糾合きゅうごう)” の例文
また管仲かんちゅうは、斉の桓公かんこうをたすけて諸侯を糾合きゅうごうしましたが、その身は陪臣ばいしんでありながら、その富は列国の君主にまさっておりました。
こうして、すでに長蛇ちょうだを逸し去った曹操は、ぜひなく途中に軍の行動を停止して、各地に散開した追撃軍を漢水のほとり糾合きゅうごうしたが
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間部詮勝まなべあきかつ要撃ようげきのため、同志を糾合きゅうごうし、京に入らんとし、その父、叔父、兄に向って訣別の書を作りしは、同十一月六日なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
糾合きゅうごうしているのかもわからない。あいつは、僕に軽蔑されていることを知っているんだ。復讐心が強いそうだからなあ、犬は
それやこれやで家の中ばかりの芝居は面白くなくなった、そこで手塚は同志を糾合きゅうごうして少年劇をやろうと考えた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
興味と同情を持つ作家を糾合きゅうごうして捕物小説の生みの親なる、岡本綺堂先生を記念するため、その作中の主人公半七の名を刻んだ「半七塚」を浅草に建立し
猫よりはいつのにか人間の方へ接近して来たような心持になって、同族を糾合きゅうごうして二本足の先生と雌雄しゆうを決しようなどとう量見は昨今のところ毛頭もうとうない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それも烏江うこうを渡って、江東の健児を糾合きゅうごうして、再び中原ちゅうげんの鹿を争った後でなら、仕方がないですよ。が、そうじゃない。立派に生きられる所を、死んでいるです。
英雄の器 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
伊豆国の流人るにん頼朝はわしの見るところ、兵家の棟梁とうりょうたる人物、また天下の源氏を糾合きゅうごうするに足る材じゃ。
当時決死けっしの士を糾合きゅうごうして北海の一隅いちぐうに苦戦を戦い、北風きそわずしてついに降参こうさんしたるは是非ぜひなき次第しだいなれども、脱走だっそうの諸士は最初より氏を首領しゅりょうとしてこれをたの
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
女役者として巍然ぎぜんと男優をも撞着どうちゃくせしめた技量をもって、小さくとも三崎座に同志を糾合きゅうごうし、後にはある一派の新劇に文士劇に、なくてならないお師匠番として
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もし漢青年が今日こんにちのように切迫せっぱくした時局を知ったなら、彼はどころ故山こざんに帰り、揚子江ようすこう銭塘口せんとうこうとの下流一帯を糾合きゅうごうして、一千年前のの王国を興したことだろう。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、山科の大石のもとへも立ち寄らず、大阪の原総右衛門、京の大高源吾など上方かみがたの急進派を糾合きゅうごうして、大石の一派とは別に、自分たちだけで大事を決行しようと計った。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
私はひそかに、それが現下の問題となっている普通選挙の要求と関連して、女子の参政権をも認容した普通選挙運動の目標の下に、全国の婦人団体を糾合きゅうごうされることであろうと期待していました。
新婦人協会の請願運動 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
国事寄人こくじよりうどとして活動していた侍従中山忠光ただみつは官位を朝廷に返上し、長州に脱走して毛利真斎もうりしんさいと称し、志士を糾合きゅうごうして鳳輦ほうれんを途中に奪い奉る計画があるというような、そんな風説も伝わったとある。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この定家の略歴に見てもわかるように、後鳥羽院が御譲位になると、急に和歌についての中心が生れるのであって、新古今時代の歌人を糾合きゅうごうされたのは、全く院のお力であることが判るのである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
大いに南をはからんといい、自分は徒手空拳としゅくうけんをもって、天下の新人を糾合きゅうごうし、時代の革新を策さんといい、大いに笑ったこともあったが
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼ら颺言ようげんして曰く、「むなくんば同志三十余人を糾合きゅうごうし、毛利家参府の駕を伏見に要し、三条、大原の諸公卿と周旋しゅうせんし、京師に入りて事をはからん」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
このとき、私のために立ってくれたのが、A君である。A君は、ただちに同志を糾合きゅうごうして、ストライキを計った。全学級の大騒ぎになった。私は、恐怖のためにわなわな震えていた。
酒ぎらい (新字新仮名) / 太宰治(著)
そのうちの四名は慎吾についている藩士だったが、あとの多くの若侍は、何かの場合の備えというつもりで、慎吾が糾合きゅうごうしたものらしい。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは欧洲において、同志を糾合きゅうごうして、「少年欧羅巴ヨーロッパ」党を組織し、あるいは本国において、蜂起者ほうきしゃを募り、以て恢復の途をらき、その画策かくさくの神秘、大胆、危険、雄放なる
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
