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井桁
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いげた
ふりがな文庫
“
井桁
(
いげた
)” の例文
金蔵の南の方に用水井戸がありますが、
井桁
(
いげた
)
が栗材で、これは石に縁がなく、
雨樋
(
あまどい
)
は水に縁があっても、
銅
(
あか
)
ですから
金
(
かね
)
に縁を生じます。
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ちやんと
井桁
(
いげた
)
を組んだ、昔風の撥ね釣瓶である。おそらくこの庭園の一部は、むかし何か茶室などのあつた名残りなのではあるまいか。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
五百の父山内忠兵衛は名を
豊覚
(
ほうかく
)
といった。神田紺屋町に
鉄物問屋
(
かなものどいや
)
を出して、屋号を日野屋といい、商標には
井桁
(
いげた
)
の中に喜の字を用いた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「ここをご覧、この一点を! 三の丸と二の丸の境い目を!
井桁
(
いげた
)
があろう? 半分の井桁が! こいつが大変なしるしなのだ」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
井桁
(
いげた
)
、
西郡
(
にしごり
)
ら重職の懇請によって招かれた藩の賓客であり、経典はもとより儒学、政治、経済にも
精
(
くわ
)
しく、なかなか非凡な人物なのですが
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
井桁
(
いげた
)
に結んだ丸太
担架
(
たんか
)
に五体をくくしつけられた武行者の体は、かつて彼自身が
景陽岡
(
けいようこう
)
でしとめた大虎そッくりな恰好にされ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
井戸
替
(
がえ
)
もしたなれど、不気味じゃで、誰も、はい、その水を飲みたがりませぬ処から、
井桁
(
いげた
)
も早や、
青芒
(
あおすすき
)
にかくれましたよ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十畳の間、真中に
紙張
(
しちょう
)
が吊ってあって、紙張の傍に
朱漆
(
しゅうるし
)
、
井桁
(
いげた
)
の紋をつけた
葛籠
(
つづら
)
が一つ、その向うに
行燈
(
あんどん
)
が置いてある。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
えらいだろう。ところが一つえらくないことがあるんだ。何でも何代目かの人が、君に裏切りとかをしたということだ。家の
紋
(
もん
)
は
井桁
(
いげた
)
の中に菊の紋だ。
僕の昔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
浴衣
(
ゆかた
)
は
潮色
(
うしおいろ
)
の地に、山の井の
井桁
(
いげた
)
と秋草とを白で抜いたものだったが、葉子にもよく映るような柄合いであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
枝を分けて覗いて見ると、その中心に古井戸らしく、
苔蒸
(
こけむ
)
した石の
井桁
(
いげた
)
がある。今は使用していないけれど、この淋しい孤島には立派過ぎる程の井戸である。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
井桁
(
いげた
)
の内側にちょうど足場になるような具合に、ところどころ石が欠けて、引っかかりの穴ができている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
少し離してみると、薄赤色に見えるほど細く
井桁
(
いげた
)
を組んだり、
七宝
(
しっぽう
)
で埋めたりするのが特徴といえる。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
木片
(
もくへん
)
を
井桁
(
いげた
)
にくみあわせた
筏
(
いかだ
)
のよなものであった。そのうえになにが入っているのか
函
(
はこ
)
がのっている。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
少し離れて
団平船
(
だんべいぶね
)
と、
伝馬船
(
てんません
)
三
艘
(
そう
)
とが
井桁
(
いげた
)
に歩び板を渡して、水上に高低の雪渓を慥えて
蹲
(
うずくま
)
っている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
最初に
井桁
(
いげた
)
枠をつくり、それに丸の儘の樹幹の根の方をさし込み、井桁枠に石をみたしてこれを押える。かくて次々に支柱を組立て、最後にその周囲に石垣を築く。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
東と北に一間の
下屋
(
げや
)
をかけて、物置、女中部屋、薪小屋、食堂用の板敷とし、外に小さな
浴室
(
よくしつ
)
を
建
(
た
)
て、
井筒
(
いづつ
)
も栗の木の四角な
井桁
(
いげた
)
に
更
(
か
)
