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牢屋
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ろうや
ふりがな文庫
“
牢屋
(
ろうや
)” の例文
すぐに馬をひきださせて、
牢屋
(
ろうや
)
のほうへかけさせました。それを気づかって、大臣はおおくの兵士をつれて、あとにしたがいました。
銀の笛と金の毛皮
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
夕御飯
(
ゆうごはん
)
がすむと、お気に入りの松さんの車で、ソロソロと、
牢屋
(
ろうや
)
の原の
弘法大師
(
こうぼうさま
)
へ祖母は参詣にゆく。ある時は毎晩のように出かける。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
前に言ったように、石段もなくすぐに会堂の広場に出られる食堂の戸口は、昔の
牢屋
(
ろうや
)
の戸口のように錠前と
閂
(
かんぬき
)
とがつけられていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
縛られた怪物が、鎖をかみ
牢屋
(
ろうや
)
の壁にぶっつかってるようである。怪物は今にも壁を破って外に飛び出そうとしてるかと思われる。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は
牢屋
(
ろうや
)
の後にある、大きな岩の中を、人に分らないように、そっと下から掘り
開
(
あ
)
けて、その中へ秘密の部屋をこしらえました。
デイモンとピシアス
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
牢屋
(
ろうや
)
の
番人
(
ばんにん
)
は、たまげてしまいました。まったく
影
(
かげ
)
のごとくに
消
(
き
)
えてしまったこの
男
(
おとこ
)
を、
普通
(
ふつう
)
のものとは
思
(
おも
)
われなかったのです。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
肺病になって、
牢屋
(
ろうや
)
のなかで死んでしまったんです。それもずっとあとで聞きました。母は家を畳んで村へ引き込みました。……
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先日のように目前の眺めが英文の新な材料として目に映らず、永の年月自分を押籠めた
牢屋
(
ろうや
)
の壁か何かのように
侘
(
わび
)
しく見えた。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
前大蔵大臣は一旦呼び出されたが
牢屋
(
ろうや
)
には入れられずお下げになった様子である。けれども後にはきっと
捕縛
(
ほばく
)
されるに違いないという評判。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「二十七、八くらいでござりました。そのうえ、つい今までご
牢屋
(
ろうや
)
にでもつながれていたというような節の見うけられたかたでござりました」
右門捕物帖:08 卍のいれずみ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
祟
(
たヽ
)
つてる
御方
(
おかた
)
があつて
為
(
な
)
さるのかも知らんけれど、あれでは今に
他人様
(
ひとさま
)
の物に手を掛けて
牢屋
(
ろうや
)
へ行く様な、よい親の
耻晒
(
はぢさら
)
しに成るかも知れん。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
この方はハッキリしていて気に入ったから、
勿論
(
もちろん
)
だ、
牢屋
(
ろうや
)
へでもなんでも
這入
(
はい
)
る、と威勢のいいところを見せて、ソクラテスを気取ったものだ。
余はベンメイす
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
訊問
(
じんもん
)
卒
(
お
)
えて
後
(
のち
)
、拘留所に留置せられしが、その
監倉
(
かんそう
)
こそは、実に演劇にて見たりし
牢屋
(
ろうや
)
の
体
(
てい
)
にて、
妾
(
しょう
)
の入牢せしはあたかも午前三時頃なりけり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
わたしは
牢屋
(
ろうや
)
のうらをぶらぶら歩きながら、がっしりした
監獄
(
かんごく
)
の
杭
(
くい
)
を一本一本かんじょうしながらながめていました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
第二の通信は、主人公がひところはやりの革命運動をして、
牢屋
(
ろうや
)
にいれられたとき、そのとき受けとることにしよう。
猿面冠者
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
恋人を
牢屋
(
ろうや
)
に入れる位なら、その上、あの人と永久に別れてしまう位なら、いっそのこと。そうだ。いっそのこと……
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どうして、こうなると
牢屋
(
ろうや
)
もそんなに悪い所ではなかった。ただでごちそうを食べさせて、とめてくれるのだもの。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
