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こしゃく
ふりがな文庫
“
小癪
(
こしゃく
)” の例文
プロマイドにサイン組でないことは初手から
睨
(
にら
)
んではいたが、それにしても乙にモナ・リザを気取っていやがる。ちと
小癪
(
こしゃく
)
にさわるて。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「気が早いや親方、誰も権太左衛門に母親が斬られたとは言やしません、私あ親の敵と思う位、
小癪
(
こしゃく
)
に障る
奴
(
やつ
)
が出来たッていうんです。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……それもよい、なぜ、挨拶に来さっしゃらぬ、自体この新免家の
姉弟
(
きょうだい
)
は、
小癪
(
こしゃく
)
にさわる、この婆を何と思うていなさるのじゃ。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は、自分の位置であるべきもののような
問方
(
といかた
)
をするのが
小癪
(
こしゃく
)
にさわった。けれど、来たわけをいわないわけにはいかない。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鉄扇で相手をするという!
小癪
(
こしゃく
)
の態度と思ったが、すでに現われた三人の敵で、敵の
技倆
(
ぎりょう
)
は知れている。いずれも素晴しい
手利
(
てき
)
きである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
そこで兵馬は
小癪
(
こしゃく
)
にさわりました。かつて、慢心和尚がいうことには、「人間は、犬に吠えられるようでは、修行が足りない」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
思ひもかけぬ旅僧の
手練
(
てなみ
)
に、さしもの大勢あしらひ兼ね、
白
(
しら
)
み渡つて見えたりければ、雲井喜三郎今は
得堪
(
えた
)
へず、
小癪
(
こしゃく
)
なる坊主の腕立て
哉
(
かな
)
。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
佃
(
つくだ
)
の者で四十男、伊勢新の釣に網のお供をさせられますが、金にはなっても、人も
無気
(
なげ
)
な豪勢振りが、少し
小癪
(
こしゃく
)
に障っているらしい
口吻
(
くちぶり
)
です。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『さあ、僕の愛するペガッサスよ、』と彼は翼のある馬の耳に囁きました、『お前は僕がこの
小癪
(
こしゃく
)
な怪物を退治るのを加勢しなければならない。 ...
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
わたくしはちょっと軽蔑されたような憤りを感じましたが、なにを
小癪
(
こしゃく
)
と思って、わざと丁寧に、「こないだ、葡萄、ありがとう」と言いました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この原語の方が、象徴的で、簡潔で、
小癪
(
こしゃく
)
で、よほどうまいところがある。けれども、これをそのまま日本語に直訳してしまってはやはりいけまい。
紙幣鶴
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一方ならぬ御恩を受けていながら親方様の
対岸
(
むこう
)
へ廻るさえあるに、それを
小癪
(
こしゃく
)
なとも恩知らずなともおっしゃらず
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
本郷通りの並木の影に街灯が
灯
(
とも
)
った。相変らず白痴のような表情した帝大の学生や、
小癪
(
こしゃく
)
な
面
(
つら
)
構えをした洋装の小娘が、私に逆らうようにして通り過ぎる。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
向うで何か羨ましいとか
小癪
(
こしゃく
)
にさわるとか思って、じっと見つめると、すぐにこっちへ感じてしまうので、向うでは別に祟るというほどの考えはなくとも
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
沸
(
た
)
ぎる火の闇に
詮
(
せん
)
なく消ゆるあとより又沸ぎる火が立ち
騰
(
のぼ
)
る。深き夜を焦せとばかり煮え返る
燄
(
ほのお
)
の声は、地にわめく人の叫びを
小癪
(
こしゃく
)
なりとて空一面に鳴り渡る。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一体このごろの労働者は生意気だったり、
小癪
(
こしゃく
)
だったり、そうでなければ、仕方のないナラズ者のゴロツキだ。従順な性格を持ったやつは一人もありゃしない。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
する
小癪
(
こしゃく
)
な奴という訳でしょうて。殊に守君は珠子さんの兄さんじゃからね。又、春川月子の場合、警察に告げ知らせたのも守君じゃ。犯人の復讐ですよ、これは
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
