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単物
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ひとえもの
ふりがな文庫
“
単物
(
ひとえもの
)” の例文
旧字:
單物
飽きるほど著古して襟垢のついた
単物
(
ひとえもの
)
よりか、たとひ少し位時節は早くても、袷せを著て出ようと密かに楽しんでゐるのであつた。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
しかし困る事には、いつも茶の
竪縞
(
たてじま
)
の
単物
(
ひとえもの
)
を着ているが、膝の処には
二所
(
ふたところ
)
ばかりつぎが当っている。それで給仕をする。汗臭い。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
単物
(
ひとえもの
)
をくれた、そこの女房もおれが髪を結ってくれた、行水をつかえとて湯を汲んでくれるやら、いろいろと可愛がった。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
泥坊と人なかで
罵
(
ののし
)
られた男も、やはり四十前後の男で、紺地の野暮な
単物
(
ひとえもの
)
を着ていた。彼はほかの乗合の手前、おとなしく黙っていられなかった。
半七捕物帳:05 お化け師匠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
成る程、煙突の掃除棒みたいな頭に底の無いカンカン帽を
冠
(
かぶ
)
っている。右の袖の無い女の
単物
(
ひとえもの
)
の上から、左の袖の無い男浴衣を重ねて、縄の帯を締めている。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
左の頬に
黒痣
(
あざ
)
はと聞きましたら夫は確かに覚えぬが何でも大名縞の
単物
(
ひとえもの
)
の上へ羽織を着て居たと云う事です
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
萩原様から時々
小遣
(
こづかい
)
を戴いたり、
単物
(
ひとえもの
)
の古いのを戴いたりして
何
(
ど
)
うやら
斯
(
こ
)
うやらやっていたんじゃアないか、今斯うなったからと云ってそれを忘れて済むかえ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
単物
(
ひとえもの
)
の紫矢絣なんて、今時誰も着ませんわ。あたしなんかの娘の時分には、流行っていた様ですけれど」
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
胸に覆うてある
単物
(
ひとえもの
)
のある点がいくらか動いておって、それが呼吸のために動くように思われてならぬ。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
至って
暢気
(
のんき
)
な山旅ではあり、支度といえば
単物
(
ひとえもの
)
に脚袢草鞋、荷物といっても着換の単物二、三枚にシャツ一、二枚、それに寒さの用意として真綿入りの筒袖襦袢二枚
北岳と朝日岳
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
白頭の
総髪
(
そうがみ
)
、
髯
(
ひげ
)
も白く、眼中するどくして、衣類は絹太織、浅黄小紋の
単物
(
ひとえもの
)
、
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織を着し、
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小を横たえきたり、「珍客の
御入来
(
ごじゅらい
)
とて、招きに応じ参りたり」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
着物が無いので寒中
単物
(
ひとえもの
)
で子供をすぐ肌につけて背負うて居る。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
いいえ、大そう好い方でございますが、もうこんなに朝晩寒くなりましたのに、まだ
単物
(
ひとえもの
)
一枚でいらっしゃいます。寒い時は、上からケットを
被
(
かぶ
)
って本を
二人の友
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
首に一ヶ所頭の真中に大傷其処此処に
擦傷
(
かすりきず
)
等数多あり、
咽
(
のど
)
に
攫
(
つか
)
み潰せし如き傷○衣類大名縞
単物
(
ひとえもの
)
、二タ
子唐桟
(
ことうざん
)
羽織但紐附、紺博多帯、肉シャツ、下帯、白足袋
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
鼻が
忌
(
いや
)
アに段鼻になって、眼の小さな口の大きい
方
(
ほう
)
で、
服装
(
なり
)
は
木綿縮
(
もめんちゞみ
)
の浅黄地に
能模様丸紋手
(
のうもようまるもんて
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に
唐繻子
(
とうじゅす
)
の帯を
〆
(
し
)
め、丸髷には
浅黄鹿
(
あさぎが
)
の
子
(
こ
)
の手柄を掛けて居ます
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
単物
(
ひとえもの
)
を六百文の質に入れてもらって、早々そこのうちを立って、残りの銭をもって、上方へまた志して行くに、
石部
(
いしべ
)
まで行って或る日、宿の外れ茶屋のわきに寝ていたら
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
土左衛門
(
どざえもん
)
は、
細
(
こまか
)
い
銘仙絣
(
めいせんがすり
)
の
単物
(
ひとえもの
)
を身につけていた。その絣に見覚がある。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
奈々子は満足の色を笑いにたたわして、雪子とお児の間にはさまりつつ
雛
(
ひな
)
を見る。つぶつぶ
絣
(
かすり
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に桃色のへこ帯を後ろにたれ、小さな膝を折ってその両膝に罪のない手を乗せてしゃがんでいる。
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
九郎右衛門は花色木綿の
単物
(
ひとえもの
)
に茶小倉の帯を締め、
紺麻絣
(
こんあさがすり
)
の野羽織を着て、両刀を
手挟
(
たばさ
)
んだ。持物は
鳶色
(
とびいろ
)
ごろふくの懐中物、
鼠木綿
(
ねずみもめん
)
の鼻紙袋、十手
早縄
(
はやなわ
)
である。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其の前へ来ると黒山のように
