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菩提樹
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ぼだいじゅ
ふりがな文庫
“
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)” の例文
棕梠
(
しゅろ
)
、芭蕉、
椰子樹
(
やしじゅ
)
、
檳榔樹
(
びんろうじゅ
)
、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
が重なり合った中に白い
卓子
(
テーブル
)
と
籐椅子
(
とういす
)
が散在している。東京の中央とは思えない静けさである。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わけても「
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
」と「セレナード」と「海辺にて」と「君こそ安らいなれ」と「
焦燥
(
しょうそう
)
」が絶品である(ポリドール、スレザーク愛唱曲集)。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
一本の
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の木がその切り取られた壁の断面の上から枝をひろげており、またポロンソー街の方では壁の上に
蔦
(
つた
)
がいっぱい
絡
(
から
)
みついていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
コートの横手、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の老木のかげにベンチが一脚。それにアルカージナ、ドールン、マーシャがかけている。ドールンの
膝
(
ひざ
)
には、本が開けてある。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
きょうは
灌仏会
(
かんぶつえ
)
の四月八日なので、本堂の中には、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の葉で屋根を
葺
(
ふ
)
き、野の草花で柱を埋めた
花御堂
(
はなみどう
)
ができていた、御堂の中には甘茶をたたえ
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
精進を益々固く守り、彼女にとっては唯一の財宝である
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の実の数珠が、終日その手からはなれなかった。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
甲谷は雨の上った
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の葉影を洩れる
瓦斯燈
(
ガスとう
)
の光りに、宮子の表情を確めながら結婚の話をすすめていった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
部屋へ帰ると窓近い
樫
(
かし
)
の木の花が重い匂いを部屋中にみなぎらせていました。Aは私の知識の中で名と物とが別であった
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
をその窓から教えてくれました。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
其
陸
(
りく
)
の
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の蔭に「死の宗教」の花が咲いた印度の
洋
(
うみ
)
は、
餌
(
え
)
を求めて
饜
(
あ
)
くことを知らぬ死の海である。烈しい
暑
(
あつ
)
さのせいもあろうが、印度洋は人の気を変にする。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その町というのは、大きな
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
や
楓
(
かえで
)
の木のしげった下を流れる、緑の
堤
(
つつみ
)
の小川の岸にありました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
墻壁
(
しょうへき
)
がある。
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
、
椰子
(
やし
)
、
棕櫚
(
しゅろ
)
、雑草など、これを大方
覆
(
おお
)
う。然し樹木の葉末を越して空が可成り広く見透せるので、時刻の推移を空の色の変化で汲み取る事が出来る。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「身は是れ
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
、心は
明鏡台
(
めいけいだい
)
の如し。時々に勤めて
払拭
(
ほっしき
)
せよ。
塵埃
(
じんあい
)
を
惹
(
ひ
)
かしむること
勿
(
なか
)
れ」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
壁に立て掛けてあった
件
(
くだん
)
の細長い袋から、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の杖に
仕込
(
しく
)
んだ、
夜目
(
よめ
)
にもどきどきするような三稜の
細身の剣
(
ラツピエール
)
を抜き出して、コン吉の鼻っ先へ突きつけ、さて「這え!」と
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
悉達多は六年の苦行の後、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
下に
正覚
(
しょうがく
)
に達した。彼の成道の伝説は如何に物質の精神を支配するかを語るものである。彼はまず水浴している。それから
乳糜
(
にゅうび
)
を食している。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
緑
滴
(
したた
)
る眼も遥かな芝生の
彼方此方
(
かなたこなた
)
には
鬱蒼
(
うっそう
)
たる
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
がクッキリした
群青
(
ぐんじょう
)
の空を限って
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
ここの案内をした老年の土人は病気で熱があるとかいってヨロヨロしていたが
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の葉を採ってみんなに一枚ずつ分けてくれた。カンジーにあるという仏足や仏歯の模造がある。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「青春の息の痕」というのは、涙の
痕
(
あと
)
が手紙に残ってるように、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
に若き日にナイフで傷つけた痕がいつまでも残ってるように、青春の苦悩の
溜息
(
ためいき
)
の痕を示すという意味である。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
これはいささか稚気を帯びた。が、にれぜん
河
(
が
)
のほとり、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の蔭に、釈尊にはじめて捧げたものは何であろう。菩薩の壇にビスケットも、あるいは
臘八
(
ろうはち
)
の
粥
(
かゆ
)
に
増
(
まさ
)
ろうも知れない。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭は一町歩か、それとも、もう少し多いくらいの広さであったが、樹木はぐるりにだけ四方の垣根沿いに、幾本かの
林檎
(
りんご
)
の樹と、
楓
(
かえで
)
に
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
、
白樺
(
しらかば
)
が各一本ずつ植えてあるだけであった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
木彫りの
羅漢
(
らかん
)
のように黙々と坐りて、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の実の
珠数
(
ずず
)
繰りながら十兵衛が
埒
(
らち
)
なき述懐に耳を傾け居られし上人、十兵衛が
頭
(
かしら
)
を下ぐるを制しとどめて、わかりました、よく合点が行きました
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鳥
(
とり
)
は
水車小舎
(
すいしゃごや
)
の
前
(
まえ
)
にある
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の
上
(
うえ
)
へ
棲
(
とま
)
って、
歌
(
うた
)
い
出
(
だ
)
しました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
