だま)” の例文
アメリカから買って帰った上等の香水をふりかけたにおだまからかすかながらきわめて上品な芳芬ほうふんを静かに部屋の中にまき散らしていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
薔薇ばら色、丁子色、朱色、土耳古トルコだま色、オレンジ色、群青、すみれ色——すべて、繻子しゅすの光沢を帯びた・其等の・目もくらむ色彩に染上げられた。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
あるのこと、まさちゃんは、大将たいしょうとなって、近所きんじょちいさなヨシさんや、三郎さぶろうさんたちといっしょにはらっぱへじゅずだまりにゆきました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ですから、そういうことをみたりきいたりすると、かんしゃくだまをばくはつさせて、じっとしていることができませんでした。
「クルブラ島、クルブラ島……一体それあ何の辺だ、地球だまには載ってゐねえ見たいぢやないか——みその、みその、ちよいと来て探して呉れや。」
淡雪 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
クリスマスの裝飾さうしよくもちゐた寄生木やどりぎおほきなくすだまのやうなえだが、ランプのひかり枝葉えだはかげせて天井てんじやうつるされてゐる。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そのとき明智は、たずなをはなして、腰のかげんでウマを走らせながら、両手でほそびきのたばをほぐし、むすだまをつくって、大きな輪にしました。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
万一、鳳輦の内の君が、だまでもあっては——とする彼の周到しゅうとうな注意ぶりの一つがここにもうかがわれていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして掌面てのひらで丸薬のやうに円めると、はじだまか何ぞのやうに一々それを指先きで四辺あたりに弾き飛ばしたものだ。
で、その引いてゆく波の一すぢ、泡の一つ一つにまで、折しも西山に近いたる夕日の影が斜めに當つて、かくてシヤボンだまの色のやうな美しい夢の模樣を現はすのである。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
ゑゝことかぬわがまゝものめ、うともおてぜりふひてこゝろともなくにはるに、ぬばだまやみたちおほふて、もの黒白あやめかぬに、山茶花さゞんくわ垣根かきねをもれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むかし管玉くだたまのことをたかだまといつたのですが、それは竹玉たけだまといふ意味いみであつて、このあを碧玉へきぎよくもちひたのは、ちょうど青竹あをだけつて使つかつたのをまねたからだといはれてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
機先を制して打ち殺せと、用意のだまと云うのを手早く込めなおして、著弾ちゃくだん距離になるのを待っていたが、少女はすこしも恐れるような気ぶりも見せず、平然として前へ来た。
女仙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
白の牛寝そべるそば野葡萄えびづるの瑠璃いろだま鈴生すゞなりの房
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おかしいなあ しやぼんだまのやうに軽いぞ
風船だまが飛んでゆく
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
自分じぶんがじゅずだまってくれとたのまなければ、いさむちゃんは、はちになんかさされなくてもすんだのだとおもったからです。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
会つて言葉をかはしたところで相手が俳優やくしやの事だ、あめだま京白粉きやうおしろいの話でもして、にやつと笑ふ位の事しか出来なかつたが、それでもお常はその一言に生命いのちまでもと思ひ込んだ。
ただ投げるばかりでなく、ごろだまにしてころがしてやり、それを相手が受けとることもあります。そのときには、子どもの首と手足の出た玉が、ごろごろと、横にころがっていくのです。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
管玉くだたまぎにたくさんるものに、だまといふのがあります。これはほとんどみな水晶すいしようつくつてありまして、六角ろつかくあるひは八角はつかく方錘形ほうすいけいを、そこほうふたつつないだ恰好かつこうになつてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
光子みつこさん、じゅずだまがほしいの? たくさんってあげるから、こんどタマをいじらせてくれる?」と、ききました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おばけだま
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
わたし、じゅずだまがほしいの。いさむちゃんとってくれない?」と、光子みつこさんがいさむちゃんのいるところへきて、いいました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、できるよ、ここんとこをとおせばいいんだろう。」と、まさちゃんは、じゅずだまあたまをいじっていました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
三郎さぶろうさんも、ヨシさんも、いってみたかったのだけれど、まさちゃんが、いっしょうけんめいで、じゅずだまをとおしているのでゆくことができませんでした。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
次郎じろうさんは、かねさんに、じゅずだまってあげようとおもって、はらっぱへ三りんしゃにのってやってくると、やはり三りんしゃにのったが、一人ひとりであそんでいました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ぼくは、じゅずだまろうとおもって、ここへきたのだよ。」と、次郎じろうさんはこたえました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「じゅずだまおんなつものだぜ。」といって、わらいました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)