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毛布
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けっと
ふりがな文庫
“
毛布
(
けっと
)” の例文
行く手は二丁ほどで切れているが、高い所から赤い
毛布
(
けっと
)
が動いて来るのを見ると、登ればあすこへ出るのだろう。路はすこぶる
難義
(
なんぎ
)
だ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
重二郎も
恐
(
おそ
)
る/\入りますと、春見は
刀箪笥
(
かたなだんす
)
から刀を出し、
此方
(
こちら
)
の箪笥から紋付の着物を出して、着物を着替え、
毛布
(
けっと
)
を
其処
(
そこ
)
へ敷き延べて
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
毛布
(
けっと
)
をスッポリ頭から被り、そのまま人影杜絶えた夜の道をヒタ走りに走らせ、ニコーリー町の秘密倉庫で自動車を降りた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
これは
温
(
あったか
)
くして蒸らせるのですから布巾の代りにフランネルか
毛布
(
けっと
)
ならなお結構です。その木鉢を
極
(
ご
)
く温い処へ八時間ほどそうっと置きます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
水底
(
みなそこ
)
へ深く入った鯉とともにその
毛布
(
けっと
)
の
席
(
むしろ
)
を去って、
間
(
あい
)
に土間一ツ隔てたそれなる母屋の中二階に引越したのであった。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
こどもは力もつきて、もう起きあがろうとしませんでした。雪童子は笑いながら、手をのばして、その赤い
毛布
(
けっと
)
を上からすっかりかけてやりました。
水仙月の四日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
向こうには縁台に赤い
毛布
(
けっと
)
を敷いたのがいくつとなく並んで、赤い
襷
(
たすき
)
であやどった若い女のメリンスの帯が見える。
中年増
(
ちゅうどしま
)
の姿もくっきりと見える。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
イヤ寝るにも
毛布
(
けっと
)
も蒲団も無いので、一同は焚火を取囲み、
付元気
(
つけげんき
)
に詩吟するもあり、ズボンボ
歌
(
うた
)
を
唄
(
うた
)
うもあり。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
巻き
畳
(
たた
)
んだ
粗
(
あら
)
い
毛布
(
けっと
)
を肩に掛け、
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みまで腰に結び着けて、朝じめりのした坂道を荒町から登って来た。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「すみませんでした。でもネ、雀はあんな
毛布
(
けっと
)
を着ているが、僕はこの通り半裸体なもんですから……」
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
入り口の三方にかけつらねたる家の玄関先より往来にかけて粗製
毛布
(
けっと
)
防寒服ようのもの山と積みつつ、番頭らしきが若者五六人をさしずして荷造りに
忙
(
せわ
)
しき所に
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
会堂に着くと、入口の所へ
毛布
(
けっと
)
を丸めて投げ出して、木村の後ろについて内に
入
(
はい
)
ると、まず花やかな
煌々
(
こうこう
)
としたランプの光が堂にみなぎっているのに気を取られました。
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それなのに、この御殿はどうです、まあ、この空俵の上へ
毛布
(
けっと
)
一枚——ずいぶん結構なベットね。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
消そう。さあお前たち、眠るんだぞ。眠らないのはごく悪いや。眠らないと門がねばるぜ、上等の言葉で言やあ、口が臭くなる。よく
毛布
(
けっと
)
にくるまれよ。消すぞ。いいか。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
茲も一方ならず荒れて居て古い寝台二脚の外に蒲団
毛布
(
けっと
)
寝巻などの類が五六点、散らばって居る、其のうちの好さ相な
毛布
(
けっと
)
を二枚選び寝台に載せて持ち上げたが、余の大力にも仲々重いけど
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そうして、赤い
毛布
(
けっと
)
が妙に臭い。それにもかかわらず自分はこの山里で、銅山行きの味方を得たような心持ちがして
嬉
(
うれ
)
しかった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから厚い
毛布
(
けっと
)
かフランネルを二枚に
畳
(
たた
)
んでも三枚に畳んでもようございますから今の桶の上へ
悉皆
(
すっかり
)
蒙
(
かぶ
)
せて氷の速く
融
(
と
)
けないようにします。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
と露店でも開くがごとく、与五郎一廻りして
毛布
(
けっと
)
