それも、これまでのような自動車旅行ではなく、謎と臆測と暗黒のうちにうずもれている、前人未踏の神秘境を指しているのだ。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
これまでは推理や臆測の長い道程を経て到達したことを、今では直覚的に認識する。哲学が作り上げたものを、僕は現実的に把握したのです。
紅い花 (新字新仮名) / フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン(著)
もっとはなはだしいのになると、家茂公は筆の中に仕込んだ毒でお隠れになったのだと言って、そんな臆測をさも本当の事のように言い触らすものもある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「年月に添って侮るなどとは、あなた御自身がそうでいらっしゃるから、私のことまでも臆測なさるのよ」
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
ウォーソン夫人の黒猫 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
女性の要求から創り出された文化が、これまでの文化と同一内容を持つだろうか、持たぬだろうか、それは男性たる私が如何に努力しても、臆測することが出来ない。
話はくだらないことだけれど、それがためにどんな臆測をされるかわからないからな。
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
私はただ次ぎのように臆測するばかりだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記―― (新字新仮名) / 金子ふみ子(著)
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太政大臣は今日もまた以前のように内大臣へ譲ることが何かあったのではないかなどという臆測をした。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
新・平家物語:02 ちげぐさの巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武州公秘話:01 武州公秘話 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そうかといって今のままで境遇を変えずにいることはいやなことではないが、源氏の恋から離れて、世間の臆測したことが真実でなかったと人に知らせる機会というものの得られないのは苦しい。
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、この二人のみは、なぜ先頃、信長が戦わずに美濃境から帰って来てしまったか? ——などという愚かな暇つぶしの臆測ばなしなどはしなかった。犬千代には分っていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)