ぐる)” の例文
おどろいて、をしっかりとくわえてくらそらがり、にものぐるいでよるあいだ暴風ぼうふうたたかいながらかけりました。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのはものぐるはしいまで、あはたゞしく外套ぐわいたういだ。トタンに、衣絵きぬゑさんのしろ幻影げんえいつゝむでかくさうとしたのである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
建振熊命たけふるくまのみことは、何をと言いながら、死にものぐるいで攻めかけ攻めかけしました。しかし、どんなにあせっても敵はそれなりひと足も退こうとはしませんでした。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
これ、これ、おまえたちがいくらにものぐるいになったところで、ねこにかなうものではない。一ぴきのこらずころされて、この野原のはらつちになってしまう。わたしはそれをるのがかわいそうだ。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「こわい。」と、とくちゃんが、しました。ゆうちゃんは、ひとりしにものぐるいにつちひろってげていました。そのうち、つちがおけにあたったのか
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よくあるならひで——醫師いしやぬかり、看護婦かんごふ不深切ふしんせつなんでも病院びやうゐん越度をちどおもつて、それ口惜くやしさに、ものぐるはしくおほきたてものを呪詛のろつてるんだらう。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここでいちばんにものぐるいにねこたたかって、うまくてば、もうこれからはの中になにもこわいものはない、天井裏てんじょううらだろうが、台所だいどころだろうが、かべすみだろうが、天下てんかはれてわれわれの領分りょうぶんになるし
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それはまちがいもなく、いままで、にものぐるいになってさがしていた、かわいい子供こどもでありました。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
そのは、ものぐるはしく、面影おもかげしろい、かみくろい、もすその、むねの、ちゝのふくらみのある友染いうぜんを、端坐たんざしたひざかして、うちつけに、明白めいはくに、ゆめ遠慮ゑんりよのないやうにこひかたつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ペスは、こころのうちできっとだれかもらいにきてくださるとおもっていたのにちがいない、そして、とうとうだれもきてくれないとると、にものぐるいでしてきたのだ。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
すずめは、にものぐるいにんで、すいとくろくしげったかしのなかりると、もずはついにその姿すがた見失みうしなってしまったので、そばのたかいすぎのいただきりてまりました。
もずとすぎの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、それをおもしろがって、わざとかえりには、与助よすけあとのこして、さっさときかかりますと、与助よすけにものぐるいになってみんなをめながら、あといかけてきました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
電燈でんとうは二、三明滅めいめつしたが、せん切断せつだんされたとみえて、まったくえてしまった。うらおおきなさくらと、かしののほえるおとが、やみのうちでにものぐるいにたたかっているけもののうなりごえ想像そうぞうさせました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)