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廟
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びょう
ふりがな文庫
“
廟
(
びょう
)” の例文
かれは幕府の
廟
(
びょう
)
にいながら、大奥にも威力をもって両棲の
佞官
(
ねいかん
)
だ。そして天下の弊風と百害はかれの施政から招かれているといっていい
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この島のものは実に
見厭
(
みあ
)
きません。もとより古い
城址
(
しろあと
)
や寺院や
廟
(
びょう
)
や神社や、それらの建物には、忘れ得ぬ数々のものがあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
祖師堂は典正なのが
同一棟
(
ひとつむね
)
に別にあって、幽厳なる
夫人
(
ぶにん
)
の
廟
(
びょう
)
よりその
御堂
(
みどう
)
へ、細長い古畳が欄間の黒い
虹
(
にじ
)
を引いて続いている。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
関羽
(
かんう
)
の
廟
(
びょう
)
の中に面白い物がある。青鬼赤鬼ら地獄の鬼の姿を沢山
拵
(
こしら
)
えて関羽の
手下
(
てした
)
のように飾ってある。その美術がてかてか面白く出来て居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
正面にある
廟
(
びょう
)
の横から石段を登って壁の上へ出ると、
廟
(
びょう
)
の
後
(
うしろ
)
だけが
半月形
(
はんげつけい
)
になっていわゆる
北陵
(
ほくりょう
)
を取り巻いている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
庚寅
(
こういん
)
の年、江西の節度使の
徐知諫
(
じょちかん
)
という人が
銭
(
ぜに
)
百万をもって廬山使者の
廟
(
びょう
)
を修繕することになりました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
是
(
かく
)
の如きの人にして、
帝
(
みかど
)
となりて位を保つを得ず、天に帰して
諡
(
おくりな
)
を
得
(
う
)
る
能
(
あた
)
わず、
廟
(
びょう
)
無く陵無く、
西山
(
せいざん
)
の
一抔土
(
いっぽうど
)
、
封
(
ほう
)
せず
樹
(
じゅ
)
せずして終るに至る。
嗚呼
(
ああ
)
又奇なるかな。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
コスのアスクレーピオス医聖の
廟
(
びょう
)
に掲ぐるための作で、百タレンツ今の約二十万円を
値
(
あたい
)
した。アペルレースの人となり至って温良故、アレキサンダー王の殊寵を得た。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「漢陽は、遠いなあ。」いずれが誘うともなく二人ならんで
廟
(
びょう
)
の廊下から出て月下の湖畔を
逍遥
(
しょうよう
)
しながら、「父母
在
(
いま
)
せば遠く遊ばず、遊ぶに必ず方有り、というからねえ。」
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
かの日光の
廟
(
びょう
)
の壮厳雄麗、
金碧
(
こんぺき
)
目を
眩
(
くら
)
まし、今日に及んでなお世界万邦の
艶羨
(
えんせん
)
喝采
(
かっさい
)
を博するゆえんのものは、これわが人民が
一抔
(
いっぽう
)
の墓田をも有せず、三尺の石塔をも有せず
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
明治以後の日本人は、「
信長
(
のぶなが
)
が、皇居を造営した」ということをとらえて、一大忠臣のように賞めたてている。明治三年、明治政府は、みずから「建勲神社」の賛辞を信長の
廟
(
びょう
)
にささげたのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
「偽装のためにですね、一部は本邸へ入れるでしょう、しかしその他の大部分は他へ運びますね、なにしろ御三家の威光があるから便利です。毎年の例で日光
廟
(
びょう
)
へ納めるというのも怪しめば怪しめるでしょう」
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
北鎌倉、
円覚寺
(
えんがくじ
)
仏日庵。時宗の
廟
(
びょう
)
。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
小さな
廟
(
びょう
)
が見えた。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蝙蝠
(
こうもり
)
か、むささびか、目をかすめた物がある。いや追手の
松明
(
たいまつ
)
もピラピラ
廟
(
びょう
)
の外を走り廻っていた。とてもじっと隠れてはいられない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
他の土産物のように遊びがないので、本当に役立ってくれます。日光土産には
盆
(
ぼん
)
があって、その上に日光山の
廟
(
びょう
)
だとか
眠猫
(
ねむりねこ
)
などを彫った物を売ります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
春先
(
はるさき
)
弁当でも持って
遊
(
あそび
)
に来るには
至極
(
しごく
)
結構だが、ところが満洲だけになお珍らしい。余は痛い腹を
抑
(
おさ
)
えて、とうとう
天辺
(
てっぺん
)
まで登った。するとそこに小さな
廟
(
びょう
)
があった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この人形の首をはじめて見たのは、わたしが日露戦争に従軍した時、満洲の
海城
(
かいじょう
)
の城外に
老子
(
ろうし
)
の
廟
(
びょう
)
があって、その祭日に人形をまわしに来たシナの芸人の箱のなかでした。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
唐土の昔、
咸寧
(
かんねい
)
の吏、
韓伯
(
かんはく
)
が子
某
(
なにがし
)
と、
王蘊
(
おううん
)
が子某と、
劉耽
(
りゅうたん
)
が子某と、いずれ
華冑
(
かちゅう
)
の公子等、相携えて
行
(
ゆ
)
きて、土地の神、
蒋山
(
しょうざん
)
の
廟
(
びょう
)
に遊ぶ。廟中数婦人の像あり、
白皙
(
はくせき
)
にして甚だ端正。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片田舎
(
かたいなか
)
の荒れ地へ追いやられ、ただ口先の
