美少年びせうねん)” の例文
若旦那わかだんなも、あきれてつこと半時はんときばかり。こゑ一言ひとこともまだないうちに、かすみいろづくごとくにして、少女せうぢよたちま美少年びせうねんかはつたのである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
駿河臺するがだい紅梅町こうばいちやうにそのほる明治めいぢ功臣こうしん竹村子爵たけむらししやくとの尊稱そんしよう千軍万馬せんぐんまんばのうちにふくみし、つぼみのはなひらけるにや、それ次男じなんみどりとて才識さいしきらびそなはる美少年びせうねん
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日出雄少年ひでをせうねんわたくしかほ見詰みつめて『おや/\、叔父おぢさんは何時いつにか、黒奴くろんぼになつてしまつてよ。』と自分じぶんかほ自分じぶんにはえず、昨日きのふ美少年びせうねんも、いまけ、潮風しほかぜかれて
しかるに全校ぜんかう人氣にんき校長かうちやう教員けうゐんはじ何百なんびやく生徒せいと人氣にんきは、温順おとなしい志村しむらかたむいてる、志村しむらいろしろ柔和にうわな、をんなにしてたいやうな少年せうねん自分じぶん美少年びせうねんではあつたが、亂暴らんばう傲慢がうまん
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
をとこすそ見出みだししかば、ものをもはず一嘴ひとくちばし引咬ひつくはへてばせば、美少年びせうねんはもんどりつて、天上てんじやう舞上まひあがり、雲雀ひばり姿すがたもなかりしとぞ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かきごしにさしいだ團扇うちわとらんとあぐればはづかしゝ美少年びせうねんかんとする團扇うちわさき一寸ちよつおさへて、おもひにもゆるはほたるばかりとおぼすかとあやしの一言ひとこと暫時しばし糸子いとこわれかひと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
詰寄つめよる。若旦那わかだんなを、美少年びせうねんはうからむかへるやうに、じつとにぎる、とさきからゆきつて、ふたゝ白衣びやくい美女びぢよかはつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
若旦那わかだんな氣疲きつかれ、魂倦こんつかれ、ばうとしてもつけられず。美少年びせうねんけたあとを、夫婦ふうふ相對あひたいして見合みあはせて、いづれも羞恥しうちへず差俯向さしうつむく。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つゞいて一人ひとり美少年びせうねん何處いづこよりちたりけん、華嚴けごんたきそこけて、いはかけら藻屑もくづとともに、くもよりちつとおぼしきが、たすけをぶか諸手もろてげて、眞俯向まうつむけにながしが、あはよくいはとゞまりて
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)