)
をのぞんで、その脇差を投げつけました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ジェルテルスキーは、これまで下手にばかり自分の身を置いてつき合って来た二人の年長の女たちの間に挾まれ、進退
谷
(
きわ
)
まった。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
上からは岩が恐しい眼を
剥
(
む
)
き、下からは
逞
(
たくま
)
しい子分が腕を鳴らしているのである。三吉の進退は、まったく
谷
(
きわ
)
まってしまったのであった。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
主馬之進と勘兵衛と、覆面の武士と屋敷の
使僕
(
こもの
)
たちが、こっちへ走って来る姿であった。二人は腹背に敵を受け、進退まったく
谷
(
きわ
)
まった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
身代もまわりかねるような事に成って、はゝゝ如何んとも何うも進退
谷
(
きわ
)
まってね、誠に済まんけれど金え拾両ばかり貸してくれ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
さながら蠅取り紙に足を取られた銀蠅の、
藻掻
(
もが
)
けば藻掻くほど深みに引き込まるる、
退
(
の
)
くも引くも意に任せず、ここに全く進退
谷
(
きわ
)
まった様子。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私の脚には
忽
(
たちま
)
ち重い鎖がつながれてしまった。私は擂鉢のふちでどちらを向いても真に進退ここに
谷
(
きわ
)
まったの感であった。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
藩士中の同志数輩へあてて「大困窮進退是れ
谷
(
きわ
)
まり、一歩も動き候事も出来がたく候、毎々恐れ入り候事に候らへども」
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
私は進退
谷
(
きわ
)
まった。目的を遂げずに罪人となって町を
逍迷
(
さまよ
)
った
揚句
(
あげく
)
行く先がなくなるとは何という不運な私であろう。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その時はこねくられたとも何とも、進退
谷
(
きわ
)
まり大騒ぎになって、
夫
(
そ
)
れから
玉造
(
たまつくり
)
の与力に少し
由縁
(
ゆかり
)
を得て、ソレに
泣付
(
なきつい
)
て
内済
(
ないさい
)
を
頼
(
たのん
)
で、ヤット無事に収まった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
将軍は京阪に滞留したまま進退
谷
(
きわ
)
まるという立場になられたのであったが、終に長防へ討入りという事になったので、松山藩は海路四国の先手を命ぜられた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
進退全く
谷
(
きわ
)
まった、喚声はもう耳もとで聞こえる。ふと見ると小さな小川が足もとにある、水のない堀割りだ、夢中で飛び込むと足がずるずると吸い込まれる。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
七日十日
逗留
(
とうりゅう
)
して故郷へ手紙を出した処で、
仔細
(
しさい
)
あって送金の見込はないので、進退
谷
(
きわ
)
まったのを、
宜
(
よろ
)
しゅうがすというような気前の
好
(
い
)
い
商人
(
あきんど
)
はここにはない。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流石の怪人も今は最早や万策尽き、進退ここに
谷
(
きわ
)
まった。腹背に敵を受け、それが皆
一騎当千
(
いっきとうせん
)
の豪の者だ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
進退全く
谷
(
きわ
)
まつたのだ。突然、しかし必死の顔をあげると、彼は物凄い形相で慌ただしく群衆を物色しはじめた。そして三河屋の次郎助を見つけると断末魔の声で
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「天下が、苦しくなっているから、上の者は、金が無いと動かぬし、動けぬし、下を動かすには、上に金が無く、上の進退
谷
(
きわ
)
まっている時には、必ず下から動くものじゃ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「僕、今生きて益なく、死するに所なし、進退これ
谷
(
きわ
)
まる。
幸
(
ねが
)
わくはこれが道を進めよ」と。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
首尾よく大老を討ち止めた上、その場から各〻ちりぢりに落ちのびたが、早くも、幕吏の手は行く先々に伸び、ここまでは、ようやく逃げて来たが……もはや進退も
谷
(
きわ
)
