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屹度
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きっと
ふりがな文庫
“
屹度
(
きっと
)” の例文
「こんなお年で、よくそんな智恵がおありなんですねえ。いや、まったく、このお子さんは
屹度
(
きっと
)
、素晴らしいものにおなりですよ!」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
から、
若
(
もし
)
其頃誰かが面と向って私に然うと注意したら、私は
屹度
(
きっと
)
、失敬な、惚なんぞするものか、と
真紅
(
まッか
)
になって
怒
(
おこ
)
ったに違いない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
されば二十四、五の年増になっても十七、八の若い
妓
(
こ
)
同様にお客の受けがよく、一度呼ばれれば
屹度
(
きっと
)
裏が返るという噂さえあった。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……そいつは冗談だが、こいつは
儲
(
もう
)
け話なんだ。相手は
屹度
(
きっと
)
買うよ。
彼奴等
(
あいつら
)
はきっと今朝がた、
留置場
(
りゅうちじょう
)
のカンカン寅と連絡をしたのだ。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
中村君がいたなら
屹度
(
きっと
)
「オイ、採ろうや採ろうや」と言い出すのにきまっているが、今の私達には採っている程の余裕は無かった。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
▼ もっと見る
尤も、荘田夫人は普通の奥さん方とは違いますから、突然尋ねて行かれても、
屹度
(
きっと
)
逢
(
あ
)
って
呉
(
く
)
れるでしょう。御宅は、
麹町
(
こうじまち
)
の五番町です。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「ほんとうに、芸も、位も、江戸が一ばんですのに——みなさんで可愛がって上げたら、
屹度
(
きっと
)
こっちに
居着
(
いつ
)
いてしまうでしょうよ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
梅「いや伯父に
宜
(
よ
)
く
然
(
そ
)
う云いましょう、秋月に宜く云えば心配有りません、
屹度
(
きっと
)
伯父に話をします、貴公の心掛けを誠に感心したから」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こどものときから毎夏、川沿いの知合の家のどこからかで
屹度
(
きっと
)
、招いて呉れ、毎夏見物を欠かしたことのない川開きの花火でした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「なりますわ。いつまでも、
屹度
(
きっと
)
……」と、引寄せられたまま、抱擁の力を求めるように
媚
(
こび
)
の謚るる目をあげて男の顔を見上げました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云へばあなたは
屹度
(
きっと
)
そんな心遣ひなんか止せと
仰云
(
おっしゃ
)
るかもしれませんけれども私には矢張り駄目です。とにかく熟考なすつて下さい。
『青鞜』を引き継ぐに就いて
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
これがこの女の本心かな? それとも誇張しているのかな、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
俺の思った通り
此度
(
こんど
)
の芝居ではこの女が
屹度
(
きっと
)
立
女形
(
おやま
)
に相違ない
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ツバキの本国であり東洋で誇る花でありながらこんな有様では誠に残念至極で、ツバキは
屹度
(
きっと
)
世人の無情をかこちて泣いているでしょう。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「君達は分らないな。僕は吉田君と二人で毎朝塔へ登って祈っているんだ。ロシヤだって神を信ずる国だから、
屹度
(
きっと
)
悔い改める」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
夫
(
そ
)
れから大阪湾に
行
(
いっ
)
て
掻廻
(
かきまわ
)
せば官軍が狼狽すると
云
(
い
)
うような事になって、
屹度
(
きっと
)
勝算はありますと
云
(
いっ
)
て、中々私の云うことを聞かないから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「魚は二十日にいちど」「野菜は十日に一人五匁」「草履は
足半
(
あしなか
)
」「帯は三尺」などの類で、犯す者は
屹度
(
きっと
)
申付くべしとある。
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「まあ何んと云う綺麗な腕環でしょう、之れは
