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ふりがな文庫
“
両人
(
ふたり
)” の例文
旧字:
兩人
やはりぶらさがったままである。
近辺
(
きんぺん
)
に立つ見物人は万歳万歳と
両人
(
ふたり
)
を
囃
(
はや
)
したてる。婆さんは万歳などには
毫
(
ごう
)
も耳を借す景色はない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
⦅何にも知らないんだよ! これは一つ、
両人
(
ふたり
)
をいつしよにしてやらなきやならん。先づ第一に馴染みにしてやらなくつちやあ!⦆
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と云いながら、孝助と五郎三郎の手を取って引き寄せますから、
両人
(
ふたり
)
は泣く/\介抱するうちに次第々々に声も細り、苦しき声で
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
語
(
ことば
)
はしばし絶えぬ。
両人
(
ふたり
)
はうっとりとしてただ
相笑
(
あいえ
)
めるのみ。梅の
香
(
か
)
は
細々
(
さいさい
)
として
両人
(
ふたり
)
が
火桶
(
ひおけ
)
を擁して
相対
(
あいむか
)
えるあたりをめぐる。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と
両人
(
ふたり
)
差向いになッた。顔を視合わせるとも無く視合わして、お勢はくすくすと吹出したが、急に真面目になッてちんと澄ます。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
仕方がないからその消えたランプをそこへ置いて、それから
庭園
(
にわ
)
へ踏みだした。砂利が靴の下でざくざく鳴って、篠つく雨が
両人
(
ふたり
)
を叩いた。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ここまで身は
遁
(
のが
)
れ来にけれど、なかなか心安からで、
両人
(
ふたり
)
を
置去
(
おきざり
)
に
為
(
せ
)
し跡は
如何
(
いかに
)
、又我が
為
(
せ
)
んやうは
如何
(
いかに
)
など、彼は打惑へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
両人
(
ふたり
)
していたちこつこして遊すんだ時分のあたしだと思つて、これだけあたしのいふ事を
承
(
き
)
いておくれな、一生のお願ひだわ
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
私はこれから此の
両人
(
ふたり
)
と、両人のお友達だった友子さんと云う人との間にあった事を皆さんに聞いて戴こうとするのです。
いとこ同志
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
こういってあやかりたがるほどの
両人
(
ふたり
)
が容貌も、それに投げつける銭と同じことで、打ち込んでみた時には必ず外される。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
久子さんが吉岡の話をする時の態度から察しても、大分
両人
(
ふたり
)
の間は進んでいるようだ。小田切大使がどうしても二人の恋を許さなかったとしたら?
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
他に今一人あるから
両人
(
ふたり
)
は既にあるのである。今日の場合は部長を欠くということにして、他日殖えた場合に部長を置いたらよろしかろうと思います
幕末維新懐古談:48 会の名のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
とすっきりいった。
両人
(
ふたり
)
は左右に分れたが、そのまま左右から、道の袖を
捉
(
つか
)
まえて、ひしと
縋
(
すが
)
って泣出したのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの時、わしの怒りが半分も軽かったなら、わしはきっと、我を忘れて「不義者
奴
(
め
)
」と叫びさま、茂みを飛出し、彼等
両人
(
ふたり
)
を掴み殺しもしたであろう。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あっしはすぐに、
潮水浸
(
しおびた
)
しになったお
両人
(
ふたり
)
の刀を、大黒宗理の所へ頼んでくれと渡されて、棟梁と別れました」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
両人
(
ふたり
)
の「
花園を護るもの
(
ギャルディアン・ド・ジャルダン
)
」に比べましたら、私の花馬車などは、蘭の前の
菠薐草
(
ほうれんそう
)
のようなものでございます。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
親しき友にも八重との婚儀は改めて
披露
(
ひろう
)
せず。
祝儀
(
しゅうぎ
)
の心配なぞかけまじとてなり。物堅き親戚一同へはわれら
両人
(
ふたり
)
が身分を
省
(
かえり
)
みて無論披露は遠慮致しけり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
四五十分経って下りて来た小歌に、一番にどこの人と聞けば、
横浜
(
はま
)
の方でお
両人
(
ふたり
)
