トップ
>
燃
>
もえ
ふりがな文庫
“
燃
(
もえ
)” の例文
と、遙か向う岸に連る二階家の
唯
(
と
)
ある欄干に、一面の日光を受けて、
燃
(
もえ
)
るやうな赤いものが干してある。女の襦袢か。夜具の裏地か。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
木の
枝
(
えだ
)
をあつめ火を
焚
(
たき
)
てあたりをりしに、其所よりすこしはなれて
別
(
べつ
)
に火
燄々
(
えん/\
)
と
燃
(
もえ
)
あがりければ、
児曹
(
こどもら
)
大におそれ皆々四方に
逃散
(
にげちり
)
けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
八十を越しても硫黄の熱は
燃
(
もえ
)
ていた。小さい机にしがみついたまま、
贅沢
(
ぜいたく
)
は身の毒になると、
蛍火
(
ほたるび
)
の火鉢に手をかざし、
毛布
(
ケット
)
を着て座っていた。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
かつて西鶴輪講の時、『一代男』の「
衛士
(
えじ
)
の
焼火
(
たくひ
)
は薄鍋に
燃
(
もえ
)
て、ざつと
水雑水
(
みずぞうすい
)
をとこのみしは、
下戸
(
げこ
)
のしらぬ事成べし」
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
面疱
(
にきび
)
だらけの
女中
(
ねえ
)
さんが
燐寸
(
マツチ
)
を
摺
(
す
)
つて
點
(
つ
)
けて、
插
(
さし
)
ぼやをさすと、フツと
消
(
け
)
したばかり、まだ
火
(
ひ
)
のついたまゝの
燃
(
もえ
)
さしを、ポンと
斜
(
はす
)
つかひに
投
(
な
)
げた——
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
ついでに落葉を一と
燃
(
もえ
)
させて
行頃
(
ゆくころ
)
何か徳蔵おじが
仔細
(
しさい
)
ありげに申上るのをお聞なさって、チョット
俯向
(
うつむ
)
きにおなりなさるはずみに、はらはらと
落
(
おつ
)
る涙が
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
否、其前逢つた時既に、と思ひ
出
(
だ
)
した。代助は
二人
(
ふたり
)
の過去を順次に
溯
(
さかの
)
ぼつて見て、いづれの
断面
(
だんめん
)
にも、
二人
(
ふたり
)
の間に
燃
(
もえ
)
る愛の
炎
(
ほのほ
)
を見出さない事はなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
本当に三人がそこで何時間かを過したかどうかを調べたり(事実、そこには
夥
(
おびただ
)
しい
煙草
(
たばこ
)
の
吸殻
(
すいがら
)
や
燐寸
(
マッチ
)
の
燃
(
もえ
)
さしが落ちていた)しているうちに、すっかり夜が明けはなれて
了
(
しま
)
った。
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
アヽ
云
(
い
)
ふ
奴
(
やつ
)
は
屹度
(
きつと
)
物
(
もの
)
を
喰
(
く
)
はうとするとボーと火か
何
(
なに
)
か
燃上
(
もえあが
)
るに
違
(
ちげ
)
えねえ、一
番
(
ばん
)
見たいもんだな、
食物
(
くひもの
)
から
火
(
ひ
)
の
燃
(
もえ
)
る
処
(
ところ
)
を、ウム、
幸
(
さいは
)
ひ
壁
(
かべ
)
が少し破れてる、
斯
(
か
)
うやつて
火箸
(
ひばし
)
で
突
(
つ
)
ツついて、ブツ
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
清十郎の胸の
中
(
うち
)
には恋の因果といふ猛火
燃
(
もえ
)
しきりて、主従の縁きるゝ神の
咎
(
とが
)
めを
浩歎
(
かうたん
)
して、七苦八苦の地獄に
顛堕
(
てんだ
)
したるを、お夏の
方
(
かた
)
にては唯だ
熾熱
(
しねつ
)
せる愛情と
堪
(
た
)
ゆべからざる同情あるのみ。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此地火一に
陰火
(
いんくわ
)
といふ。かの
如法寺村
(
によほふじむら
)
の陰火も
微風
(
すこしのかぜ
)
の
気
(
き
)
いづるに
発燭
(
つけぎ
)
の火をかざせば
風気
