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穿鑿
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せんさく
ふりがな文庫
“
穿鑿
(
せんさく
)” の例文
この答の当否を
穿鑿
(
せんさく
)
する必要は、暫くない。ともかくも答を得たと云う事が、それだけですでに自分を満足させてくれるからである。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
二人は無聊のつれづれから、
薄縁
(
うすべり
)
を敷いた縁側へ、お互にゴロリと転りながら、先刻から文字の
穿鑿
(
せんさく
)
に興じ合っているのであった。
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼の女は何にも云いませんが、しかし私はその目の中に、非常な
驚怖
(
きょうふ
)
を見て取りました。それでそれを
穿鑿
(
せんさく
)
してみたいと思ったわけです
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
そのほか
穿鑿
(
せんさく
)
すればいろいろあって、例えばこの歌には加行の音が多い、そしてカの音を繰返した調子であるというような事であるが
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
裏口から廻った多吉は二人の女中に案内させて、戸棚から床下まで
穿鑿
(
せんさく
)
したが、ほかには誰もひそんでいるらしい形跡もなかった。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
遺跡
(
ゐせき
)
を
實踐
(
じつせん
)
して考ふるも、之を
現存
(
げんそん
)
未開
(
みかい
)
人民の所業に徴するも、貝塚に於ける
穿鑿
(
せんさく
)
が
食物原料調査
(
しよくもつげんれうてうさ
)
に益有る事、實に明々白々なり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
われ等は断じて力量以上の、立入った
穿鑿
(
せんさく
)
には
与
(
くみ
)
しない。われ等は心静かに知識の増進を待って居る。汝等も
亦
(
また
)
それを待たねばならぬ。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
わが子のレヤチーズを、フランスへ遊学にやったのも、一つには、王さまの恐しい
穿鑿
(
せんさく
)
の眼から、のがれさせてやる
為
(
ため
)
でもありました。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それでも近所には、あの隠居の内へ尋ねて来る好い女はなんだろうと
穿鑿
(
せんさく
)
して、とうとう高利貸の妾だそうだと突き留めたものもある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何故つて、あなたのその
穿鑿
(
せんさく
)
ずきな眼が私の顏を離れて、敷物の花模樣の方ばかりを見てゐるから。だからもつと困つてゐらつしやい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これで彼も非常な面目を施した、というのは彼と趙太爺はもともと一家の分れで、こまかく
穿鑿
(
せんさく
)
すると、彼は秀才よりも目上だと語った。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
今の場合はそんな不審の
穿鑿
(
せんさく
)
よりも、事の何であるかが第一でしたので、一礼するとただちに事件の
顛末
(
てんまつ
)
の聴取にかかりました。
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
マイダスの時代には、王様の朝御飯がどんなものだったかは、僕は本当に知らないし、又ここでそれを
穿鑿
(
せんさく
)
しているわけにもゆきません。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
然らばフェノロサがこの
穿鑿
(
せんさく
)
に関して最も主要なる
手掛
(
てがか
)
りとなせしものは何ぞや。そは唯画中の人物を見てその
結髪
(
けっぱつ
)
の形状によりしのみ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私雨という言葉から出発して、新に私風という言葉を造ったのか、地方的にこういう言葉があったものか、その辺の
穿鑿
(
せんさく
)
は不案内である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
嚴敷
(
きびしく
)
拷問
(
がうもん
)
に掛られし所
終
(
つひ
)
に
包
(
つゝ
)
み
藏
(
かく
)
す事能はず是迄の
惡事
(
あくじ
)
追々
(
おひ/\
)
白状にぞ及びける又平左衞門が宅を
穿鑿
(
せんさく
)
なせしに
遣
(
つか
)
ひ
殘
(
のこ
)
りの金子六百兩出たり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
裏木戸で二人に
誰何
(
すいか
)
されて逃げ出したことも事実でしょう。けれども、若い者同士の楽しみを、あんまり
穿鑿
(
せんさく
)
するのは罪じゃありませんか。
祭の夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