ですと云うにやゝ安心した。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
両人
(
ふたり
)
の間に長い沈黙が続いた。ルパンはあの事件、あの死が喚起した世論を忘るる事が出来なかった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
所が先生非常の熱心家なれど今年の正月からやったのだから僕と
両人
(
ふたり
)
でやったらどんな事に相成り行くか大分心細く候につき音頭取りとして御出が願われますまいか。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
戸や壁の
隙間
(
すきま
)
から冷い風が吹きこんできた。
両人
(
ふたり
)
は十二時近くになって、やっと仕事をよした。
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
小野は新吉と顔を見合って
起
(
た
)
ち上った。他の
両人
(
ふたり
)
も新吉も何ということなし起ち上った。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そういう間柄でありつつも、飽くまで臆病に飽くまで気の小さな
両人
(
ふたり
)
は、
嘗
(
かつ
)
て一度も有意味に手などを採ったことはなかった。しかるに今日は偶然の事から屡手を採り合うに至った。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
両人
(
ふたり
)
で熟く/\相談して来よと云はれた揚句に長者の二人の児の御話し、それで態〻相談に来たが汝も大抵分別は既定めて居るであらう、我も随分虫持ちだが悟つて見れば
彼譬諭
(
あのたとへ
)
の通り
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
呉羽之介は
両人
(
ふたり
)
にそう断って、自分は一人後に残り、隣座敷に入って行きます。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
うむ、いっそ、
両人
(
ふたり
)
帰ってしまおうか。とにわかに首を上げたる綱雄の眼には、優しき光の同時にひらめきしが、
瞬
(
またた
)
く間もなく
本
(
もと
)
に返りて、いや、そうでない。お前はまあいて上げるがいい。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
丁度義雄兄は郷里の方へ出掛けて留守の時であった。節子は叔父の骨の折れるのを見兼ねたかして、子供を呼び起しに来てくれたことがあった。その日から
両人
(
ふたり
)
の間の
縒
(
よ
)
りが戻ってしまった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
相方
(
あいかた
)
を定めて熟睡せしが、深夜と思う時分
不斗
(
ふと
)
目を
覚
(
さま
)
して見ると、一人であるべき筈の
相方
(
あいかた
)
の
娼妓
(
しょうぎ
)
が
両人
(
ふたり
)
になり、しかも左右に
分
(
わか
)
れて
能
(
よ
)
く眠っているのだ、有る
可
(
べ
)
き事とも思われず
吃驚
(
びっくり
)
したが
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
「ジャンダーク」を理想の人とし
露西亜
(
ロシア
)
の虚無党をば
無二
(
むに
)
の味方と心得たる頃なれば、
両人
(
ふたり
)
の
交情
(
あいだ
)
の如何に
他所目
(
よそめ
)
には見ゆるとも、妾の
与
(
あずか
)
り知らざる所、
将
(
は
)
た、知らんとも思わざりし所なりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
此二人の少女は共に
東京電話交換局
(
とうきょうでんわこうくわんきょく
)
の交換手であって、主人の少女は
江藤
(
えとう
)
お
秀
(
ひで
)
という、客の少女は
田川
(
たがわ
)
お
富
(
とみ
)
といい、交換手としては
両人
(
ふたり
)
とも老練の方であるがお秀は局を勤めるようになった以来
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そのまた兄さんは月に酔う人で、或秋の夜に兄弟
両人
(
ふたり
)
して月に浮かれて、隅田川より
葛飾
(
かつしか
)
にわたり、田畑の別なく、ひと夜あるき廻り、暁に至りケロリとして寄宿舎に帰って来たことがありました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
この
両人
(
ふたり
)
が卒然と
交
(
まじわり
)
を
訂
(
てい
)
してから、
傍目
(
はため
)
にも不審と思われるくらい
昵懇
(
じっこん
)
な
間柄
(
あいだがら
)
となった。運命は
大島
(
おおしま
)
の表と
秩父
(
ちちぶ
)
の裏とを縫い合せる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よくも孝助を弓の
折
(
おれ
)
で
打
(
ぶ
)
ったな、それのみならず主人を殺し、
両人
(
ふたり
)
乗込んで飯島の家を
自儘
(
じまゝ
)
にしようと云う
人非人
(
にんぴにん
)
、今こそ思い知ったか
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
却ってこれが間に
介
(
はさ
)
まらねば、余り
両人
(
ふたり
)
の間が接近しすぎて穏さを欠くので、お政は文三等の幸福を成すに
無
(
なく
)
て
叶
(
