未明みめい)” の例文
未明みめい食事をおはりて出立し又水流すいりうさかのぼる、無数の瀑布を経過けいくわして五千五百呎のたかきに至れば水流まつたき、源泉は岩罅かんこより混々こん/\として出できた
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
勘次かんじそのあさ未明みめいにそつといへうしろならあひだはしへおりて境木さかひぎ牛胡頽子うしぐみそば注意ちういしてた。唐鍬たうぐはなにかでうごかしたつちあといた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
差添さしそへらるとの事なれば友次郎等は有難きむねうけをなし翌朝よくてう未明みめい發足ほつそくせしが三人の中お花友次郎は通駕籠かご忠八は願ひに因てお花の駕籠のそば付添つきそふ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
未明みめい、さわぎを聞いた御用の者が駈けつけて来て、剣林けんりん、勝負をそのままに四散したが、こうして、江戸の春はけて、やがて青葉若葉の初夏となった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
土方ひじかためも青菜に塩の有様で立帰り、近藤に話すと、近藤め、火のように怒り、今朝未明みめいに島田の道場へ押しかけたが、やがて這々ほうほうていで逃げ帰りおった」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
という次第は、鍛ち下ろしを戴いた翌日——いつも朝の未明みめいでござるが、罪人の死体をお上より申しうけ、新刀試あらみだめしをいたしておきたいと主人が仰っしゃる。
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それより、鐵車てつしや紀念塔きねんたふ積入つみいれ、小銃せうじう彈藥だんやく飮料水いんりようすい糧食等りようしよくなど用意ようゐくらして、さてその翌日よくじつとなると、吾等われら撰任せんにんされたる五名ごめい未明みめい起床おきいでゝ鐵車てつしや乘組のりくんだ。
(さいの神のまつり下にしるす)又去年むこよめをむかへたる家のかどに、未明みめいよりわらべども大勢あつまり、かの斗棒をもつて門戸をたゝき、よめをだせむこをだせと同音によばゝりたゝく。
声は寒さにふるえている、春とはいえ未明みめい河畔かはんの空気はつめたい。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
吉原江戸町二丁目なる丁字屋半藏方へ身賣致し其身代金みのしろきんを所持致し今朝こんてう未明みめいに私し方を出立致し候を存知居ぞんぢをり候者の仕業しわざかと恐れながら存じられ候と身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれ未明みめいまた土藏どざうかくれた。内儀かみさんは傭人やとひにんくちかたいましめてそとれないやうと苦心くしんをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
成程なるほどわたくし今朝けさ未明みめい櫻木大佐等さくらぎたいさらともいへつたのは、少年せうねんやすらかなるゆめむすんでつたあひだで、其後そのゝち目醒めざめたかれは、いつもとちがひわたくし姿すがたえず、また最愛さいあい稻妻いなづまらぬので
(さいの神のまつり下にしるす)又去年むこよめをむかへたる家のかどに、未明みめいよりわらべども大勢あつまり、かの斗棒をもつて門戸をたゝき、よめをだせむこをだせと同音によばゝりたゝく。
未明みめいひかり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いとはず未明みめいより起出て枝豆えだまめ其外時の物を自身じしん賣歩行うりあるき難澁なんじふをもいとはず孝行盡し候だん幼年えうねんには似合ざる孝心奇特きどく之事に候よつて御褒美はうびとして鳥目てうもく十貫文とらつかはす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじもかせえてらせやがればえゝのに」卯平うへいがぶすりとつぶやこゑひくくしかもみんなのみゝそこひゞいた。卯平うへい未明みめい使つかひるまではおしな病氣びやうきはちつともらずにた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)