“縞絽”の読み方と例文
読み方割合
しまろ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこへちょうど店の神山かみやまが、汗ばんだひたいを光らせながら、足音をぬすむようにはいって来た。なるほどどこかへ行った事は、そであまじみの残っている縞絽しまろの羽織にも明らかだった。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
宿では母とあによめ欄干らんかん縞絽しまろだか明石あかしだかよそゆきの着物を掛けて二人とも浴衣ゆかたのまま差向いで坐っていた。自分達の姿を見た母は、「まあどこまで行ったの」と驚いた顔をした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうち結城紬ゆうきつむぎ単物ひとえものに、縞絽しまろの羽織を着た、五十恰好の赤ら顔の男が、「どうです、皆さん、切角出してあるものですから」と云って、杯を手に取ると、方方から手が出て、杯を取る。割箸わりばしを取る。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)