まった。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実はいま闇の女に追われて進退
谷
(
きわ
)
まっているんだ、あの女はばかなやつだよ、おれをつかまえて離さないんだ、清姫みたいな女だよ、今夜はここへ
匿
(
かく
)
まってくれと言うのを見れば
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
行く手も後方もピカピカと、雲を
劈
(
つんざ
)
く稲妻に囲まれて到頭進退
谷
(
きわ
)
まって、
御徒町
(
おかちまち
)
で電車を降りて、
広小路
(
ひろこうじ
)
の映画館へ飛び込んだら、途端にバリバリズシーン! と、一発落下した。
雷嫌いの話
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
驕るもの久しからぬ、四年の任期疾く過ぎて、次回再選の運動費は、出処進退
谷
(
きわ
)
まりし、脊に腹は代えられずと、一時の融通齷齪たる、破れかぶれの大功には、はや細瑾の省み難く。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
此谷をつめれば俗称
六方石
(
ろっぽういし
)
のあたりへ登り着くわけである。けれども半ばより上の岩のへつりが手に負えなかったか、引返してまた左の谷に入り、瀑に逢って進退
谷
(
きわ
)
まってしまった。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
警官に依頼し
轎夫
(
きょうふ
)
の
雇入
(
やといいれ
)
を命令的に
誘導
(
ゆうどう
)
的に
周旋
(
しゅうせん
)
してもらったが、しばしは一人の応ずるものもなく、
雨曝
(
あまざら
)
しになって進退
谷
(
きわ
)
まった。この時、村の青年が三、四人、みずから進み出て
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
浣腸
(
かんちょう
)
すれども通ぜず。これも昨日の分を怠りしため
秘結
(
ひけつ
)
せしと見えたり。進退
谷
(
きわ
)
まりなさけなくなる。再び浣腸す。通じあり。痛けれどうれし。この二仕事にて一時間以上を費す。終る時三時。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
彼女の身体は
谷
(
きわ
)
まった。しかもルパンは来ぬ。否行方すら解らない。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まって——今から半年前腹を掻き切って死んだのじゃ
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここに到って遂に進退が
谷
(
きわ
)
まるのである。
社会時評
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
敵は全く進退
谷
(
きわ
)
まり、そしてあと四、五分のうちに殲滅されてしまうものと思われ、キンギン国軍は、やっと
愁眉
(
しゅうび
)
をひらいたのであった。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お町は熊に助けられて山深く逃げ延びましたが、身を寄せる処は勿論、
食物
(
くいもの
)
もございませんから、進退いよ/\
谷
(
きわ
)
まりました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まって助けを呼んでいることは間違いないのですから、その声の生ぬるさの故を以て、その人の
生命
(
いのち
)
を見殺しにするわけにはゆかないのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
さほ子は良人には行かれ、一方からは千代のあでやかな白い顔が現れるのを見ると、
愈々
(
いよいよ
)
進退
谷
(
きわ
)
まった顔になった。
或る日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は進退
谷
(
きわ
)
まったような気持ちで、帽子を持ったまま縁側に
跼
(
しゃが
)
んだ。
白昼
(
ひるま
)
でありながらソンナ気がチットモしない。
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
俺はううんと呻えたまま天高く両腕をつきあげて進退ここに
谷
(
きわ
)
まったという印をしてしまうのだ。
木枯の酒倉から:聖なる酔っ払いは神々の魔手に誘惑された話
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
前からは武士が追い
逼
(
せま
)
って来る。黐棹を槍に構えたものの進退
谷
(
きわ
)
まったと云わなければならない。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まった怪賊は、ジリジリと塔の内部へあとじさりをして行ったかと思うと、最後の一策、九死に一生を求めて、塔内の
螺旋梯子
(
らせんばしご
)
に飛びつき、上部へと駈け上って行った。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もし、進退
谷
(
きわ
)