弁巧
(
べんこう
)
で、ぬらりくらり身を這い上げた
諂
(
へつら
)
い者が、
廟
(
びょう
)
に立ち、政治を私しているのではないか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自から直ちに遠山の
背後
(
うしろ
)
に来て、その受持の患者を守護する。両人は扉を挟んで、腰をかけた、
渠等
(
かれら
)
好事
(
こうず
)
なる江戸ツ児は、かくて甘んじて、この
惨憺
(
さんたん
)
たる、天女
廟
(
びょう
)
の門衛となったのである。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孫恩
(
そんおん
)
が乱を起したときに、
呉興
(
ごこう
)
の地方は大いに乱れた。なんのためか、ひとりの男が
蒋侯
(
しょうこう
)
の
廟
(
びょう
)
に突入した。
蒋子文
(
しょうしぶん
)
は
広陵
(
こうりょう
)
の人で、三国の
呉
(
ご
)
の始めから、神としてここに祀られているのである。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
順和商行と
関羽
(
かんう
)
の
廟
(
びょう
)
のあいだを曲って、いくつもの、ほそい露地をたどると、さっき、宵に、トム公の訪れた、阿片クラブの地下室へ出る。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この二つの信念は、
磯長
(
しなが
)
の
廟
(
びょう
)
に籠った
賜物
(
たまもの
)
であった。聖徳太子からささやかれた霊示であると彼は感激にみちて思う。けれど
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
廟
(
びょう
)
に大統をうけた八代将軍であり、これは相変らず無為に父や兄の
脛
(
すね
)
をかじっている一個の放浪児でしかありません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうだ、そんなはなしは、いつか
潯陽江
(
じんようこう
)
の白龍
廟
(
びょう
)
でも耳にしたことがある。誰か、
速舟
(
はやぶね
)
で朱貴を呼んで来てくれまいか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
董卓は、云い捨てて、
廟
(
びょう
)
を下り、即座に、車馬千駄の用意を命じて、自分はひとまず宮門から自邸へと
輦
(
くるま
)
を急がせた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると、その雷横組のほうが、
麓
(
ふもと
)
ぢかい
霊官廟
(
れいかんびょう
)
のほとりまで来たときだった。ひょいと見ると、
廟
(
びょう
)
の扉が、魔の口みたいに開けッ放しになっている。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とたびたび人の声がするというので、玉泉山の
郷人
(
さとびと
)
たちは相談して一宇の
廟
(
びょう
)
を建て、関羽の霊をなぐさめたという。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうじゃ、
聖徳太子
(
しょうとくたいし
)
と、そのおん母君、お
妃
(
きさき
)
、三尊の
御墳
(
みつか
)
がある太子
廟
(
びょう
)
へ
詣
(
もう
)
でて、七日ほど、
参籠
(
さんろう
)
いたしたい」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、右の崖を仰ぐと、崖の中腹に、室町風の古雅な観月亭と
廟
(
びょう
)
があって、狭い石ころ道は
苔
(
こけ
)
むして見え、その辺を縫ってなお、
幽翠
(
ゆうすい
)
な山の上へつづいている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一月の元旦といえば、
衣冠
(
いかん
)
をただして、遠く皇居を拝し、次に、祖先の
廟
(
びょう
)
にぬかずいて、父母のみたまに一年の報告をすることを例としているというはなしもある。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「明日、われをそこへ案内せい。自身参って、
廟
(
びょう
)
を
掃
(
はら
)
い、いささか心ばかりの祭をいたすであろう」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、歩き歩き、通ったしるしを残して行きましょう」と、甘洪は、
廟
(
びょう
)
の壁に何か書き残したが、半里も歩くとまた、道ばたの木の枝に、黄色の
巾
(
きれ
)
を結びつけて行く——
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新しい祠堂というのは、張繍との戦に奮戦して討死した
悪来
(
あくらい
)
典韋
(
てんい
)
のために建てた
廟
(
びょう
)
であった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
のみならず、孔明の死に会うや、蜀の百姓は、
廟
(
びょう
)
を立て、
碑
(
ひ
)
を築き、彼の休んだ
址
(
あと
)
も、彼の馬をつないだ木も、一木一石の縁、みな
小祠
(
しょうし
)
となって、土民の祭りは絶えなかった。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さよう。この高時には父祖代々の
廟
(
びょう
)
。それゆえ、おなじことならここを死に場所にせんと、俄に、陣所を移してきたのだ。ここもたちまち敵のつつむところとなろう。はやく去れ」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
崇徳院の丸木ノ御所の建物をここに移した
廟
(
びょう
)
がある。紫宸殿になぞらえて、左近の桜、右近の橘もあったと聞かされたが、眼に沁みたのは満目の落葉と、昼も解けないでいる
御手洗
(
みたらし
)
の薄氷。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
権
(
けん
)
をとって
廟
(
びょう
)
に立つものが、第二の幕府をつくりはせぬか」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“廟”の解説
廟(びょう)とは
宗教施設として、
#死者を祀る宗教施設。特に各親族集団において祖先を祀るものをいう(仏壇など)。霊廟。祖廟。この項で記述する。
#1から転じて墳墓のこと。特に建造物が伴う墳墓をいうことがある。
#1から転じて神仏を祀る宗教施設。神殿。寺院。
王宮の前殿で、政治を執り行う所。
(出典:Wikipedia)
廟
漢検準1級
部首:⼴
15画
“廟”を含む語句
御廟
霊廟
宗廟
祖廟
廟所
古廟
大廟
御霊廟
山神廟
娘々廟
太廟
廟行鎮
娘娘廟
廟堂
廟議
朝廟
神廟
城隍廟
政廟
廟算
...