蜜蜂の羽音、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の香り……。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の
梢
(
こづゑ
)
に月のとゞまりて
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
……
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の花のお茶か、イチゴの
蜜
(
みつ
)
のお酒を、ちょいとあがっているうちに、すぐ元どおりになってしまいますよ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
この人の『
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
』に随喜したのはもはや昔の夢になった。英国人臭く、ドイツ・リードを歌う人で決してうまくないが、昔のファンは懐かしかろう。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
お光さんは、相手にならないで、笑いながら墓地の鎖を
跨
(
また
)
いだ。そして、大きな
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の下から振りかえって
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ジャン・ヴァルジャンは
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の枝がさし出てる壁の高さを目分量で計った。約十八尺ばかりの高さだった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
濡れた
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の隙間から、
縞
(
しま
)
を作った瓦斯燈の光りが、春婦たちの皺のよった靴先へ流れていた。すると、その縞の中で、ひと流れの霧が急がしそうに
朦朧
(
もうろう
)
と動き始めた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の下にいつも夜じゅう出しっぱなされている一台の荷馬車の
轅
(
ながえ
)
が、下の窓から庭へさす電燈の光で、白く浮上っている。ブーウ……隣の室で石油焜炉の燃える音がする。
ズラかった信吉
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
天竺
(
てんじく
)
は
仏陀迦耶
(
ぶっだがや
)
なる
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
下に於て、過去、現在、未来、
三世
(
さんぜ
)
の実相を
明
(
あき
)
らめられて、
無上正等正覚
(
むじょうしょうとうしょうがく
)
に
入
(
い
)
らせられた大聖
釈迦牟尼仏
(
しゃかむにぶつ
)
様が「因果応報」と
宣
(
のたも
)
うたのはここの事じゃ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その背後に梢を見せている河岸の
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の夕闇を
細
(
こま
)
かく
刻
(
きざ
)
んだ葉は河上から風が来ると、飛び立つ遠い群鳥のように白い葉裏を見せて、ずっと河下まで風の筋通りにざわめきを見せて行く。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
乗込
(
のりこ
)
んでから、またどうか云う工合で、女たちが二人並ぶか、それを
此方
(
こっち
)
から見る、と云った
風
(
ふう
)
になると、髪の形ばかりでも、
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
か、
石榴
(
ざくろ
)
の花に、女の顔した鳥が、腰掛けた如くに見えて
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
録音のよさのせいか、『女の愛と生涯』よりは輝きがあり、そのうち『
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
』と『死と
乙女
(
おとめ
)
』はビクターの秘曲集に採られているが、ほかにも良いものはある。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「オオ、お上人様が手ずから植えて——やがてあの御堂の両側に伸びてゆく——柳と
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
のようにな」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
壁の上から
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の木と
蔦
(
つた
)
とが見えてるところをみると、中は明らかに庭になってるらしかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
や白樺の老樹が霜で真っ白になった姿には、いかにも
好々爺
(
こうこうや
)
然とした表情があって、糸杉や
棕櫚
(
しゅろ
)
よりもずっと親しみがあり、その傍にいるともう山や海のことを想いたくもない。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ショオベルは
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
一つだけが気に入る歌だというと、シューベルトは、僕は僕の作ったほかのどんな歌よりもこの全部が好きだ、いつか君達も好きになる時が来るだろうよと言った
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の林に、こがね虫の
音
(
ね
)
ずれもない。寒い、寒い、寒い。うつろだ、うつろだ、うつろだ。不気味だ、不気味だ、不気味だ。(間)あらゆる生き物のからだは、灰となって消え失せた。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その樹は、一方に
柳樹
(
りゅうじゅ
)
、一方には
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今さら旧吹込みのスレザークを説くのは、あまりに死児の
齢
(
よわい
)
を
算
(
かぞ
)
うる
類
(
たぐい
)
に堕するだろう。『
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
』でも、『君こそ吾が
憩
(
いこ
)
いなれ』でも、昔のと今のと比べると、まことに今昔の感だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
彼は夜中になるときまって
咳
(
せき
)
が出たので、彼女は彼に
木苺
(
きいちご
)
の汁や
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の花の絞り汁を飲ませたり、オーデコロンをすり込んでやったり、自分のふかふかしたショールでくるんでやったりした。
可愛い女
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
柳
(
やなぎ
)
と
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(セレブリャコーフの肩に接吻する)さ、旦那さま、お寝床へ参りましょう。……さあさあ、参りましょう。……
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の花のお茶を、入れて差上げましょう、おみ足を
温
(
ぬく
)
めて差上げましょう。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
」を作り、「
鱒
(
ます
)
の五重奏曲」を作り、「アヴェ・マリア」や「魔王」を作った、フランツ・シューベルトこそは、いつの世にも我らの身近に生きつつある、万人の心の友であったと言って
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それとも庭の
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の蔭の方がいいかな。……とにかくとても暑い。……小っぽけな男の
児
(
こ
)
や女の児たちが、自分の身のぐるりを
這
(
は
)
い
廻
(
まわ
)
りながら、砂を掘ったり草のなかの
飄虫
(
てんとうむし
)
を捕まえたりしている。
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
菩提樹
(
ぼだいじゅ
)
の林に、こがね虫の音ずれもない
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
“菩提樹”の意味
《名詞》
菩提樹 (ぼだいじゅ、ぼだいず)
(ぼだいじゅ、ぼだいず)天竺菩提樹の別称。
(ぼだいじゅ)アオイ目アオイ科シナノキ属に属する落葉樹の一種。学名:Tilia miqueliana。
(ぼだいじゅ)禅宗における悟り。
(ぼだいず)天竺菩提樹の実。菩提子。
(出典:Wiktionary)
菩
漢検準1級
部首:⾋
11画
提
常用漢字
小5
部首:⼿
12画
樹
常用漢字
小6
部首:⽊
16画
“菩提樹”で始まる語句
菩提樹下
菩提樹皮
菩提樹林
菩提樹の城