福沢諭吉もまた偉そうな事をいって、役人などは
詰
(
つま
)
らぬ人間のようにいう。両方で
小癪
(
こしゃく
)
に触るので一時は衝突しておったものだ。ところが明治六年であったと思う。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と思うと、栄三郎は、このごまの
蠅
(
はえ
)
みたいな男の無鉄砲におどろくとともに、ぐっと
小癪
(
こしゃく
)
にさわった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
従ってこの事ばかり気にするものは
小癪
(
こしゃく
)
に
障
(
さわ
)
っていけない。といって智恵なき者は阿呆に過ぎない。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
小癪
(
こしゃく
)
な事をいうもんだと葉子は心の中で思ったけれども、指先でもてあそびながら少し振り仰いだ顔はそのままに、あわれむような、からかうような色をかすかに浮かべて
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
両人「この乞食め、何を
小癪
(
こしゃく
)
なことを
為
(
し
)
やがる、ふざけた事をすると片ッ
端
(
ぱし
)
から
打殺
(
ぶちころ
)
すぞ」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何をおあがりなさいます」と、お君のおきまり文句らしいのを聴くと、僕が西洋人なら僕の教えた片言を試みるのだろうと思われて、何だか厭な、
小癪
(
こしゃく
)
な娘だという考えが浮んだ。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
さて鶴が
些
(
すこし
)
休息しようとしだすと蝶はたちまちその背を離れ予の方が捷いと言いながら前へと飛んで行く、
小癪
(
こしゃく
)
なりと鶴が飛び出して苦もなく蝶を追い過すと蝶また鶴の背に留まり
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さもさも
勿体振
(
もったいぶ
)
って、いやに
反身
(
そりみ
)
になって、人を
軽蔑
(
けいべつ
)
したような目付をしながら、意気揚々と灰色の馬に跨った様は——いやもう
小癪
(
こしゃく
)
に触って、二目と見られたものじゃない、とまあ
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お庄は
気爽
(
きさく
)
に、「ハイ。」と言って、水口の後の
竿
(
さお
)
にかかっていた、塩気の
染
(
し
)
み込んだような小風呂敷を
外
(
はず
)
して瓶を包みかけたが、父親の用事をするのが、何だか
小癪
(
こしゃく
)
のようにも考えられた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
……なんという
小癪
(
こしゃく
)
らしい、可愛げな顔ばしているのでありましょう
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はきわめて面白い男であり、この上もなく
小癪
(
こしゃく
)
な男であった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「む! こ、こいつ——」「
小癪
(
こしゃく
)
な事をする、斬ってしまえ」
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それがしかも、尊氏
誅伐
(
ちゅうばつ
)
の
宣旨
(
せんじ
)
を南朝から申しうけて、公然と、義父
直義
(
ただよし
)
の
讐
(
あだ
)
とも
称
(
とな
)
えているのである。
小癪
(
こしゃく
)
とも何とも言いようはない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小癪
(
こしゃく
)
にさわるような気分に迫られたけれど、どうも今晩は、今晩だけではないが、この女に対しては、そうポンポン
啖呵
(
たんか
)
がきれないのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なんだ菊が
彫
(
ほ
)
ってある。
小癪
(
こしゃく
)
にも
籬
(
まがき
)
が彫ってある。汚い油垢が溜って居る。それで居て、これを見ると恋しいのはどういうわけだ。ままよ嗅いでみてやれ
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
少しは
小癪
(
こしゃく
)
に
障
(
さわ
)
ったが、
起請
(
きしょう
)
を取交したわけでも、夫婦約束をしたわけでもないから、文句の言いようはない。正直にお祝いを申上げて帰って貰ったのさ。
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
全体
小癪
(
こしゃく
)
な
旅烏
(
たびがらす
)
と振りあぐる
拳
(
こぶし
)
。アレと走り
出
(
いず
)
るお辰、吉兵衛も共に
止
(
とめ
)
ながら、七蔵、七蔵、さてもそなたは
智慧
(
ちえ
)
の無い男、無理に
売
(
うら
)
ずとも相談のつきそうな者を。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
