見當けんたう)” の例文
新字:見当
成程なるほどむしふくろでは大分だいぶ見當けんたうちがひました。……つゞいてあまあついので、餘程よほどばうとしてるやうです。失禮しつれい可厭いやなものツて、なにきます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こたへて、茶色ちやいろのスエエタアをた、まるまるふとつたからだをよちよちさせながら、敏樹としきべつちひさなまりげた。が、見當けんたうはづれて、それはをつとよこへそれてしまつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「八、お前は奉公人達の持物を調べてくれ、見當けんたうは血の附いた着物と、娘のお菊に宛てた手紙だ」
りよはかう見當けんたうけて二人ふたりそばすゝつた。そしてそであはせてうや/\しくれいをして、「朝儀大夫てうぎたいふ使持節しぢせつ台州たいしう主簿しゆぼ上柱國じやうちゆうこく賜緋魚袋しひぎよたい閭丘胤りよきういんまをすものでございます」と名告なのつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
書物しよもつむのはごくわる御座ございます。有體ありていふと、讀書どくしよほど修業しゆげふさまたげになるものはやうです。私共わたくしどもでも、うして碧巖へきがんなどみますが、自分じぶん程度ていど以上いじやうところになると、まる見當けんたうきません。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つりランプ(……あゝひさしいがいまだつてランプなしにはられますか。)それがちやう先生せんせいかたうへ見當けんたうかゝつてた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したんでせう。私には見當けんたうもつきません——世間樣からは評判の良い人ぢやなかつたけれど、私に取つては掛け替のない、たつた一人の父親ですもの、こんなひどいことした者を
子供こどもすこ見當けんたういたらしい樣子やうすで、「はむづかしくてわからないかもれませんが、その寒山かんざんひとだの、それといつしよにゐる拾得じつとくひとだのは、どんなひとでございます」とつた。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
風流自喜偶歩ふうりうおのづからぐうほをよろこぶ、とふので、一六いちろく釜日かまびでえす、とそゝりる。懷中くわいちうには唐詩選たうしせん持參ぢさん見當けんたう世間せけんでは、あれは次男坊じなんばうと、けいしてとほざかつて、御次男ごじなんとさへふくらゐ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
八幡樣はちまんさまうらわたようとおもつて、見當けんたう取違とりちがへて、あちらこちらうらとほるうちに、ざんざりにつてた、ところがね、格子かうしさきへつて、雨宿あまやどりをして、出窓でまどから
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あつさはざつへいうへから二階家にかいや大屋根おほやねそらて、はゞひろさはのくらゐまでみなぎつてるか、ほとん見當けんたうかない、とふうちにも、幾干いくせんともなく、いそぎもせず、おくれもせず、さへぎるものをけながら
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)