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わしづか
ふりがな文庫
“
鷲掴
(
わしづか
)” の例文
とグスはしまいには眼に哀願の色さえ
泛
(
うか
)
べて、そのくせ恐ろしい腕力で私の手を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして放さなかった。が、その途端であった。
葛根湯
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
見向きもしないで、山伏は
挫折
(
へしお
)
つた其の
己
(
おの
)
が片脛を
鷲掴
(
わしづか
)
みに、片手で
踵
(
きびす
)
が
穿
(
は
)
いた
板草鞋
(
いたわらじ
)
を
毮
(
むし
)
り
棄
(
す
)
てると、
横銜
(
よこぐわ
)
へに、ばり/\と
齧
(
かじ
)
る……
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
銭形平次の家へ飛込んで来た子分のガラッ八は、
芥子玉絞
(
けしだましぼ
)
りの手拭を
鷲掴
(
わしづか
)
みに
月代
(
さかやき
)
から鼻の頭へかけて
滴
(
したた
)
る汗を拭いております。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう思うと、抑え難い欲望に駆られてしなやかな女の体を、いきなりむずと
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、揺す振って見たくもなった。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
藍微塵
(
あいみじん
)
の
素袷
(
すあわせ
)
に
算盤玉
(
そろばんだま
)
の三
尺
(
じゃく
)
は、
見
(
み
)
るから
堅気
(
かたぎ
)
の
着付
(
きつけ
)
ではなく、
殊
(
こと
)
に
取
(
と
)
った
頬冠
(
ほおかむ
)
りの
手拭
(
てぬぐい
)
を、
鷲掴
(
わしづか
)
みにしたかたちには、
憎
(
にく
)
いまでの
落着
(
おちつき
)
があった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
もうもう
堪
(
こら
)
えきれないという御様子で、
突然
(
いきなり
)
、奉書を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、
寸断々々
(
ずたずた
)
に引裂いて了いました。
啜泣
(
すすりなき
)
の涙は男らしい御顔を流れましたのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
見れば玄竜はもう自分の席に帰って、丁度傍においてあった朝刊を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして顔や首筋をふいているのだった。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
かく応答するかと見ると、自分は汚ない
巾着
(
きんちゃく
)
を出して、手早く鳥目を幾つか並べると共に、茶屋の大福餅を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、むしゃむしゃと頬張りました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
誰ひとり、彼が花壇を飛び越え、花を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、いそいで胸の
肌衣
(
はだぎ
)
の下に
匿
(
かく
)
したのを見たものはなかった。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
頬骨の出た男は片手で南京豆の鑵を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、腰の辺に当てながら、窓から半分
身体
(
からだ
)
を乗り出していた。白髪の老人の方は眼を瞑ってウツラウツラしている。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それからぼくたちは、若い男の手に
鷲掴
(
わしづか
)
みにされ、そしてどこともなく連れていかれた。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
では
御厄介
(
ごやっかい
)
になってすぐに仕事に突っ走ります、と
鷲掴
(
わしづか
)
みにした
手拭
(
てぬぐい
)
で額
拭
(
ふ
)
き拭き勝手の方に立ったかとおもえば、もうざらざらざらっと口の中へ
打
(
ぶ
)
ち込むごとく茶漬飯五六杯
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこまで読むのが精いっぱいだった、全身ぶるぶる震いだしながら、思わずその手紙を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、「ひどい」と呟やく頭上へ、まるで石でも
抛
(
なげ
)
うつように
罵言
(
ばげん
)
が飛んできた。
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
不意に、まるで雪の中から湧いて出たように、三四人の黒い人影が、ばらばらと彼の面前に現われて、粗暴とも不礼ともいいようのないやりかたで、両方から彼の腕を
鷲掴
(
わしづか
)
みにした。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そうして、大いなる
燠
(
おき
)
のひとつを
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、再び弁兆の眼前を立ちふさいだ。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
章一は
鬼魅
(
きみ
)
が悪いので