人立
(
ひとだち
)
がしているのは、
彼
(
か
)
の左官の亥太郎ですが、此の亥太郎は変った男で冬は柿色の
※袍
(
どてら
)
を着、夏は
柿素
(
かきそ
)
の
単物
(
ひとえもの
)
を着ていると云う妙な
姿
(
なり
)
で
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下へ
向
(
むい
)
ては茶かし顔なる
可
(
べ
)
し、名前は
谷間田
(
たにまだ
)
と人に呼ばる
紺飛白
(
こんがすり
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に博多の角帯、
数寄屋
(
すきや
)
の羽織は脱ぎて鴨居の帽子掛に釣しあり無論官吏とは見えねど商人とも受取り難し
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
紺縮
(
こんちぢみ
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に、
黒襦子
(
くろじゅす
)
と茶献上との腹合せの帯を締めて、
繊
(
ほそ
)
い左の手に
手拭
(
てぬぐい
)
やら
石鹸箱
(
シャボンばこ
)
やら
糠袋
(
ぬかぶくろ
)
やら海綿やらを、細かに編んだ竹の
籠
(
かご
)
に入れたのを
懈
(
だる
)
げに持って
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
驚きながら
四辺
(
あたり
)
を見ますと、結構な
木口
(
きぐち
)
の新築で、自分の
姿
(
なり
)
を見ると、
単物
(
ひとえもの
)
の
染
(
そめ
)
っ返しを着て、前歯の
滅
(
へ
)
りました下駄を
穿
(
は
)
き、腰に
穢
(
きたな
)
い
手拭
(
てぬぐい
)
を下げて、
頭髪
(
あたま
)
は
蓬々
(
ぼう/\
)
として
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其の前に供えた
三
(
み
)
つ具足は此の頃納まったものか、まだ新しく
村名
(
むらな
)
が
鏤
(
ほ
)
り附けてあり、坊さんが畠から切って来たものか
黄菊
(
きぎく
)
に草花が
上
(
あが
)
って居ります、すると鼠の
単物
(
ひとえもの
)
を着
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのうち
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
単物
(
ひとえもの
)
に、
縞絽
(
しまろ
)
の羽織を着た、五十恰好の赤ら顔の男が、「どうです、皆さん、切角出してあるものですから」と云って、杯を手に取ると、方方から手が出て、杯を取る。
割箸
(
わりばし
)
を取る。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
丁度
申下刻
(
なゝつさがり
)
に用を
終
(
しま
)
って湯に
往
(
ゆ
)
くというので、
鳴海
(
なるみ
)
の養老の
単物
(
ひとえもの
)
といえば
体裁
(
てい
)
が
宜
(
い
)
いが、二三度水に這入ったから大きに色が
醒
(
さ
)
めましたが、八反に黒繻子の腹合せと云っても
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
古びた
中形
(
ちゅうがた
)
木綿の
単物
(
ひとえもの
)
に、古びた花色
縞博多
(
しまはかた
)
の帯を締めている。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
脚半
(
きゃはん
)
も
穿
(
は
)
かないで、
単物
(
ひとえもの
)
に小倉の帯をちょっ切り結びにして、鉄砲を
担
(
かつ
)
いでおります。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
束髪
(
そくはつ
)
にして薔薇の
簪
(
かんざし
)
でも挿さしたらお嬢さま然としたものです、何しろ此の山の中に居て
冷飯
(
ひやめし
)
を
喫
(
く
)
って、中の条のお祭に滝縞の
単物
(
ひとえもの
)
に、
唐天鵞絨
(
とうびろうど
)
の半襟に、
袂
(
たもと
)
に
仕付
(
しつけ
)
の掛った着物で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
細かい縞の足利織では有りますが、
一寸
(
ちょっと
)
気の利いた糸入の
単物
(
ひとえもの
)
に、紺献上の帯を締め、
表附
(
おもてつき
)
のノメリの駒下駄を
穿
(
は
)
き、手拭を一寸頭の上へ載せ、
垣根
(
くね
)
の処から這入って
往
(
い
)
く
後姿
(
うしろすがた
)
を見て
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
花車はスッと羽織と
単物
(
ひとえもの
)
を脱ぎましたが、角力取の喧嘩は大抵
裸体
(
はだか
)
のもので、花車は衣服を脱ぐと下には取り廻しをしめている、ウーンと腹を
揺
(
ゆ
)
り
上
(
あげ
)
ると腹の大きさは
斯様
(
こんな
)
になります
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
藤原が提灯を持ちまして
袖
(
そで
)
に隠し、燈火の
隙間
(
すきま
)
から
井戸端
(
いどばた
)
を見ますると、お
浪
(
なみ
)
が
単物
(
ひとえもの
)
一枚に
襷
(
たすき
)
を掛け、どんどん水を
汲
(
くん
)
では夫
國藏
(
くにぞう
)
に浴せて居ります。國藏は一心不乱に
眼
(
まなこ
)
を閉じ合掌して
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木綿の薄ッぺらな
五布布団
(
いつのぶとん
)
が二つに折って敷いて有ります上に、勘藏は横になり、枕に坐布団をぐる/\巻いて、
胴中
(
どうなか
)
から
独楽
(
こま
)
の紐で縛って、
括
(
くゝ
)
り枕の代りにして、
寝衣
(
ねまき
)
の
単物
(
ひとえもの
)
にぼろ
袷
(
あわせ
)
を重ね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
毎度
(
めいど
)
戴いてばかりいて済まねえよ、いつでも
厄介
(
やっけえ
)
になりつゞけだが、折角の思し召しだから頂戴いたして置きますべい、おや
触
(
さわ
)
って見た所じゃアえらく金があるようだから
単物
(
ひとえもの
)
でも買うべいか
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
単
常用漢字
小4
部首:⼗
9画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“単”で始まる語句
単衣
単
単簡
単身
単調
単独
単衣物
単純
単于
単弁