誰にも黙って眼に見えない
牢屋
(
ろうや
)
を出る時が来た。この考えは彼を
悦
(
よろこ
)
ばせた。彼はあの長い流浪の旅を終って故国に帰り着いた当時のことを思い出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ラヴォアジエが革命の大騒動で捕われて
牢屋
(
ろうや
)
に入れられたときの話ですが、実はこの数年前にフランス議会ではメートル法を設定するという仕事がはじめられて
ラヴォアジエ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
武蔵屋政吉
(
むさしやまさきち
)
という家だ、そこを訪ねて行けばお前さんを立派な堅気にしてくれるだろう、
牢屋
(
ろうや
)
で五年お勤めをする気で、みっしり桶屋を稼ぐがいい、——分ったか
暗がりの乙松
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
朝でも夜でも
牢屋
(
ろうや
)
はくらい、いつでも鬼メが窓からのぞく。二人は日本橋の上に来ると、子供らしく欄干に手をのせて、
飄々
(
ひょうひょう
)
と飛んでいる白い
鴎
(
かもめ
)
を見降ろしていた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
後にこの三人が敵の
牢屋
(
ろうや
)
に入れられてからのクライマックスがちゃんと生きて来るように思われる。
映画雑感(Ⅳ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あのとき僕は、もうすこしで船の中の
牢屋
(
ろうや
)
にいれられるところだったんです。そのとき大木老人がきてくれて、僕が無罪だということをさかんにいってくれたんです。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は
捕手
(
とりて
)
の役人に囲まれて、長崎の
牢屋
(
ろうや
)
へ送られた時も、さらに悪びれる
気色
(
けしき
)
を示さなかった。
じゅりあの・吉助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
牢屋
(
ろうや
)
を
界
(
さかい
)
にして、北は官宅街とし、南に庶民の町屋を営ませた。蝦夷地改め北海道の主都として、面目のために、当地に自費移住するものには家作料を百両貸しあたえた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
実は、桂さんと武市さんが、お
牢屋
(
ろうや
)
を破って、勤王方のお
武士
(
さむらい
)
を一人、家へ預けに来たんです。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今考えて見ても、私が今こうして
牢屋
(
ろうや
)
の中にいるよりも遥かに遥かに辛かったように思う。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
リゼットが始めて彼に
捉
(
とら
)
えられてサン・ラザールの
館
(
シャトウ
)
——
即
(
すなわ
)
ち
牢屋
(
ろうや
)
へ送り込まれるときには
生鳥
(
いけどり
)
の
鶉
(
うずら
)
のように大事にされた。真に
猟
(
りょう
)
を愛する
猟人
(
かりうど
)
は
獲
(
え
)
ものを
残酷
(
ざんこく
)
に扱うものではない。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
わたしは、自分が
彼女
(
かのじょ
)
を敵の手中から救い出す
有様
(
ありさま
)
や、血まみれになった自分が彼女を
牢屋
(
ろうや
)
から
奪
(
うば
)
い出す光景や、そしてとうとう彼女の足もとで死ぬ場面を、次々に心に
描
(
えが
)
き出した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「この片腕には入墨がしてありますぞいな。この入墨は甲州入墨といって、甲州者で悪いことをしたのが、甲府の
牢屋
(
ろうや
)
へつながれて追い出される時に、この入墨をされるのじゃわいな」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこで豊雄の
大盗
(
だいとう
)
の疑いは晴れたが、神宝を持っていた罪は免がれることができないので、
牢屋
(
ろうや
)
に入れられていたのを、豊雄の父親と兄の太郎が
賄賂
(
わいろ
)
を用いたので百日ばかりで
赦
(
ゆる
)
された。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかし、掘り出して近代的設備の全き宝蔵や博物館に陳列保存されると、
忽
(
たちま
)
ちガラス張の
牢屋
(
ろうや
)
にとじこめられ、名札を添えられ、写真をとられ、批評され、胴上げされて見世物になり易い。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
機屋
(
はたや
)
の亭主が女工を
片端
(
かたはし
)
から
姦
(
かん
)
して
牢屋
(
ろうや
)
に入れられた話もあれば、利根川に
臨
(
のぞ
)
んだ
崖
(
がけ
)
から、
越後
(
えちご
)
の女と
上州
(
じょうしゅう
)
の男とが
情死
(
しんじゅう
)
をしたことなどもある。街道に接して、だるま屋も二三軒はあった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