を拡げて、石段の前の敷石に、しゃんと坐る、と居直った声が曇った。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
官軍の
印
(
しるし
)
として
袖
(
そで
)
に着けた錦の
小帛
(
こぎれ
)
。肩から横に掛けた青や赤の
粗
(
あら
)
い
毛布
(
けっと
)
。それに
筒袖
(
つつそで
)
。だんぶくろ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ひとりの子供が、赤い
毛布
(
けっと
)
にくるまって、しきりにカリメラのことを考えながら、大きな象の頭のかたちをした、
雪丘
(
ゆきおか
)
の
裾
(
すそ
)
を、せかせかうちの方へ急いで居りました。
水仙月の四日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
下は
毛布
(
けっと
)
一枚敷かぬ堅い床板なので、腰骨や肩先が痛くなる。深夜の
寒気
(
さむけ
)
にブルブル震えて来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
フラン
毛布
(
けっと
)
を前に押附けて、これから福寿庵の前に車を
下
(
おろ
)
します。車から出て板橋を渡って這入りますと、奥に庭が有りまして、あの庭は余程
手広
(
てびろ
)
で有りまして、
泉水
(
せんすい
)
がございます。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おりおり立ち止まっては
毛布
(
けっと
)
から雪を払いながら歩みます、私はその以前にもキリスト教の会堂に入ったことがあるかも知れませんが、この夜の事ほどよく心に残っていることはなく
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
女中に持たせし
毛布
(
けっと
)
を草のやわらかなるところに敷かせて、武男は
靴
(
くつ
)
ばきのままごろりと横になり、
浪子
(
なみこ
)
は
麻裏草履
(
あさうら
)
を脱ぎ
桃紅色
(
ときいろ
)
のハンケチにて二つ三つ
膝
(
ひざ
)
のあたりをはらいながらふわりとすわりて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
寒ければやむを得ない、夜具を着るとか、
毛布
(
けっと
)
を
被
(
かぶ
)
るとかして、当分我慢しろと云った話を、宗助はおかしく繰り返して御米を笑わした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と言うと
斉
(
ひと
)
しく、仰向けに寝て、
毛布
(
けっと
)
を胸へ。——
鶏
(
とり
)
の声を聞きながら、大胆不敵な
鼾
(
いびき
)
で、すやすやと寝たのである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中には野蛮的の人物が他人の席まで横領して
毛布
(
けっと
)
を長く拡げて空気枕をして腰掛の上へ
横臥
(
おうが
)
するものもありますがあれは自ら好んで塵や細菌を吸い込むのです。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「もういいよ。」雪童子は子供の赤い
毛布
(
けっと
)
のはじが、ちらっと雪から出たのをみて叫びました。
水仙月の四日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
娘二人を島に揚げし後は若者ら寒しとて
毛布
(
けっと
)
被
(
かぶ
)
り足を縮めて
臥
(
ふ
)
しぬ。
老
(
としより
)
夫婦は孫に菓子与えなどし、家の事どもひそひそと語りあえり。浦に着きしころは日落ちて夕煙村を
罩
(
こ
)
め浦を包みつ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
九分に一枚、八分に一枚、ついには三分間に一枚ずつ重ね、数十枚の
毛布
(
けっと
)
を着尽したり、今は着るべきものもあらず、身はさながら毛布の山に包まれしがごとく、身動きも出来ずなったれど
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
右へ右へと
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
庚申山
(
こうしんやま
)
へ差しかかってくると、
東嶺寺
(
とうれいじ
)
の鐘がボーンと
毛布
(
けっと
)
を通して、耳を通して、頭の中へ響き渡った。
何時
(
なんじ
)
だと思う、君
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世に不思議な、この二人の、
毛布
(
けっと
)
にひしと
寄添
(
よりそ
)
ったを、あの青い石の狐が、顔をぐるりと向けて、鼻で
覗
(
のぞ
)
いた……
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よく煉れた時分にメリケン粉を一握り
掴
(
つか
)
んでバラバラとその上へ振かけて木鉢の上へ大きな
布巾
(
ふきん
)
を
蔽
(
おお
)
うようにかけておきます。フランネルか
毛布
(
けっと
)
ならなお結構です。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
俄
(
には
)
かに戸があいて、赤い
毛布
(
けっと
)
でこさへたシャツを着た若い血色のいゝ男がはひって来ました。
耕耘部の時計
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
帰りは
風雪
(
ふぶき
)
になっていました。二人は
毛布
(
けっと
)
の中で抱き合わんばかりにして、サクサクと積もる雪を踏みながら、私はほとんど夢ごこちになって寒さも忘れ、木村とはろくろく口もきかずに帰りました。