私は先手を打たれて少々
小癪
(
こしゃく
)
に触っていたものだから、一つ驚かせてやろうと思って、足音を忍ばせて彼のうしろに近寄り、出し抜けにポンと肩を叩いたものである。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「わかったか」と覆面の侍げらげらと
咽喉
(
のど
)
を鳴らした。文次には
記憶
(
おぼえ
)
のある、
小癪
(
こしゃく
)
にさわる音声だ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのうちに貧乏になるだろうとか、わけても
小癪
(
こしゃく
)
にさわるのは、私の
財産
(
たから
)
の女どもをうまうま口車に乗せおって、こっそり館から抜け出させ、他国へ逃がしてやることじゃ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小癪
(
こしゃく
)
と云おうか、
卑怯
(
ひきょう
)
と云おうかとうてい彼等は君子の敵でない。吾輩は十五六回はあちら、こちらと気を疲らし
心
(
しん
)
を
労
(
つか
)
らして奔走努力して見たがついに一度も成功しない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、勝川のおばさんの
生立
(
おいたち
)
をきくと無理はなかった。彼女としては、女中同様に追廻して使った姪に、さんの字をつけてよぶだけでさえ
小癪
(
こしゃく
)
にさわる——そうした気風の彼女だった。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『はい、今晩は』ッて、澄ましてお客さんの座敷へはいって来て、踊りがすむと、『姉さん、
御祝儀
(
ごしゅうぎ
)
は』ッて催促するの。
小癪
(
こしゃく
)
な子よ。芝居は好きだから、あたいよく仕込んでやる、わ
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
私
(
わっち
)
が何か云うといやにせゝら笑やアがるから、
小癪
(
こしゃく
)
にさわるから
擲
(
なぐ
)
り付けようと思いましたがね、今こゝで彼奴を
打
(
ぶ
)
つとウーンと云って
顛倒
(
ひっくりけ
)
えって仕舞うから、
私
(
わっち
)
も
堪
(
こら
)
えていたのです。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だめなことだ、あの
老爺
(
おやじ
)
だもの。のべつに
小癪
(
こしゃく
)
に
障
(
さわ
)
ることばっかり
陳
(
なら
)
べやがって、もうもうほんとに顔を見るのもいやなんだ。そのくせまた持ってるのだ! どうしたもんだろうなあ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
純潔——そんなものの無力を心でつねに主張している彼には(そして彼は十七歳の時から立派に純潔を踏みにじってきているのだ)
小癪
(
こしゃく
)
にさわった。それにしても何んという可憐な動物だ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「相川さん、遅刻届は活版
摺
(
ずり
)
にしてお置きなすったら、
奈何
(
いかが
)
です」などと、
小癪
(
こしゃく
)
なことを
吐
(
ぬか
)
す受付の小使までも、心の中では彼の貴い性質を尊敬して、普通の会社員と同じようには見ていない。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「アハハハ。
小癪
(
こしゃく
)
なヤマカン
吐
(
つ
)
きおるな。
木乃伊
(
ミイラ
)
の鉄五郎を知らんかえ」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
一応の挨拶はしたが、無口で無愛想な顔をいつまでも
疣蛙
(
いぼがえる
)
みたいにそこに据えているのが、信長は何か
小癪
(
こしゃく
)
にさわってきた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高部を追いかける途端を、
小癪
(
こしゃく
)
なと、横合いから一ナグリに斬って捨てようとしたのが、案外にも、出足を進めないで、後ろへひいて構えた変化。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
池の端の行き違いより
翻然
(
からり
)
と変りし源太が腹の底、初めは
可愛
(
かわゆ
)
う思いしも今は
小癪
(
こしゃく
)
に
障
(
さわ
)
ってならぬその十兵衛に、
頭
(
かしら
)
を下げ両手をついて
謝罪
(
あやま
)
らねばならぬ
忌々
(
いまいま
)
しさ。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「何を
小癪
(
こしゃく
)
な! 殿様の碁の相手だけはまっぴらだが、貴公なら友だちずくに
組
(
くみ
)
しやすい。来い!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
隠居が五十両で茶碗を掘り出した夢中な姿が、ツイ
小癪
(
こしゃく
)
にさわったものでしょう。
銭形平次捕物控:133 井戸の茶碗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
癪
漢検1級
部首:⽧
21画
“小癪”で始まる語句
小癪千万