價値かち)” の例文
新字:価値
これらのしな日本人につぽんじん美術びじゆつ價値かちらない時代じだい海外かいがいつてしまつたものであつて、いまでは日本につぽんもどすことも出來できないのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もし、自分一個の便宜でそれを破つたなら、その價値かちは何處にあるだらう? それは價値あるものだ——だから私はいつも信じて來た。
その意味いみで、せま路次ろじおくにあつた、木造もくざうの、あのささやかな洋館やうくわん日本麻雀道にほんマアジヤンだうのためには記念保存物きねんほぞんぶつたる價値かちつてゐるかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
所詮つまり周三がお房をよろこぶ意味が違つて、一ぶつ體が一にんの婦となり、單純たんじゆんは、併し價値かちある製作の資れうが、意味の深い心のかてとなつて了つた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかも其燒失區域そのしようしつくいきまちもつと重要じゆうよう部分ぶぶんめてゐたので、損失そんしつ實際じつさい價値かちさら重大じゆうだいなものであつたのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
是即ち評價のみなもとなり、是が善惡二の愛をあつめ且つるの如何によりて汝等の價値かち定まるにいたる 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼等かれらてんぷらをあいするやうに「しるこ」をもかならず——あいするかどうかは多少たしよう疑問ぎもんはあるにもせよ、かくおうはすすめて價値かちのあることだけはたしかであらう。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのためにたいへん名人めいじんのようにかんじられてゐますが、これもまた、評判ひようばん實際じつさいとの價値かちちがきた手本てほんで、このひとうたにはほとんど文學ぶんがくとしてねうちのあるものはえません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
原則通げんそくどほり二わりさないでも仕方しかたがあるまい。められたひとも、元給げんきふまゝでゐるひと澤山たくさんあるんだから」とつた宗助そうすけは、このゑん自己じこ以上いじやう價値かちをもたらしかへつたごと滿足まんぞくいろせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
藝術げいじゆつ價値かちだの、理想りさう永遠えいえんだのといふことを、いつ口癖くちぐせのやうにしてゐる友としては、今日の云ふことはなんだかすこ可笑おかしい……と私は思ツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
こゝらにも各人が作の價値かち批判ひはんする心持の相違さうゐがあると見えますが、「和解」にゑがかれてゐる作のテエマ、即ち父と子のいたましい心の爭鬪さうとうに對してはたらいてゐる作者の實感じつかん
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
陳列品ちんれつひん價値かちあるてんからても、大英博物館だいえいはくぶつかんにけっしてけないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかしそれは自分じぶんむかちゝからいたおぼえのある、朧氣おぼろげ記憶きおく好加減いゝかげんかへすにぎなかつた。實際じつさい價値かちや、また抱一はういつついてのくはしい歴史れきしなどにいたると宗助そうすけにも其實そのじつはなは覺束おぼつかなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そりや無論むろん道具よ。女に道具以上の價値かちがあツてたまるものか。だがさ、早い話が、お前は大事な着物を虫干むしぼしにして樟腦しやうなうまで入れてしまツて置くだらう。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いまでは銅貨どうか補助貨幣ほじよかへいでありまして、本當ほんとう價値かちだけ重分量じゆうぶんりようをもつてをりませんけれども、むかし支那しななどでは、銅貨どうかおも貨幣かへいでありましたから、地金じがねおなじだけの價値かちがあつたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)