屹度
(
きっと
)
伯父様から、
妾
(
わたくし
)
に贈って下さったのですよ」と云えば、二番目の娘は横合から
覗込
(
のぞきこ
)
んで
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
それどころか僕を、
到頭
(
とうとう
)
犯罪狂だといって、気違い病院へたたき込んだんです。……
屹度
(
きっと
)
あいつらの
仕業
(
しわざ
)
なんだがね……それが昨日ですよ。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
富岡老人
釣竿
(
つりざお
)
を
投出
(
なげだ
)
してぬッくと
起上
(
たちあ
)
がった。
屹度
(
きっと
)
三人の方を
白眼
(
にらん
)
で「大馬鹿者!」と大声に
一喝
(
いっかつ
)
した。この
物凄
(
ものすご
)
い声が
川面
(
かわづら
)
に鳴り響いた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
直ぐその後を
追馳
(
おいか
)
けて行けば、
屹度
(
きっと
)
どんな男か正体位は見届ける事も出来たで御座居ましょうが、何分不意の事で手前共も
周章
(
あわて
)
ておりましたし
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
正直にこれこれとも少し早うお打ちあけ申し上げておいたら、
屹度
(
きっと
)
御許しもあったものを、今までお隠し申し上げておいたのが悪かったのじゃ。
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
もしそんなことでも有ると、自分で
屹度
(
きっと
)
何か手頃の束縛を造り出す。蜘蛛が巣を作り、蚕が繭を作ると全く一般である。
鹿山庵居
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
服を着かけていたかの男は、
両腕
(
りょうて
)
をあげたまま、シャツの前穴から顔を出したところだったが、薄笑いをうかべながら
屹度
(
きっと
)
ドクトルを睨みつけて
誤診
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それは
屹度
(
きっと
)
お前も
矢張
(
やっぱり
)
昨夜死神につかれたのだが、その倒された途端に、
幸
(
さいわい
)
と離れたものだろう、この
河岸
(
かし
)
というのは
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
盗まれた仏像も「来年八月には
屹度
(
きっと
)
出る」などと喝破しているところ、いかにも神秘的な存在で
羅曼
(
ロマン
)
的な興味が深い。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
飲料
(
いんりょう
)
には
屹度
(
きっと
)
湯をくれと云う。曾て
昆布
(
こんぶ
)
の出しがらをやったら、次ぎに来た時、あんな物をくれるから、
醤油
(
しょうゆ
)
を損した上に
下痢
(
げり
)
までした、と
嗔
(
いか
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
いくらあんたが日本の軍人だって、妾の話をおしまいまで聞いたら
屹度
(
きっと
)
ビックリして逃げ出すにきまっているわよ。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で、
吃驚
(
びつくり
)
致しまして、この猫は
屹度
(
きっと
)
化けると思ったんです。それから、捨てようと思いましたけれども、幾ら捨てても帰って来るんで
御座
(
ごぎ
)
いますって。
「ああしんど」
(新字新仮名)
/
池田蕉園
(著)
しかし
家
(
うち
)
の
連中
(
やつら
)
は女子供ばかりだから
屹度
(
きっと
)
気が
着
(
つ
)
かぬに相違ない。お前に頼むから『木』の字を『本』に直してくれ
□本居士
(新字新仮名)
/
本田親二
(著)
江戸
一左右
(
いっそう
)
次第、急速御買米手付金渡させられ、その儀命ぜられ候はば、
屹度
(
きっと
)
閉密に相働き申すべき人物に御座候。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
「よく見て来給え、何の目的でああいうことをやり出したのか、
屹度
(
きっと
)
問いただして来給え、次第によっては、その責任者をこれへ同道してもよろしい」
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
野蛮で幻想的で、生気に
溢
(
あふ
)
れた観ものである。以前にも少年がこんな事をするのを見たことがあるから、之は
屹度
(
きっと
)
戦争時の儀礼みたいなものであろう。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかし必要に応じて起ったものは
屹度
(
きっと
)
その必要を満たして呉れる。神は一面に以上のような禍いを持ち来したが、一面に人間を益する所もまた多かった。
既成宗教の外
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そこへ、一間程の綸に鈎をつけ、
蚯蚓
(
みみず
)
餌で、上からそーツとおろすです。少し
中
(
あた
)
