“きじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
雉子35.8%
22.0%
生地19.7%
木地9.4%
記事5.5%
素地2.4%
亀茲0.4%
喜時0.4%
喜路0.4%
布地0.4%
(他:9)3.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ここらは以前は暗いほど樹木が茂って、夜はふくろうの声が物凄く、草原には雉子きじが羽ばたいていたところだったのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
長「贅沢と云やア雉子きじうちたてだの、山鳩やひよどりは江戸じゃア喰えねえ、此間こねえだのア旨かったろう」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふかいひのきの沢には、まだ谷の雪が残っている。その渓谷へ向ってお通は、檜林の急な傾斜を、きじみたいに逃げ下りていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ざまあ見やがれ。きじも鳴かずば撃たれめえ。腕を一本放しちまえば、あとは出血多量で極楽へ急行だよ。じゃあ刑事さん、あばよ」
およそえものの和え方は、女の化粧と同じで、できるだけ生地きじの新鮮味をそこなわないようにしなければならぬ。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかしながら、人生には、ところと、場合と、時とによって、どうしても生地きじのままの面目では押し通せないことがあるのです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし宮内省からお預かりをしている品物は、木地きじとはいえ、大切のものであるから、不慮のことでもあってはとなかなか心配。
木地きじはむろんひのきに相違ないが、赤黒の漆を塗り、金銀か螺鈿らでんかなにかで象嵌ぞうがんをした形跡も充分である。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
何等なにら關係くわんけいはなくとも、かる記事きじんだひと多少たせうこゝろうごかすであらう。
まへ内外ないがい火山かざん巡見じゆんけんした場合ばあひ記事きじかゝげていたが
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あまり濃く紅をつけたり、顔一面に厚く白粉を塗ったがために、せっかくの素地きじがかくれて、まるでお化けのように見えることがあります。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
顔や肌の素地きじ天性うまれつきだから、どんなに磨いたところで、しれていますが、しかし心の化粧は、すればするほど美しくなるのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
そして喜多村翁の所説は、獅子舞は西域の亀茲きじ国の舞楽が、支那の文化とともに、我国に渡来したのであると云う、純乎たる輸入説である。
獅子舞雑考 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
「だから貧時ひんじにはひんばくせられ、富時ふじにはに縛せられ、憂時ゆうじにはゆうに縛せられ、喜時きじにはに縛せられるのさ。才人は才にたおれ、智者は智に敗れ、苦沙弥君のような癇癪持かんしゃくもちは癇癪を利用さえすればすぐに飛び出して敵のぺてんにかかる……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
当人もいよ/\乗気になって、浜町の家元から清元喜路きじ太夫という名前まで貰うことになってしまいました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
頭こそまで禿げて居りませんが、五十五六年配で、山羊やぎ髭で、一番贅沢ぜいたく布地きじを一番無恰好に裁ったといったような、ダブダブの背広に、風呂敷ほどある大きなネクタイ、マドロスパイプを脂下やにさがりにくわえて居ります。
古銭の謎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
その幽霊の顔とともに、夫人の黒髪、びんかきに、当代の名匠が本質きじへ、肉筆で葉を黒漆くろうるし一面に、の一輪椿のくしをさしたのが、したたるばかり色に立って、かえって打仰いだ按摩の化ものの真向まっこうに、一太刀、血を浴びせた趣があった。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
他人あだしひとのいうことをまことしくおぼして、あながちに遠ざけ給わんには、恨みむくいん、紀路きじの山々さばかり高くとも、君が血をもて峰より谷にそそぎくださん」と怪しき声は云った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
が、上れとも云わなければ茶一つ出そうともしない代り、自分も付合って家へ上りもしないでいるのは、一つはお浪の心安立こころやすだてからでもあろうが、やはりまだ大人おとなびぬ田舎娘の素樸きじなところからであろう。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
だが若い妹達に、まだ男の愛を肌地きじのよしあしで品さだめしない娘たちに、はたしてじぶんの夫の愛情のようなものが判るかしらん。
百喩経 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
空の肌質きじはいつの間にか夕日の余燼ほとぼりましてみがいた銅鉄色にえかかっていた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いかに良いと思ふ釉藥を流しかけても、その媒溶劑が適度でなかつたり、又胎土きじが釉藥に親和しなかつたり、火度が適度でなかつたり、窯中に於て器の置き場所が惡かつたりすると、釉と土とが相反撥したり、はぢけたり、釉が剥落したり、完全な釉の發色がない。
やきもの読本 (旧字旧仮名) / 小野賢一郎(著)
自分たちは幼少の頃から、ただもう聖賢の言葉ばかりを暗誦あんしょうさせられて育って来たが、この東洋の誇りの所謂いわゆる「古人の言」は、既に社交の詭辞きじに堕し、憎むべき偽善と愚かな迷信とのみを醞醸うんじょうさせて、その思想の発生当初の面目をいつのまにやら全く喪失してしまっているのだ。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
さてはいよいよ武光という人もありけり、縁起などいうものは多くまこととし難きものなれど、偽り飾れる疑ありてまこととし難しものの端々にかえって信とすべきものの現るる習いなることは、譬えば鍍金めっきせるものの角々に真のきじあらわるるが如しなどおもう折しも、按摩あんま取りの老いたるが入り来りたり。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
万葉集に『沖つ国知らさむ君がやかた黄染きじめの棺神の海門渡る』とあるのは、黄に染めた柩が浪のままに流れて往く水葬の光景を詠じたものである。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)