氣遣きづかひ)” の例文
新字:気遣
もし(いゝやわることをしたおぼえもないから、那樣そんな氣遣きづかひちつともい。)とうありや、なん雨風あめかぜござらばござれぢや。なあ那樣そんなものではあるまいか。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すなら御米およねてゐるいまである。いまならどんな氣不味きまづいことを双方さうはうつのつたつて、御米およね神經しんけいさは氣遣きづかひはない
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
日出雄ひでをさん、あんまりやるとそんじますよ。』と氣遣きづかひがほわたくしさへ、その生臭なまくさにく口中こうちう充滿いつぱい頬張ほうばつてつたのである。
まくらしたや、寐臺ねだい何處どこかに、なにかをそツとかくしてく、れはぬすまれるとか、うばはれるとか、氣遣きづかひめではなくひとられるのがはづかしいのでさうしてかくしてものがある。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
聞てくれ尋常あたりまへの手紙にては手前も一けん主人あるじ容易よういに出て來る氣遣きづかひはないと思ひしゆゑ我等が謀計はかりごとにて九死一生なりと云てやれば如何に遠國ゑんごくにてもことに寄たら來るべしと思ひての事なりしがかくかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それはもう、そんな事を言ふ氣遣きづかひは無い」
けつしてそんになる氣遣きづかひ御座ございません。十ぷんすわれば、十ぷんこうがあり、二十ぷんすわれば二十ぷんとくがあるのは無論むろんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
數日すうじつ以來いらいかぜは、隨分ずいぶんすさまじいものであつたが、颶風タイフンつねとして、輕氣球けいきゝゆう幾度いくたびおなそらまわされてつたやうだから、左迄さまで遠方ゑんぽう氣遣きづかひはない、わたくしかんがへでは
さても同志の人々は小山田庄左衞門が逐電ちくでんせしを聞て大いに怒り追掛て討止うちとめんと云しを大石制して其身に惡事有れば夜討の事をもら氣遣きづかひなしと止めしがかねて申合せし四十七人十四日の夜全く本望を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
電車でんしやなかでは、御米およね何時頃いつごろめたらう、めたあと心持こゝろもち大分だいぶくなつたろう、發作ほつさももうおこ氣遣きづかひなからうと、すべわるくない想像さうざうばかりおもうかべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
夫人ふじん姿すがたつひ見出みいだこと出來できなかつたのである、わたくし幼少えうせうころから、水泳すいえいにはきはめてたつしてつたので、容易ようゐおぼれるやう氣遣きづかひはない、日出雄少年ひでをせうねんいだ一個いつこ浮標ブイちから
大切に致して至極しごく宜敷よろしう御ざいますと申ければ重四郎それあまりと申せば能過よすぎます私し風情ふぜいと云にお勇否々いへ/\然樣さやうでは御座りません御承知なれば御世話おせわ致しませう先でも金子の望みはなけれ共たびの御方はしりかるいによつ其故そこ先方むかう氣遣きづかひに思ひますから金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)