えることにした。畑も一
反
(
たん
)
四
畝
(
せ
)
程買いたした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
こんなつまらない事を考えたりする。「
駿河町
(
するがちょう
)
」の絵を見ると、正面に大きな富士がそびえて、前景の両側には丸に
井桁
(
いげた
)
に三の字を染め出した
越後屋
(
えちごや
)
ののれんが紫色に刷られてある。
丸善と三越
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あの納屋や、
水肥
(
みずごえ
)
小屋や、または
井桁
(
いげた
)
の小窓があけてある便所すらも、形が美しいではありませんか。私は特に朝鮮を旅する毎に、あの民家に茶室の美を見ない場合とてはないのです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
澄子は、いちいち
頷
(
うなず
)
きもせず、黙ってふくれッ面をして、相手に顔をそむけていたのだが、黒地に思い切り派手な
臙脂
(
えんじ
)
色の
井桁
(
いげた
)
模様を染め出した着物が今夜の彼女を際立って美しく見せていた。
銀座幽霊
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
大きな
井桁
(
いげた
)
、堂々とした石の組み様、がっしりしていて立派であった。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
鳶口
(
とびぐち
)
、大釘など、役にたつものがいろいろあったので、それも
悉皆
(
しっかい
)
取りおさめ、船板は釘からはずして、入江の岸に
井桁
(
いげた
)
に積みあげておいたが、急に高波が来て、跡形もなく
浚
(
さら
)
って行ってしまった。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
井桁
(
いげた
)
の紋じるしを黒くあらわしたは
彦根
(
ひこね
)
勢、白と黒とを半分ずつ染め分けにしたは青山勢、その他、あの同勢が押し立てて来た馬印から、「
八幡大菩薩
(
はちまんだいぼさつ
)
」と大書した吹き流しまで——数えて来ると
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わか水やよべより
井桁
(
いげた
)
越せる音 孚先
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
平次は
巌乗
(
がんじょう
)
な
井桁
(
いげた
)
に手を掛けて覗いて見ました。この辺の井戸ですから石を畳み上げて立派には出来ていますが、ひどく浅い様子です。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二の丸と三の丸の境い目の、濠の一所にポッツリと、半分にち切れた
井桁
(
いげた
)
のようなものが「キ」こんな
塩梅
(
あんばい
)
に描かれてあった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こちらの端から向うの端まで眺めて見ると、随分と長い豆の山脈ができ上っていた。その真中を通して三カ所ほどに
井桁
(
いげた
)
に似た
恰好
(
かっこう
)
の穴が掘ってある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
工学士は、
井桁
(
いげた
)
に組んだ材木の下なる
端
(
はし
)
へ、
窮屈
(
きゅうくつ
)
に腰を
懸
(
か
)
けたが、口元に
近々
(
ちかぢか
)
と吸った
巻煙草
(
まきたばこ
)
が燃えて、その若々しい横顔と帽子の
鍔広
(
つばびろ
)
な裏とを照らした。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
散った
葩
(
はなびら
)
は溢れる水に乗ってくるくるとまわり、やがて追いつ追われつ
井桁
(
いげた
)
の口から流れだしてゆく。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それを知るべく
小半時
(
こはんとき
)
を
費
(
ついや
)
してしまったのですがついに解決がつかないで、そのまま
蟻
(
あり
)
の這うように
井桁
(
いげた
)
の
葛籠
(
つづら
)
の方へ寄って、やっと片手をその葛籠へかけました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
水は
井桁
(
いげた
)
の上に
凸面
(
とつめん
)
をなして、盛り上げたようになって、余ったのは四方へ流れ落ちるのである。
杯
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
井楼の様式もいろいろあるが、ふつうは巨材を
井桁
(
いげた
)
に組み上げ、それを何十尺の高さにまで築いてゆく。——その上から城中を
俯瞰
(
みおろ
)
して攻撃基点の優位を占めるにある。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お鈴は柘榴木、石榴の古木は、挽いて
井桁
(
いげた
)
に張れば汚物は吸わず水を透ますとか。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私はいかめしい石の
井桁
(
いげた
)
を思い出した。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すなわち素晴らしい財産が、千代田城中の一ヵ所に——ここだよここだよ、
