神經しんけい)” の例文
新字:神経
御米およね御前おまへ神經しんけい過敏くわびんになつて、近頃ちかごろうかしてゐるよ。もうすこあたまやすめて工夫くふうでもしなくつちや不可いけない」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
技法ぎはふ尖鋭せんえい慧敏けいびんさは如何いかほどまでもたふとばれていいはずだが、やたらに相手あひて技法ぎはふ神經しんけいがらして、惡打あくだいかのゝしり、不覺ふかくあやまちをとが
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
十九のお夏は、神經しんけいがたかぶつてゐるせゐか、土藏の二階へ來るのが、嫌で/\たまらない樣子ですが、さうも言ひかねて、唇をかんでをります。
をんな研桶とぎをけうたとの二つのこゑ錯綜さくそうしつゝあるあひだにも木陰こかげたゝずをとこのけはひをさとほどみゝ神經しんけい興奮こうふんしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
醉漢すいかんありて酒毒しゆどくため神經しんけい錯亂さくらんせられ、これがため自殺じさつするにいたりたることあるときは、彼は酒故に自殺したりとふを躊躇ちうちよせざるべし、酒は即ち自殺の原因なり。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
ほとんど闇黒やみ全體ぜんたいつゝまれてつたが、わたくし一念いちねんとゞいて幾分いくぶ神經しんけいするどくなつたためか、それともひとみやうや闇黒あんこくれたためか、わたくしからうじてその燈光ひかり主體ぬしみと途端とたん
あたしは熱がりながら十一二で、おとなしくして、羽箒はばうきをもつて、どんなにしたら具合よくゆくかと、細かく神經しんけいをつかつて祖母の背中にむかつてゐた自分の姿を思ひ出してゐた。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
わたしつてゐるのは、かみひと熱血ねつけつと、神經しんけいとよりつくつたと事丈ことだけです! また有機的組織いうきてきそしきは、れが生活力せいくわつりよくつてゐるとすれば、すべての刺戟しげき反應はんおうおこすべきものである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
すなら御米およねてゐるいまである。いまならどんな氣不味きまづいことを双方さうはうつのつたつて、御米およね神經しんけいさは氣遣きづかひはない
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝夕あさゆふつめたさすら過敏くわびん神經しんけい刺戟しげきした。卯平うへい何時いつでもみぎ横頬よこほゝうへにしてほかはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたくしいま二本にほん煙筒えんとう二本にほんマスト不思議ふしぎなるふねて、神經しんけい作用さようかはらぬがふとおもうかんだこのはなししかの老水夫らうすゐふげん眞實まことならば、此樣こんふねではあるまいか、その海賊船かいぞくせんといふのは
神經しんけいおこつたとき、わざ/\そんな馬鹿ばかところ出掛でかけるからさ。ぜにしてくだらないことはれてつまらないぢやないか。其後そのごもそのうらなひうちくのかい
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)