藝者げいしや)” の例文
新字:芸者
きぬとは何人なんぴとぞ、きみおどろなかれ、藝者げいしやでも女郎ぢよらうでもない、海老茶えびちや式部しきぶでも島田しまだ令孃れいぢやうでもない、美人びじんでもない、醜婦しうふでもない、たゞのをんなである
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
なし酒の機嫌きげんいにしへの物語りなどして品川より藝者げいしやよび大酒盛となりて騷ぎ散す中はや暮相くれあひと成ければ仁左衞門はやがて身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ところで藝者げいしやは、娼妓をやまは?……をやま、尾山をやままをすは、金澤かなざは古稱こしようにして、在方ざいかた鄰國りんごく人達ひとたちいま城下じやうかづることを、尾山をやまにゆくとまをすことなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とお房は、おふくろに打付ぶツつけるやうにいふ。それからまたおふくろの身上みのうへ話が始まツて、其の前身は藝者げいしやであツたことが解ツた。身上話が濟むと貧乏話と來る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
哲學的てつがくてき解釋かいしやくすれば、進歩的頭腦しんぽてきづなうであり、藝者げいしやにいはせると、女文士をんなぶんしつて道樂氣だうらくきおほいものね、であり、醫學的いがくてき考察かうさつすれば、をつと年齡ねんれいわかさによる生理的現象せいりてきげんしようであり、またこれを
しゆまじはればといふことはなのお師匠ししようくせにしてせどもほんにあれはうそならぬことむかしはのやうに口先くちさきかたならで、今日けふ何處开處どこそこ藝者げいしやをあげて、此樣このやう不思議ふしぎおどりたのと
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのあひだ主人しゆじん昨夕ゆうべつた料理屋れうりやつたとかつてめう藝者げいしやはなしをした。この藝者げいしやはポツケツト論語ろんごきで、汽車きしやつたりあそびにつたりするときは、何時いつでもそれをふところにしてるさうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たしか、三日目みつかめ土曜どえうあたつたとおもふ。ばら/\ときやくはひつた。なか十人じふにんばかりの一組ひとくみが、ばん藝者げいしやんで、はこはひつた。申兼まをしかねるが、廊下らうかでのぞいた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
配分されしかば其金を懷中して所々を徘徊はいくわいなしもつぱら賭博に身を入又大酒を呑己が有に任せて女郎藝者げいしやかひ金銀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宴會客えんくわいきやくから第一だいいち故障こしやうた、藝者げいしやこゑかないさきに線香せんかうれたのである。女中ぢよちうなかまが異議いぎをだして、番頭ばんとううでをこまぬき、かみさんが分別ふんべつした。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人間にんげんうまでにりませずば、表向おもてむ貴下あなたのおともをいたしまして、今夜こんやなんぞ、たとひ對手あひて藝者げいしやでも、御新姐樣ごしんぞさまには齋檀那ときだんな施主方せしゆがた下足番げそくばんでもしませうものを、まつた腑甲斐ふがひない
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へんになつてなくなつたといひます——上州じやうしう安中あんなか旅藝者たびげいしやをしてゐたとき親知おやしらずでもらつたをんな方便はうべんぢやありませんか、もう妙齡としごろで……かゝへぢやあありましたが、なか藝者げいしやをしてゐて
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろざほとけ追善つゐぜんをしたのさ。藝者げいしやたちが感心かんしんぢやないか。」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)