(
ふうき
)
手
(
て
)
に
応
(
おう
)
じて
燃
(
もゆ
)
る、
陽火
(
やうくわ
)
を
得
(
え
)
ざれば
燃
(
もえ
)
ず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたくしはあなたのお顔を、
天平
(
てんぴょう
)
時代の
豊頬
(
ほうきょう
)
な、輪廓のただしい美に、近代的知識と、情熱に輝き
燃
(
もえ
)
る
瞳
(
ひとみ
)
を入れたようだとつねにもうしておりました。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
苧殻
(
おがら
)
の
燃
(
もえ
)
さし、藁の人形を揃えて、くべて、逆縁ながらと、土瓶をしたんで、ざあ、ちゅうと皆消えると、夜あらしが、
颯
(
さっ
)
と吹いて、月が
真暗
(
まっくら
)
になって、しんとする。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
番する人もなく、
燃
(
もえ
)
るがままに
燃
(
もや
)
されている。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
此地火一に
陰火
(
いんくわ
)
といふ。かの
如法寺村
(
によほふじむら
)
の陰火も
微風
(
すこしのかぜ
)
の
気
(
き
)
いづるに
発燭
(
つけぎ
)
の火をかざせば
風気
(
ふうき
)
手
(
て
)
に
応
(
おう
)
じて
燃
(
もゆ
)
る、
陽火
(
やうくわ
)
を
得
(
え
)
ざれば
燃
(
もえ
)
ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
欠茶碗にもりつけた麦こがしを、しきりに
前刻
(
さっき
)
から、たばせた。が、
匙
(
さじ
)
は
附木
(
つけぎ
)
の
燃
(
もえ
)
さしである。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
出家の
言
(
ことば
)
は、
聊
(
いささ
)
か寄附金の
勧化
(
かんげ
)
のように聞えたので、少し気になったが、
煙草
(
たばこ
)
の灰を落そうとして目に
留
(
と
)
まった
火入
(
ひいれ
)
の、いぶりくすぶった色あい、マッチの
燃
(
もえ
)
さしの
突込
(
つッこ
)
み
加減
(
かげん
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寛文
(
くわんぶん
)
のむかし
荘
(
さう
)
右エ門が(如法寺村)
庭
(
には
)
にて
韛
(
ふいご
)
をつかひたる時より
燃
(
もえ
)
はじめしとぞ。前にいふ井中の火も
医者
(
いしや
)
が
挑灯
(
てうちん
)
を井の中へさげしゆゑその陽火にてもえいだしたるなるべし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その列の最も端の方に据えたのが、
蝦茶
(
えびちゃ
)
のリボン
飾
(
かざり
)
、かつて勇美子が
頭
(
かしら
)
に頂いたのが、色もあせないで
燈
(
ひ
)
の影に黒ずんで見えた。
傍
(
かたわら
)
には
早附木
(
マッチ
)
の
燃
(
もえ
)
さしが
散
(
ちら
)
ばっていたのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寛文
(
くわんぶん
)
のむかし
荘
(
さう
)
右エ門が(如法寺村)
庭
(
には
)
にて
韛
(
ふいご
)
をつかひたる時より
燃
(
もえ
)
はじめしとぞ。前にいふ井中の火も
医者
(
いしや
)
が
挑灯
(
てうちん
)
を井の中へさげしゆゑその陽火にてもえいだしたるなるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
井中より
俄
(
にはか
)
に火をいだし
火勢
(
くわせい
)
さかんに
燃
(
もえ
)
あがりければ
近隣
(
きんりん
)
のものども
火事
(
くわじ
)
なりとしてはせつけ、井中より火のもゆるを見て此井を掘しゆゑ此火ありとて村のものども口々に主人を
罵
(
のゝし
)
り
恨
(
うら
)
みければ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
燃
常用漢字
小5
部首:⽕
16画
“燃”を含む語句
燃料
燃燒
燃立
燃火
燃尽
燃木
燃上
燃殻
燃滓
燃焼
燃残
頭燃
再燃
燃草
燃出
燃盛
如救頭燃
航空用燃料
白燃鉄
燃進
...