井桁
(
いげた
)
の地点だ! ここに隠されてあろうってものさ。理由は……
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
房楊枝
(
ふさようじ
)
を
井桁
(
いげた
)
に挟んで、ガボガボと
嗽
(
うが
)
いをやった平次、一向物驚きをしない顔を、ガラッ八の方に振り向けました。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
坊主は、欄干に
擬
(
まが
)
ふ
苔蒸
(
こけむ
)
した
井桁
(
いげた
)
に、
破法衣
(
やれごろも
)
の腰を掛けて、
活
(
い
)
けるが如く
爛々
(
らんらん
)
として
眼
(
まなこ
)
の輝く青銅の竜の
蟠
(
わだかま
)
れる、
角
(
つの
)
の枝に、
肱
(
ひじ
)
を安らかに
笑
(
え
)
みつゝ言つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の家の
定紋
(
じょうもん
)
が
井桁
(
いげた
)
に菊なので、それにちなんだ菊に井戸を使って、喜久井町としたという話は、父自身の口から聴いたのか、または他のものから
教
(
おす
)
わったのか
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
薄い
赤銅
(
しゃくどう
)
の延板を使って、どちらにも無雑作に
井桁
(
いげた
)
に
橘
(
たちばな
)
の紋が、
敲
(
たた
)
き出しで浮かしになっている。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは黒の
井桁
(
いげた
)
の紋付の羽織と着物を重ねていたが、
面
(
かお
)
と頭は
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の
頭巾
(
ずきん
)
で隠していたから。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
諏訪
(
すわ
)
の
温泉町
(
ゆまち
)
は、ちょうど
井桁
(
いげた
)
に家がならんでいる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
坊主は、欄干に
擬
(
まが
)
う
苔蒸
(
こけむ
)
した
井桁
(
いげた
)
に、
破法衣
(
やれごろも
)
の腰を掛けて、
活
(
い
)
けるがごとく爛々として
眼
(
まなこ
)
の輝く青銅の竜の
蟠
(
わだかま
)
れる、
角
(
つの
)
の枝に、
肱
(
ひじ
)
を安らかに笑みつつ言った。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
光子は空井戸の側へ行って、その
危
(
あや
)
う
気
(
げ
)
な
井桁
(
いげた
)
に手をかけたまま、幾百尺とも知れぬ底を覗いて居ります。
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二階の下に飛石が三つばかり
筋違
(
すじかい
)
に見えて、その先に
井桁
(
いげた
)
があって、
小米桜
(
こごめざくら
)
が
擦
(
す
)
れ擦れに咲いていて、
釣瓶
(
つるべ
)
が触るとほろほろ、井戸の中へこぼれそうなんです。……」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「銀簪を頭へくっつけ、赤と黒との
井桁
(
いげた
)
模様の帯を、だらりに結んでいるあの男だ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まず
井桁
(
いげた
)
の間というのへ入る。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
娘は井戸の上へ、
釣瓶
(
つるべ
)
のように引上げられて、ちょうど権三の眼の前、
井桁
(
いげた
)
の上に横たえられました。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……その
仔細
(
しさい
)
を尋ぬれば、心がらとは言いながら、
去
(
さんぬ
)
る年、一
膳
(
ぜん
)
飯屋でぐでんになり、
冥途
(
めいど
)
の宵を照らしますじゃ、と
碌
(
ろく
)
でもない秀句を吐いて、
井桁
(
いげた
)
の中に横
木瓜
(
もっこう
)
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭には梅の古木が
斜
(
なな
)
めに
井桁
(
いげた
)
の上に突き出たりして、窮屈な感じのしないほどの大空が、縁から仰がれるくらいに余分の地面を取り込んでいた。その庭を東に受けて離れ座敷のような建物も見えた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
半開の桜の下に、ハネ
釣瓶
(
つるべ
)
が見えて、
井桁
(
いげた
)
の下に、何やら白いものが
踞
(
うずくま
)
っております。
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
井
常用漢字
小4
部首:⼆
4画
桁
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
“井桁”で始まる語句
井桁樓
井桁格子
井桁伊勢屋
井桁屋米藏