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柊
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ひいらぎ
ふりがな文庫
“
柊
(
ひいらぎ
)” の例文
聖降誕祭お目出とうなどと云って廻っている
鈍児
(
どじ
)
どもはどいつもこいつもそいつのプディングの中へ一緒に煮込んで、心臓に
柊
(
ひいらぎ
)
の棒を
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
晩秋の野面に立った
柊
(
ひいらぎ
)
の梢から、白い粉のような花がぼろぼろこぼれ落ちて来るあたりの風景までが、しっとりと身に沁み始め
馬車
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
まだ本堂の前の
柊
(
ひいらぎ
)
も暗い。その時、朝の空気の静かさを破って、澄んだ大鐘の音が起こった。力をこめた松雲の
撞
(
つ
)
き鳴らす音だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「やっぱり、でも、いい部屋だな。さすがに、立派な普請だ。庭の眺めもいい。
柊
(
ひいらぎ
)
があるな。柊のいわれを知っているか」
親友交歓
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
女房たちは
活溌
(
かっぱつ
)
に動きまわり、家をきちんと整理し、つやのいい
柊
(
ひいらぎ
)
の枝の、真赤な実をつけたのが窓にあらわれはじめた。
駅馬車
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
▼ もっと見る
柊
(
ひいらぎ
)
の葉のやうに
薄
(
うす
)
つ
片
(
ぺら
)
で、そして又柊の葉のやうに触つた人を刺さないでは置かない雑誌だが、
市
(
まち
)
へ出す数も
極
(
ごく
)
少いので知らぬ人が多いやうだ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
二人
(
ふたり
)
の
少年
(
せうねん
)
が
泊
(
とま
)
つた
家
(
いへ
)
は、
隣村
(
りんそん
)
にも
名
(
な
)
だたる
豪家
(
がうか
)
であつた。
門
(
もん
)
のわきには
大
(
おほ
)
きな
柊
(
ひいらぎ
)
の
木
(
き
)
が、
青
(
あを
)
い
空
(
そら
)
にそヽりたつてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
浮
(
うか
)
れ車座のまわりをよくする油さし商売は
嫌
(
いや
)
なりと、
此度
(
このたび
)
は
象牙
(
ぞうげ
)
を
柊
(
ひいらぎ
)
に
易
(
か
)
えて
児供
(
こども
)
を相手の
音曲
(
おんぎょく
)
指南
(
しなん
)
、芸は
素
(
もと
)
より鍛錬を
積
(
つみ
)
たり、
品行
(
みもち
)
は
淫
(
みだら
)
ならず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
片手でも押し倒せそうな小さい仮家で、
柊
(
ひいらぎ
)
や
柘植
(
つげ
)
などの下枝に
掩
(
おお
)
われながら、南向きに寂しく立っていた。秋の虫は墓にのぼって
頻
(
しき
)
りに鳴いていた。
秋の修善寺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
森の中は真っ暗で、ほとんど幹と幹を見分けることができなかった。彼は
柊
(
ひいらぎ
)
のステッキを振り振り、さっさと歩いた。
秘密礼拝式
(新字新仮名)
/
アルジャーノン・ブラックウッド
(著)
それでも鬼が来て
覗
(
のぞ
)
くか、楽書で
捏
(
でっ
)
ちたような雨戸の、節穴の下に
柊
(
ひいらぎ
)
の枝が落ちていた……鬼も
屈
(
かが
)
まねばなるまい、いとど低い屋根が崩れかかって
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
吉備
(
きび
)
の臣等の祖先のミスキトモミミタケ彦という人を副えてお遣わしになつた時に、
柊
(
ひいらぎ
)
の長い
矛
(
ほこ
)
を賜わりました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
八百屋や何かで
柊
(
ひいらぎ
)
の枝を束ねたついなの箒(?)を売っています、はじめてこんなものを見た、撒く豆というのも大きいのね、上落合に暮していた節分の夜
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
柊
(
ひいらぎ
)
の枝や、鳥に
啄
(
ついば
)
み残され凍り残されてる清涼茶の赤い実の
房
(
ふさ
)
を、その美しい女神の両手にいっぱい供えた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
氏
(
うじ
)
は細木、定紋は
柊
(
ひいらぎ
)
であるが、店の
暖簾
(
のれん
)
には一文字の下に三角の
鱗形
(
うろこがた
)
を染めさせるので、
一鱗堂
(
いちりんどう
)
と号し、書を作るときは
竜池
(
りゅうち
)
と署し、俳句を吟じては
仙塢
(
せんう
)
と云い
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
門口の
柊
(
ひいらぎ
)
の株を右に曲って、二人の姿が見えなくなると、母親は、わあっ! と声を立てて泣き出した。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
肉親とはかくもつれなきものかな! 花が何も咲いていなかったせいか、私は門を出がけに手にさわった
柊
(
ひいらぎ
)
の枝を折って、門司まで持って行ったのを覚えています。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
柊
(
ひいらぎ
)
や
蕁麻
(
いらぐさ
)
や
山査子
(
さんざし
)
や
野薔薇
(
のばら
)
や
薊
(
あざみ
)
や気短かな
茨
(
いばら
)
などと戦わなければならなかった。非常な
掻傷
(
そうしょう
)
を受けた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
豆を家族の年の数ほど紙に包みてそれを
厄払
(
やくばらい
)
にやるはいづこも同じ事ならん。たらの木に
鰯
(
いわし
)
の頭さしたるを戸口々々に
挿
(
はさ
)
むが多けれど
柊
(
ひいらぎ
)
ばかりさしたるもなきにあらず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ファニーとカロラインが体を二つに折って笑いこけているのをいまいましくにらみつけながら足許を見ると、紫の花をつけた一茎の
