習慣しゅうかん)” の例文
ふるくからの習慣しゅうかんをまもって、平和にらしている村の人たちは、この男のやることが気まぐれで、ひどく変わっているように思えた。
あえてはえに限らず動植鉱物どうしょくこうぶつに限らず、人間の社会に存するあらゆる思想しそう風俗ふうぞく習慣しゅうかんについても、やはり同じようなことがいわれはしないか。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ヴィタリス親方はいつもからだにかねをつけている習慣しゅうかんであった。それがられて行くときになにもわたしにいて行くひまがなかった。
あいしてだいじにするのか、運動の習慣しゅうかんでだいじにするのか、いささか分明ぶんめいくのだが、とにかく牛をだいじにすることはひととおりでない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
夜はめっしておく習慣しゅうかん城塞じょうさいは、まッくらで、隠森いんしんとして、ただひとりさけびまわる彼女かのじょの声が木魂こだまするばかりだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも、動物たちは同じ仲間なかまのものだけで、ひとかたまりになっています。これまた、むかしからの習慣しゅうかんなのです。
ところで、王さまにはかわった習慣しゅうかんがひとつありました。それは、まい日お昼の食事しょくじがすんでからのことでした。
なぜって……なぜって、そういう習慣しゅうかんだからね。それに……とにかく、悪くなったとはおもわないよ。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
あるい患者かんじゃたいして、たん形式以上けいしきいじょう関係かんけいをもたぬようにのぞんでも出来できぬように、この習慣しゅうかんやつがさせてしまう、はやえば彼等かれらあだかも、にわってひつじや、うしほふ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
当時とうじ習慣しゅうかんでございますから、むろんみこと御身辺ごしんぺんには夥多あまた妃達きさきたちがとりまいてられました。
海蔵かいぞうさんは、はらもいたくありませんでした。のどからるほど、お菓子かしはたべたかったのでした。しかし、井戸いどをつくるために、いままでの習慣しゅうかんをあらためたのでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
アメリカの習慣しゅうかんうらやましく思うものは、かの大学卒業式そつぎょうしきさかんにすることである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
権利をことにし、骨肉の縁を異にし、貧富ひんぷを異にし、教育を異にし、理財りざい活計かっけいおもむきを異にし、風俗ふうぞく習慣しゅうかんを異にする者なれば、おのずからまたその栄誉の所在しょざいも異なり、利害の所関しょかんも異ならざるを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
にいちゃん、まだきない?」と、こえをかけました。ちいさなこえで、いったのだけれど、にいさんは、をふさいでいても、いつも、いまごろきる習慣しゅうかんがついているので、半分はんぶんさめていたとみえて
お母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「昔の習慣しゅうかんは、あらためにくいものでしてね。——いや、おっしゃるとおりだ。よろしい、よく気をつけましょう。ところで、あなたのごらんになったことを、のこらずお話しねがいたいのだが。」
国家か、何ものぞ。法律か、何の関係ぞ。習慣しゅうかん、何の束縛そくばくぞ。彼等は胃の命令と、ちょうの法律と、皮膚ひふの要求と、舌頭の指揮と、生殖器の催促さいそくの外、何のしばらるゝ処がない。彼等は自然力其ものである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
クッラベルイ大運動会のいつもの習慣しゅうかんとして、この日のプログラムは、まずカラスの飛行ひこうダンスからはじまりました。
それはかれが以前いぜん一座の部長であったとき、座員を前にやりごして、いちいち点呼てんこする習慣しゅうかんがあったからである。
告げ人というものにたいしてのあしらいかたには、通例つうれい習慣しゅうかんがある。お政はそれらのことにも気がつかずに、たすきを手にして立ったまま話を聞いてる。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
読書どくしょかれ病的びょうてき習慣しゅうかんで、んでもおよれたところものは、それがよし去年きょねん古新聞ふるしんぶんであろうが、こよみであろうが、一ようえたるもののように、きっとってるのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それに、道もよく知りつくしていますし、仲間の習慣しゅうかんなども、よく知っているのです。ですから、カクシなら、きっといつかは、もどってくるでしょう。
でも習慣しゅうかんの力はえらいもので、ときどき立ち止まっては、一座いちざ仲間なかまが後から来るのを待ちうけるふうであった。
花前はなまえは、はいともいわない、わずかに目であいさつしてる。主人は家の習慣しゅうかんとだいたいの順序じゅんじょとをつげて、これだけの仕事しごとはおまえにまかせるからとめいじた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうじて他人たにん艱難かんなんたいしては、事務上じむじょう職務上しょくむじょう関係かんけいをもっている人々ひとびとたとえば裁判官さいばんかん警官けいかん医師いし、とかとうものは、年月ねんげつ経過けいかするとともに、習慣しゅうかんってついにはその相手あいて被告ひこく
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
びんぼうなうちではめったに医者をぶということはないが、わたしの容態ようだいがいかにも重くって心配であったので、わたしのため特別とくべつに、習慣しゅうかんのためいつか当たり前になっていた規則きそくやぶってくれた。