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
閑
(
ひま
)
があるととかく余計な事がしたくなって困る。その時はただ寒いばかりであった。
傍
(
そば
)
にいる茨城県の
毛布
(
けっと
)
が
羨
(
うらや
)
ましくなって来たくらいであった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
漸
(
やっ
)
と
茶店
(
ちゃや
)
に
辿着
(
たどりつ
)
くと、其の駕籠は
軒下
(
のきした
)
に建つて居たが、沢の腰を掛けた時、白い
毛布
(
けっと
)
に包まつた病人らしい
漢
(
おとこ
)
を乗せたが、ゆらりと
上
(
あが
)
つて、すた/\行く……
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今や上野に着せんとする汽車の二等室内には大原家の一行五人が
毛布
(
けっと
)
を
畳
(
たた
)
み
鞄
(
かばん
)
を締め、網棚の物を
卸
(
おろ
)
し、帽子の
塵
(
ちり
)
を払いて下車の支度をなす中に心の急かるる大原の母は
姪
(
めい
)
のお代に向い
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
細君は喧嘩を後日に譲って、
倉皇
(
そうこう
)
針箱と袖なしを
抱
(
かか
)
えて茶の間へ逃げ込む。主人は鼠色の
毛布
(
けっと
)
を丸めて書斎へ投げ込む。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云う
呼吸
(
いき
)
づかいが荒くなって、
毛布
(
けっと
)
を乗出した、薄い胸の、
露
(
あら
)
わな骨が動いた時、道子の肩もわなわなして、真白な手の
戦
(
おのの
)
くのが、雪の乱るるようであった。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それを大きくでも小さくでも好き自由に切ってパンの型へ入れて上へ布巾かあるいは
毛布
(
けっと
)
をかけて今の通りの温い処へ一時間ほど置きますと今度はズンズン膨れ上って大きくなっています。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
底は一枚板の平らかに、
舷
(
こべり
)
は尺と水を離れぬ。赤い
毛布
(
けっと
)
に煙草盆を転がして、二人はよきほどの間隔に座を占める。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
双方黒い外套が、こんがらかって引返すと、
停車場
(
ステエション
)
には早や駅員の影も見えぬ。
毛布
(
けっと
)
かぶりの
痩
(
や
)
せた
達磨
(
だるま
)
の目ばかりが
晃々
(
きらきら
)
と光って、今度はどうやら羅漢に見える。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ愉快だと足をうんと延ばすと、何だか両足へ飛び付いた。ざらざらして
蚤
(
のみ
)
のようでもないからこいつあと
驚
(
おど
)
ろいて、足を二三度
毛布
(
けっと
)
の中で
振
(
ふ
)
ってみた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夫人が
彳
(
たたず
)
んでいて掛けないのを見て、早瀬は
懐中
(
ふところ
)
から切立の
手拭
(
てぬぐい
)
を出して、はたはたと
毛布
(
けっと
)
を払って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
締
(
しま
)
りをした
門
(
かど
)
を揺り動かして、使いのものが、余を驚かすべく池辺君の
訃
(
ふ
)
をもたらしたのは十一時過であった。余はすぐに白い
毛布
(
けっと
)
の中から出て服を改めた。
三山居士
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
葦簀
(
よしず
)
の屋根と柱のみ、
破
(
やぶれ
)
の見える床の上へ、二ひら三ひら、申訳だけの
緋
(
ひ
)
の
毛布
(
けっと
)
を敷いてある。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
揺
(
ゆす
)
り始めたんで、やむを得ず、
毛布
(
けっと
)
の方でも「おい」と同じような返事をして、中途
半端
(
はんぱ
)
に立ち上った。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
老人は、石の壇に、用意の
毛布
(
けっと
)
を
引束
(
ひったば
)
ねて敷いて、
寂寞
(
ひっそり
)
として腰を据えつつ、両手を膝に端坐した。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
申し合せたように
毛布
(
けっと
)
に
包
(
くる
)
まって砂浜の上に寝た。夜中に眼が
覚
(
さ
)
めると、ぽつりぽつりと雨が顔へあたっていた。その上犬が来て
真水英夫
(
まみずひでお
)
の
脚絆
(
きゃはん
)
を
啣
(
くわ
)
えて行った。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“毛布”の意味
《名詞》
毛布(もうふ)
主に寝具として用いる厚手の毛織物。ブランケット。
(出典:Wiktionary)
“毛布”の解説
毛布(もうふ、en: blanket ブランケット)は、ウールなどを厚く織って(あるいは編んで)起毛などの処理を施した製品。日本語では、「ブランケット」を短縮して「ケット」と呼ばれることもある。
(出典:Wikipedia)
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
布
常用漢字
小5
部首:⼱
5画
“毛布”で始まる語句
毛布団