大薊
(
おおあざみ
)
が
柊
(
ひいらぎ
)
のような葉を拡げて立っていた。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
年
(
とし
)
とったお
母
(
かあ
)
さんは
隣
(
となり
)
の
鶏
(
にわとり
)
が
今日
(
きょう
)
はじめて
卵
(
たまご
)
をうんだが、それはおかしいくらい
小
(
ちい
)
さかったこと、
背戸
(
せど
)
の
柊
(
ひいらぎ
)
の
木
(
き
)
に
蜂
(
はち
)
が
巣
(
す
)
をかけるつもりか、
昨日
(
きのう
)
も
今日
(
きょう
)
も
様子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
に
来
(
き
)
たが
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そのとき運悪く
柊
(
ひいらぎ
)
の木の枝にひっかかり、顔も手足も血だらけにして歯をくいしばっていたが、金博士の声を耳にしてびっくり
仰天
(
ぎょうてん
)
、
狼狽
(
ろうばい
)
する
途端
(
とたん
)
に、すとーんと地面へ落ちて
戦時旅行鞄:――金博士シリーズ・6――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
葉をそよがせる
柊
(
ひいらぎ
)
も常盤木も一本もないからだ。そして裸になつた
山櫨
(
さんざし
)
も
榛
(
はしばみ
)
の藪も、まるで道路の中央に敷いてある白い
磨
(
す
)
り減らした石のやうに
凝
(
じつ
)
と身動きもしないのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
伊豆
新島
(
にいじま
)
の話に、正月二十四日は、大島の泉津村
利島
(
としま
)
神津島とともに
日忌
(
ひいみ
)
で、この日海難坊(またカンナンボウシ)が来るといい、夜は門戸を閉じ、
柊
(
ひいらぎ
)
またトベラの枝を入口に挿し
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今その一例を挙ぐれば、
狐火
(
きつねび
)
、流星、
不知火
(
しらぬい
)
、
蜃気楼
(
しんきろう
)
、および京都下加茂社内へ移植する木はみな
柊
(
ひいらぎ
)
に変じ、尾州熱田に移養する鶏はみな牡鶏に化すというがごときは、物理的妖怪なり。
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
関東以西の
柊
(
ひいらぎ
)
の枝に鰯の頭は、節分の夜の行事となっているが、ここではこの十四日の年越に、魚の
鰭
(
ひれ
)
、魚の皮などをこがして餅とともに串に刺し、すべての入口、窓という窓に挿んで
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
されば一日そが果樹園に杖ひくうち、葉
柊
(
ひいらぎ
)
に似て異国めき、名はわからねど植木屋もたゞ「西洋の、おめでたき草……」とのみよべる珍草あり、さして風情はあらざりしが、
奇
(
めづら
)
しきまゝ求め
来
(
きた
)
り
滝野川貧寒
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
尾田はそう考えながら背の高い
柊
(
ひいらぎ
)
の垣根に沿って歩いて行った。正門まで出るにはこの垣をぐるりと一巡りしなければならなかった。彼はときどき立ち止まって、額を垣に押しつけて院内を
覗
(
のぞ
)
いた。
いのちの初夜
(新字新仮名)
/
北条民雄
(著)
赤き日に黒き
刺葉
(
はりは
)
の沁み揺るる
柊
(
ひいらぎ
)
の根を人うちかへす
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
柊
(
ひいらぎ
)
をさす母によりそひにけり
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
片手でも押し倒せそうな小さい仮家で、
柊
(
ひいらぎ
)
や
柘植
(
つげ
)
などの下枝に
掩
(
おお
)
われながら、南向きに寂しく立っていた。秋の虫は墓にのぼって
頻
(
しき
)
りに鳴いていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
晩餐は広い樫の木造りの部屋にしつらえられたが、この部屋の鏡板は蝋が引いてあってぴかぴか光り、周囲には家族の肖像画がいくつか
柊
(
ひいらぎ
)
と蔦で飾られていた。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ヴォージラールの墓地はものさびた場所で、フランス式の古い庭園のようなふうに木が植わっていた。まっすぐな道、黄楊樹、
柏
(
かしわ
)
、
柊
(
ひいらぎ
)
、
水松
(
いちい
)
の古木の下の古墳、高い雑草。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その到るところに、きらきらとした赤い
果実
(
このみ
)
が露のように燦めいていた。
柊
(
ひいらぎ
)
や寄生木や蔦のぱりぱりする葉が光を照り返して、さながら無数の小形の鏡が散らかしてあるように見えた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
柊
(
ひいらぎ
)
や生垣の檜葉などが、春の芽をがむしゃらに延していた。冬越ししてもさもさになった野馬の毛を刈るように、それらに手を入れるのだ。木鋏で刈りながら、伸子は祖母といろいろなことを話した。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
本陣の
稲荷
(
いなり
)
の
祠
(
ほこら
)
が
樫
(
かし
)
や
柊
(
ひいらぎ
)
の間に隠れていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
心ひまあれば
柊
(
ひいらぎ
)
花こぼす
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そしてつややかな
柊
(
ひいらぎ
)
の枝が鮮かな赤い實をつけて、窓々に姿を見せ始めた。こんな風景からわたしが思ひ出したのは昔の著述家の書いたクリスマスの準備の敍述であつた。
駅伝馬車
(旧字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ひどく貧乏な百姓家でも、緑色の
月桂樹
(
げっけいじゅ
)
や
柊
(
ひいらぎ
)
を飾りたてて、祝日を迎えた。
クリスマス
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
柊
漢検準1級
部首:⽊
9画
“柊”を含む語句
柊屋
柊冬青
柊家
柊寺
柊平
柊揆
柊林
柊野