糺問所
(
きゅうもんじょ
)
と云う
牢屋
(
ろうや
)
のようなものがあって、その糺問所の手に掛って古川
節蔵
(
せつぞう
)
と、前年、私が米国に同行した
小笠原賢蔵
(
おがさわらけんぞう
)
と云う海軍士官と、
二人
(
ふたり
)
連れで霞ヶ関の
芸州
(
げいしゅう
)
の屋敷に監禁されて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
……そうでしたよ。いっそ、徹底すりゃ、よかったんです。自分の気もちを、もっと突きつめて——もっとも、そうすりゃ、
牢屋
(
ろうや
)
か殺されたか、——そいでも、行くべきだったんだ、そこまで。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
といいながら、
百姓
(
ひゃくしょう
)
をつかまえて、
牢屋
(
ろうや
)
へ
連
(
つ
)
れて行こうとしました。
赤い玉
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「それさ、いい着物を着て、ただ者の子供じゃあんめいよ。そんだとも、うっかり手をつけられねいぞ。かかり合いになって
牢屋
(
ろうや
)
さでも、ぶっこまれたら大変だ。触らぬ神に
祟
(
たたり
)
なしって言うわで。」
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
日
(
ひ
)
の
眼
(
め
)
拜
(
おが
)
まぬ
牢屋
(
ろうや
)
の
中
(
なか
)
で、
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
モントルイュ・スュール・メールの市の
牢屋
(
ろうや
)
を脱走した時、警察の方では、その脱走囚徒はパリーの方へ走ったに違いないと想像した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私がこの
牢屋
(
ろうや
)
の
中
(
うち
)
に
凝
(
じっ
)
としている事がどうしてもできなくなった時、またその牢屋をどうしても突き破る事ができなくなった時
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小伝馬町の
牢屋
(
ろうや
)
から、引廻しの出るときの御用を勤めるという、特別の役をもっている荷馬の宿があったから——の小伝馬町側に住んでいた。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
牢屋
(
ろうや
)
の
扉
(
とびら
)
にかかっている
錠
(
じょう
)
もそのままであれば、なにひとつあたりに、かわったこともなかったのに、
男
(
おとこ
)
ばかりは、いなくなったのであります。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それに、お年寄りがこの寒空に火の種一つねえご
牢屋
(
ろうや
)
住まいも身にこたえることだろうから、なるべくいたわってやんな
右門捕物帖:11 身代わり花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
おれは彼女を独占できる。その上、股野の
莫大
(
ばくだい
)
な財産があけみのものになる。だが、おれは殺人者だ。このまま手を
拱
(
こまね
)
いていれば、
牢屋
(
ろうや
)
にぶちこまれる。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それでもし、ぽくたちが
牢屋
(
ろうや
)
へやられればもう、きみのほんとうのうちの人を
探
(
さが
)
すこともできなくなるだろう。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
世の中の人間の「実生活」というものを恐怖しながら、毎夜の不眠の地獄で
呻
(
うめ
)
いているよりは、いっそ
牢屋
(
ろうや
)
のほうが、楽かも知れないとさえ考えていました。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
たとい空気の通わない
牢屋
(
ろうや
)
の中に閉じこめられても、これほど孤独で息苦しくはないだろうと言っています。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『あの
牢屋
(
ろうや
)
の中で靴下をつくろったという女王は、この上なくきらびやかな儀式や
出御
(
しゅつぎょ
)
の時よりも、かえってその瞬間の方が、真の女王らしく見えたに相違ない』
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
舞台はバテレン信徒を押し込めてある
牢屋
(
ろうや
)
の場面で、八重子の
華魁
(
おいらん
)
や、牢番や、侍が並んでいる。桜がランマンと舞台に咲いている。そして舞台には小鳥が鳴いていた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
明かるく照明された、せまい一室だったが、入口は
扉
(
と
)
のかわりに、鉄の
格子
(
こうし
)
がはまっていた。
牢屋
(
ろうや
)
だった。ベッドは部屋の隅にとりつけてあって、腰かけの用もしていた。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
牢
漢検準1級
部首:⽜
7画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“牢屋”で始まる語句
牢屋敷
牢屋掛
牢屋格子