袴
(
はかま
)
と
羽織
(
はおり
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
みにしてそこを飛びだした。
一握の髪の毛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は目の前の金包を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、経理の後を追った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
途端に、
猿臂
(
えんぴ
)
がぬッくと出て、腕でむずと
鷲掴
(
わしづか
)
み、すらりと開けたが片手
業
(
わざ
)
、
疾
(
はや
)
いこと! ぴっしゃりと
閉
(
しめ
)
ると、路地で泣声。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
富山七之助は、一刀を
鷲掴
(
わしづか
)
みに突っ立ち上って居りました。其辺にマゴマゴする人間を見掛けたら、有無を言わさず叩き斬ったことでしょう。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今も先生が突然世界共通のこの苦笑を
洩
(
も
)
らして、
起
(
た
)
ち上がられると、譜本を
鷲掴
(
わしづか
)
みにしながら、身体を揺すぶって、顔中をしかめていられるのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
後手
(
ごて
)
を食っちゃあ万事おしまい、そこで、七兵衛は手拭を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、すっくと湯壺の中から立ち上りました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、何と思ったか彼女はいきなり帳面を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、ピリピリに引き裂いて、ぽんと床の上へ投げ出したきり、再び
物凄
(
ものすご
)
い
瞳
(
ひとみ
)
を据えて私の顔を穴のあくほど睨めるのです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
喧
(
やかま
)
しいやい。と白き
頸
(
うなじ
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
み、「この阿魔、生意気に人
好
(
ごのみ
)
をしやあがる。
汝
(
うぬ
)
どうしても
肯
(
き
)
かれないか。と
睨附
(
ねめつ
)
くれば、お藤は声を震わして、 ...
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
仏頂寺は、
高師直
(
こうのもろなお
)
が
塩谷
(
えんや
)
の妻からの艶書でも受取った時のように手をわななかせて、その胴巻を
鷲掴
(
わしづか
)
みにすると、両手で
揉
(
も
)
みくちゃにするようなこなしをして
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人目がなかったら私は太子の手を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして押しいただきたいような気持がした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一散
(
いっさん
)
に
遁
(
に
)
げもならず、
立停
(
たちど
)
まった
渠
(
かれ
)
は、馬の尾に油を塗って置いて、
鷲掴
(
わしづか
)
みの
掌
(
たなそこ
)
を
辷
(
すべ
)
り抜けなんだを
口惜
(
くちおし
)
く思ったろう。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは頭髪を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、床上を引き摺られた時に生じたものと覚しく、両頸にも緊縛の
痕
(
あと
)
があり、右手頸及び左脇腹にも、同じく一カ所ずつの擦過傷、同時に左手小指及び
無名指
(
くすりゆび
)
が骨折し
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「やい、
不貞腐
(
ふてくされ
)
。」と車夫の吉造、不意に飛込んで、
婦人
(
おんな
)
の
髻
(
たぶさ
)
鷲掴
(
わしづか
)
みにしてぐいと引けば、顔をしかめて、「あ
痛
(
いつ
)
、つつつつつ」と
拳
(
こぶし
)
に手を懸け、「無体な、何をするんだねえ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その手を私は夢中で
鷲掴
(
わしづか
)
みにした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
みに
持添
(
もちそ
)
へて、
膝
(
ひざ
)
までの
靴足袋
(
くつたび
)
に、
革紐
(
かはひも
)
を
堅
(
かた
)
くかゞつて、
赤靴
(
あかぐつ
)
で、
少々
(
せう/\
)
抜衣紋
(
ぬきえもん
)
に
背筋
(
せすぢ
)
を
膨
(
ふく
)
らまして——
別
(
わか
)
れとなればお
互
(
たがひ
)
に、
峠
(
たふげ
)
の
岐路
(
えだみち
)
に
悄乎
(
しよんぼり
)
と
立
(
た
)
つたのには——
汽車
(
きしや
)
から
溢
(
こぼ
)
れて
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
甚平は手拭を
鷲掴
(
わしづか
)
みで、思わず肩を
聳
(
そびや
)
かした。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鷲
漢検準1級
部首:⿃
23画
掴
漢検準1級
部首:⼿
11画
“鷲”で始まる語句
鷲
鷲鼻
鷲尾
鷲津
鷲鷹
鷲嶺
鷲郎
鷲羽
鷲見
鷲峰山