かな
)
わぬ人物とさえ思われた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そうして
両人
(
ふたり
)
は、人通りの絶えた街を相合傘で歩いていった。フェリシテはこんなところを
他
(
ひと
)
に見て貰えないことを、少し残念にさえ思った。
フェリシテ
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
師匠と
両人
(
ふたり
)
で何んだか情けないような感じがしました。いうまでもなく下金屋がそれらに何んの価値を認めないということで思い附いた仕事でした。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
あの、なんとおっしゃいます? いいえ、とんでもない。どうして私が、見ず知らずのお
両人
(
ふたり
)
さまから、三千法などという大金をちょうだいできましょう。
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
たちまち武男はわれとかの
両人
(
ふたり
)
の間にさらに人ありて建物の影を忍び行くを認めつ。胸は不思議におどりぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
居眠りをしていたか、躄車を動かしてコンクリート管の蔭へ入っていたか、それとも他のものに気を奪われていた隙に、
両人
(
ふたり
)
とも門を出て行ったものであろう。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
斉
(
ひと
)
しく左右へ
退
(
の
)
いて、
呆気
(
あっけ
)
に取られた
連
(
つれ
)
の
両人
(
ふたり
)
を顧みて、
呵々
(
からから
)
と笑ってものをもいわず、
真先
(
まっさき
)
に立って
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが裁判所長も彼の姿を見ると、ひどく狼狽してしまって、一言として辻褄の合った話が出来ず、
両人
(
ふたり
)
とも照れくさくなるような頓珍漢なことを言いだしたものだ。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「大層お早いじゃ御座いませんか。」といいながら
愛雀軒
(
あいじゃくけん
)
という
扁額
(
へんがく
)
を掛けた庭の
柴折戸
(
しおりど
)
を遠慮なく明けて入って来たのは
柳下亭種員
(
りゅうかていたねかず
)
に
笠亭仙果
(
りゅうていせんか
)
と呼ぶ
両人
(
ふたり
)
の門弟である。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
叫んだのは、小次郎であったしまた、その小次郎に、突然、振り飛ばされた
両人
(
ふたり
)
でもあった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両人
(
ふたり
)
は息子の学資に、僅かばかりの財産をいれあげ、苦労のあるだけを尽していた。
老夫婦
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
再び吉川町の
往還
(
おうかん
)
へまぐれ出た時、加賀屋横丁を曲った
両人
(
ふたり
)
連れの女ひとりが、どうやら小歌に
紛
(
まぎ
)
れがないようで、急いで自分もそこを曲ると、その女達は立花屋という
寄席
(
よせ
)
へ這入った。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
お君は日頃に
似気
(
にげ
)
なく争いました。お銀様はほとんど狂気の
体
(
てい
)
で写真を
遣
(
や
)
らじとしました。一枚の写真を争う
両人
(
ふたり
)
は、ほとんど
他目
(
よそめ
)
からは組打ちをしているほどの烈しさで揉み合いました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十五日がこの村の祭で明日は宵祭という
訣故
(
わけゆえ
)
、野の仕事も今日一渡り
極
(
きま
)
りをつけねばならぬ所から、家中手分けをして野へ出ることになった。それで甘露的恩命が僕等
両人
(
ふたり
)
に下ったのである。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
汝は今日の上人様のあのお言葉をなんと聞いたか、
両人
(
ふたり
)
でよくよく相談して来よと云われた揚句に長者の二人の児のお話し、それでわざわざ相談に来たが汝も大抵分別はもう
定
(
き
)
めて居るであろう
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
頭からこの
両人
(
ふたり
)
は過去の
因果
(
いんが
)
で、坑夫になって、銅山のうちに天命を終るべきものと認定しているような
気色
(
けしき
)
がありありと見えた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯うやってお
両人
(
ふたり
)
揃っておいでなさるてえのは誠にお嬉しいことで、よくまアおいでなせえました、丈助がお供で参りましたか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“両人”の意味
《名詞》
対になっている二人。
(出典:Wiktionary)
両
常用漢字
小3
部首:⼀
6画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“両人”で始まる語句
両人共
両人切
両人連