まらば、死ね。いつまでも、小娘ではない。仙波八郎太の子として、これまでの教訓、よく噛みしめて、物に当れ。よいか。南玉と、庄吉は、付人じゃ。然し、頼りにはするな
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
もとより用意の食事は無し、腹は減る、力は抜ける、進退こゝに
谷
(
きわ
)
まって、どっかと尻を
据
(
す
)
えまして、
兎
(
と
)
やせん
角
(
かく
)
やと思案に暮れて居りまする。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そうなるといよいよ進退は
谷
(
きわ
)
まってしまった。これではもう逃げても逃げなくても捕えられる! 僕はハアハアとあえぎながら、それでも走った。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
俺はううんと呻えたまま天高く両腕をつきあげて進退ここに
谷
(
きわ
)
まつたといふ印をしてしまふのだ。
木枯の酒倉から:――聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
剣鬼のような水品陣十郎も、進退
谷
(
きわ
)
まったと知ったらしい、突立ったまま居縮んだが、抱えていた澄江を地へ下すと、肩を片足でグッと踏みつけ、大上段に刀を振り冠り
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
顔面のある部分に少しずつ貼紙をしていて、ここにいささか異状があるのですが、貼紙というのは、一昨夜上平館の下へ迷い込み、進退
谷
(
きわ
)
まって、助けを呼んだあの時の
名残
(
なご
)
りであります。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まった怪賊は、キョロキョロあたりを見廻していたが、やがて、「オーッ」と猛獣の様なうなり声を立てたかと思うと、いきなり手近かに開いていた昇降口から、船倉へと駈けおりて行った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
扨
(
さて
)
また鹽原多助は進退こゝに
谷
(
きわ
)
まり、已むことを得ず今や昌平橋から身を投げようとする所を
後
(
うしろ
)
から抱き留められ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そう思うと
流石
(
さすが
)
に私も
進退
(
しんたい
)
谷
(
きわ
)
まって、いつの間にか往来に立ち停ったのでした。
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
雑草は延びて
丈
(
じょう
)
にも達し、庭木は形もしどろに繁って、自然の姿を呈して居り、昔は数奇を
谷
(
きわ
)
めたらしい、築山、泉水、石橋、亭、そういうものは布置においてこそ、造庭術の
蘊奥
(
うんおう
)
を谷めて
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
可憐なる江戸仕込みの大御所は、ここで進退
谷
(
きわ
)
まって悲鳴を上げました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まったので已むを得ず推参いたした訳で、老人を
愍然
(
びんぜん
)
と思召して御救助を何うか
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
波斯
(
ペルシャ
)
織りだの
亜剌比亜
(
アラビア
)
織りだのの、高価らしい華麗な壁掛けなどが、現代の眼から見る時には、ペンキ画ぐらいしかの
値打
(
かち
)
しかない——しかし享保の昔にあっては、
谷
(
きわ
)
めて高雅に思われるところの
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お父さんに
御飯
(
おまんま
)
をたべさせる事も出来ないから、身を売る訳にも
行
(
ゆ
)
かず、進退
谷
(
きわ
)
まりまして
誰
(
たれ
)
にも知れる気遣いないから、思い切って、身を
穢
(
けが
)
してもお
銭
(
あし
)
を貰ってお父さんに薬も飲ませ
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
進退
茲
(
こゝ
)
に
谷
(
きわ
)
まったなア、どうも世の中に何がせつないといって腹の空るくらいせつない事はないが、どうも
鳥目
(
ちょうもく
)
がなくって食えないと猶更空るねえ、天草の
戦
(
いくさ
)
でも、兵糧責では
敵
(
かな
)
わぬから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“谷”の意味
《名詞》
(たに)両側を高地とし、それに垂直に低地が長く続く地形。
(出典:Wiktionary)
“谷”の解説
谷(たに、en: valley)とは、山や丘、尾根、山脈に挟まれた、周囲より標高の低い箇所が細長く溝状に伸びた地形。
(出典:Wikipedia)
谷
常用漢字
小2
部首:⾕
7画
“谷”を含む語句
谷間
山谷
熊谷
水谷
谿谷
長谷
谷川
渓谷
大谷
茗荷谷
小谷
塩谷
谷々
ヶ谷
桃谷
谷中
深谷
峡谷
小千谷
空谷
...