今その裏面を
穿鑿
(
せんさく
)
することをあえてせず、表面上よりこれを見れば当時の学者間に現われたる国権論派と相照応するに似たり。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
が、考証はマダ
僅
(
わずか
)
に足を
踏掛
(
ふみか
)
けたばかりであっても、その博覧癖と
穿鑿
(
せんさく
)
癖とが他日の大成を十分約束するに足るものがあった。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
深い屋根の下にばかり日を送っているお種は、この唖の髪結を通して、女でなければ
穿鑿
(
せんさく
)
して来ないような町の出来事を知り得るのである。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
てきぱきした実務家の
冉有
(
ぜんゆう
)
。温厚の長者
閔子騫
(
びんしけん
)
。
穿鑿
(
せんさく
)
好きな故実家の
子夏
(
しか
)
。いささか
詭弁派的
(
きべんはてき
)
な
享受家
(
きょうじゅか
)
宰予
(
さいよ
)
。
気骨
(
きこつ
)
稜々
(
りょうりょう
)
たる
慷慨家
(
こうがいか
)
の
公良孺
(
こうりょうじゅ
)
。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
鐚
(
びた
)
一文くれてやる考えもないから、その方の心配はいらないが、こう記されてあると、彼の人格に立ち入って、
穿鑿
(
せんさく
)
もちとして見たくなる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
チベット国民はほとんど巡査か探偵 のように
猜疑心
(
さいぎしん
)
を起し外国人に対しては非常の注意を持って
穿鑿
(
せんさく
)
するという有様である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
人道なる語もその一つで、列国間にこの語を用いる場合のごときは、あまり深くその定義を
穿鑿
(
せんさく
)
せぬほうが都合がよろしい。
人道の正体
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
また、名あるお寺の仕事もしましたが、これらは一層吟味
穿鑿
(
せんさく
)
がやかましいので、師匠が苦心する所を実地に見て、非常に身のためとなった。
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そんな余計な
穿鑿
(
せんさく
)
なぞはどうでもいいが、ともかく私たちが留萌の港に着いたのは夕方の五時頃ではなかったかと思われる。
生不動
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夫
(
それ
)
が四百米も深く原を
穿鑿
(
せんさく
)
して流れる
称名
(
しょうみょう
)
川の為めに切り離されて、大日岳に附属した形になり、さてこそ大日平と命名された次第なのです。
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
何が忌になってしまったのか、それを
強
(
し
)
いて
穿鑿
(
せんさく
)
する必要はありません。ただ眼が覚めた途端の口小言と見ればよいのです。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
裁判上の調査も、歴史とはまた異なった理由から、すべてを発表しておらず、またおそらくすべてを深く
穿鑿
(
せんさく
)
してもいない。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そんな事を深く
穿鑿
(
せんさく
)
する暇も無いままに
放
(
ほ
)
ったらかしておいたものですが……そうそう……それから品夫はコンナ事も附け加えて話しましたよ。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
余計な
穿鑿
(
せんさく
)
だては入らないことと、
強
(
しい
)
て
探出
(
さがしだ
)
そうとはしなかったが、
慥
(
たしか
)
な説に拠ると、上州で、かなり資産家の一人息子に父親は生れたらしい。
大橋須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
牢の中で掛ける本手錠と違って、自分の家に居る者の手錠は、食事、用便、その他、夜寝る時は外しても
穿鑿
(
せんさく
)
はしないことになっているのだよ。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
直
(
す
)
ぐさま検視も
下
(
お
)
り、遂に
屍骸
(
しがい
)
を引取って野辺の送りも
内証
(
ないしょ
)
にて済ませ、是から悪人
穿鑿
(
せんさく
)
になり、渡邊織江の長男渡邊
祖五郎
(
そごろう
)
が伝記に移ります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
問題の日にヘララのアパートメントに出入した人々の
穿鑿
(
せんさく
)
に取りかかっても、これという怪しい人物は見当らなかった。
恐ろしき贈物
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
あるいはこれも下らぬ
穿鑿
(
せんさく
)