りを見て、又そーツと挙げさへすれば、
屹度
(
きっと
)
五六寸のが懸ツて来るです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
今御威勢の強い時に、大名共にも内々情をおかけなされ、御心底をお打ち明けなされて、
屹度
(
きっと
)
お頼みなされませ。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「急にそう思うような宿は
何
(
ど
)
うせ見付からない。松林館に行ったら
屹度
(
きっと
)
あるかも知れぬ。
彼処
(
あすこ
)
ならば知った宿だから可い。今晩一緒に行って見ましょう。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
今に
屹度
(
きっと
)
、松埃がかかって
収穫
(
みのり
)
が悪いがら、小作米を負けてくれとか、納められねえどか、屹度はあ小作争議のようごとを出かすに相違ねえ野郎共だから。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
拙者こと万一非業に
相果候様
(
あいはてそうろうよう
)
のこと
有之節
(
これあるせつ
)
は、
屹度
(
きっと
)
有峰杉之助を
御詮議
(
ごせんぎ
)
相成り度く
為後日
(
ごじつのため
)
右書き遺し申候也。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、やっとして、「そうさな、俺の、俺の一生の間食べ余るだけの食べ物と、着余るだけの着物とをくれると
屹度
(
きっと
)
約束したら……まあ、それで
我慢
(
がまん
)
してやろう」
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
しめた! この男のこの大きな
吸筒
(
すいづつ
)
、これには
屹度
(
きっと
)
水がある! けれど、取りに行かなきゃならぬ。さぞ痛む
事
(
こッ
)
たろうな。えい、
如何
(
どう
)
するもんかい、やッつけろ!
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その輝きの中から冷たい眼が彼等をにらめるかも知れない、そしたら
屹度
(
きっと
)
かれらは意味もなく笑い出して、森に跳び入って、深山のけものたちのようになるのだろう。
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
私の「父がかえったら
屹度
(
きっと
)
金持になるだろう、残飯食いと云われなくていいようになるだろう……」
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと云い
募
(
つの
)
る時分になったら、余は是非此「土」を読ましたいと思って居る。娘は
屹度
(
きっと
)
厭
(
いや
)
だというに違ない。
『土』に就て:長塚節著『土』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それには重大な意味があるのです。明日にならなければお見せする事が出来ないのです。兎も角明日一時にここへ来て下さい。
屹度
(
きっと
)
御得心のゆく証拠をお見せします」
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「川合又五郎と申す者は一夜の宿を貸し候とも二夜と留置き候者は
屹度
(
きっと
)
曲事
(
くせごと
)
に行わるべき者也」
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「僕が、こんな体で申し訳ございません。父様。父様。
屹度
(
きっと
)
もう一度家を興します。僕が丈夫になって、やってみせます。父様、きこえますか、父様、お返事をして下さい」
落ちてゆく世界
(新字新仮名)
/
久坂葉子
(著)
「どうやら分らんちゃ。
屹度
(
きっと
)
七海
(
しつみ
)
の連中に引張られて飲んどるのじゃろう。」と母は言った。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
父親の姿に接する時程私は陰気な虚無感に誘われる時はない。私は屡々その肖像画を破棄しようと
謀
(
はか
)
って、未だに果し得ないのであるが、やがては
屹度
(
きっと
)
決行するつもりでいる。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
これは「修理病気に付、禁足申付候様にと
屹度
(
きっと
)
、板倉佐渡守兼ねて申渡置候処、自身の計らいにて登城させ候故、かかる
凶事出来
(
きょうじしゅったい
)
、七千石断絶に及び候段、言語道断の
不届者
(
ふとどきもの
)
」
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは
屹度
(
きっと
)
、自分に早く帰らそうとしての事だと思っていたが、
強
(
あなが
)
ち、そうばかりでもなかったらしい、何をいうにもこんな陰気な家で、例の薄暗い仏壇の前などを通る時には
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
屹
漢検1級
部首:⼭
6画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“屹度”で始まる語句
屹度可相立旨