というものかもしらぬが、われわれのこの毎日の生活には、小さな不可思議が充満している。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そしていったい誰が犯した罪なのか、はずかしめを加えたのは何者かと、さまざまに問いただしたり、
穿鑿
(
せんさく
)
したりした。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
書生二人を
引従
(
ひきしたが
)
え、御前様のお出先は、何しろ四谷、
最寄
(
もより
)
近所は草を分けても
穿鑿
(
せんさく
)
せんと、
杖
(
ステッキ
)
を携え、
仕込杖
(
しこみづえ
)
を脇挟み
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
改めて
穿鑿
(
せんさく
)
もせられで、やがては、
暖簾
(
のれん
)
を分けて
屹
(
きつ
)
としたる
後見
(
うしろみ
)
は為てくれんと、鰐淵は常に
疎
(
おろそか
)
ならず彼が身を
念
(
おも
)
ひぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
伝記家と
囚
(
とら
)
われて
終
(
しま
)
うのもうるさい。考証家、
穿鑿
(
せんさく
)
家、古文書いじり、
紙魚
(
しみ
)
の化物と続西遊記に
罵
(
ののし
)
られているような
然様
(
そう
)
いう者の真似もしたくない。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
宮崎氏がかく
穿鑿
(
せんさく
)
立てをしたのも無理ではなかった。その手紙の文面は
左
(
さ
)
の様な、非常に不気味なものであったから。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
穿鑿
(
せんさく
)
は後のこと、いまは何より伯父上のお許しが出るか出ぬかが大事なのです、もしここで突放してしまえば、その人物は泥沼の底へ墜ち込んで
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
身柄は拘留せられなかったのですが、警察に六日、憲兵隊に二日、検事局に二日行って信仰の内容を
穿鑿
(
せんさく
)
せられた。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
かかる有様で、プロレタリア文学運動の退潮後、文学論議は混迷しつづけて益々思弁の瑣末末技の
穿鑿
(
せんさく
)
に走った。
今日の文学の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
またゆくゆくは何かの
蝶
(
ちょう
)
になる毛虫も、やはりすわっているのではなく、まあ腹んばいになっている方でした。でも言葉の
穿鑿
(
せんさく
)
なんぞはどうでもよろしい。
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
字義の
穿鑿
(
せんさく
)
はとにかく、世間では経済学という語は、神田氏以来久しく行われて、既に慣用語となっているし、原語の「ポリチカル・エコノミー」とても
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
も
巡査
(
じゆんさ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
家
(
いへ
)
のあたりを
徘徊
(
はいくわい
)
したがそれでも
其
(
そ
)
の
東隣
(
ひがしどなり
)
の
門
(
もん
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
穿鑿
(
せんさく
)
するまでには
至
(
いた
)
らなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
妓楼
(
ぎろう
)
酒店の帰りにいささかの土産を携えて子供を
悦
(
よろこ
)
ばしめんとするも、子供はその至情に感ずるよりも、かえって土産の出処を内心に
穿鑿
(
せんさく
)
することあるべし。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
各藩とも
御儒者
(
おんじゅしゃ
)
というものがあって、読書講釈を専業とし、口癖のように
修斎平治
(
しゅうさいへいち
)
を説いていたけれども、その言うところはただ書物の上の
穿鑿
(
せんさく
)
にとどまり
我輩の智識吸収法
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
こういう風に、古語の不
穿鑿
(
せんさく
)
と、造語欲から出来たものもある。山脈を「やまなみ」と言う事は、後に短歌にも広く用いられるが、やはり詩が初めであろう。
詩語としての日本語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
現に博士論文と云うのを見ると存外細かな題目を捕えて、自分以外には興味もなければ知識もないような事項を
穿鑿
(
せんさく
)
しているのが大分あるらしく思われます。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“穿鑿”の意味
《名詞》
穴を穿つこと。
細かいところまで立ち入って、根掘り葉掘り尋ね、調べること。
あれこれ細かく憶測すること。
(出典:Wiktionary)
穿
漢検準1級
部首:⽳
9画
鑿
漢検1級
部首:⾦
28画
“穿鑿”で始まる語句
穿鑿心
穿鑿症
穿鑿沙汰
穿鑿無用