僕はまた後で、ほかに同志を糾合きゅうごうするから。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ひとたび、高坂弾正が、信玄味方の信濃衆を糾合きゅうごうして、同時に、その城戸きどを開いて襲いかかって来るならば——事、決して容易ではない。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとまず退いて、あくまで清洲城と三法師をようし、秀吉の非を鳴らして、諸侯を糾合きゅうごうしてから堂々とそれに当るのも一つの対策。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(たとえ、勝家のてつをふむまでも、まだ無傷の兵力と、残余の柴田党を糾合きゅうごうして、抗戦を長びかせば、そのうちに、四囲の変化も起ろう)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三国山脈の一端まで逃げおわせれば、四顧、いずれへ出るも国々はあり、隠るるすべもあり、なおお味方を糾合きゅうごうし、御再起の便りもつきましょう
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にわかに、さっとかえした丁奉軍は、を鳴らして、味方を糾合きゅうごうし、追い疲れた牛金軍五百を袋の中の鼠としてしまった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それというのも、正成の出陣までに揃う予定数だった領下の諸武士が、意外に集まりがわるく、その糾合きゅうごうに手間どっていたためにほかならない。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも趙雲子龍や関興、張苞などの輩は、帝が城に入るのを見とどけると敗軍の味方を糾合きゅうごうすべく、すぐ城外からもとの路へ引き返していた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(汝、国を憂い、南陽諸道の軍馬を糾合きゅうごうして、日を期し、長安に出るあらば、朕また鸞駕らんがを備えて長安へむかい、相会してともに孔明をやぶらん)
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この情報をえた正成は、どこからか姿を郷里にあらわして、近郷にひそむ残党を糾合きゅうごうし、弟の正季に一計をさずけ
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陣を石浜(青梅線の多摩川原)に移して、甲州、相模、武蔵の兵をさらに糾合きゅうごうした。そして次の戦略を慎重にした。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なお糾合きゅうごうすれば、伊賀から随身して来た野武士で、今は転業している者など、十名以上はすぐ狩りあつめられよう。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大刀どす大刀どすの中から昼間の闘鶏師とりしの声がする。仲間を糾合きゅうごうしてきたと見えて、台所の戸も途端にはずれていた。蚊帳かやの吊り手が落ちる、今戸焼の釜が砕ける。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつ彼が、兵を糾合きゅうごうして、報復に出てくるか分らないし、何よりは、筑波羽鳥の自分の留守が、不安になった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伏見城では、新政策や武家制度を組んでいるが、この大坂城では、人材を糾合きゅうごうして、牢人軍を組織しているらしかった。もとよりそれは、公然とではないが。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(官兵衛が帰って来たからは、必ずや姫路の城にって、父宗円の兵力と、近郷の味方を糾合きゅうごうし、一面、浮田家にも助力を求めて、この御着を攻めるだろう)
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
糾合きゅうごうしたッてわけさ。トム公、おまえ、いくら歯ぎしりしたッて、そんなどじじゃ仕返しはできやしないよ
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さてはとあわてて兵馬を糾合きゅうごうし、劉封自身、追手となって急追したが、時すでに遅しで、むなしく帰ってきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家の子郎党の糾合きゅうごうなどに手間取るものは、急いであとより追ッかけて来い。——さくの留守には、南部師行もろゆき冷泉れいぜい家行らを残す。——あとはすべてわしにつづけ。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よく分りませぬが、龍泉りゅうせんの郎党はもとより、日ごろ語ろうていた附近の若者ばらも糾合きゅうごうし、かつは中院ちゅういん雑掌俊秀ざっしょうとしひでも、けさから姿を失せたといわれております」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここ厩橋城を本拠として、房総ぼうそうの小国を糾合きゅうごうし、彼の小田原攻略の大策は、いまその半途にかかりつつ、明けて永禄四年の新春を、この城中に迎えたわけであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紫紐むらさきひも丹三たんぞう、赤星重兵衛じゅうべえなどと、第二の緑林りょくりんの徒を糾合きゅうごうして、東海に白浪の悪名をほしいままにしたのは、それから彼が二十九歳に刑刀をうけるまでのたん生涯の話で
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
民衆に檄を伝えて街頭から義兵を糾合きゅうごうするつもりで、大いに活躍していたが、たちまちこれへ殺到した夏侯惇の大軍に出会うや、ひとたまりもなく剿滅そうめつされ、吉邈も吉穆きつぼく
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殊に、この弔合戦とむらいがっせんの主唱者が明確に秀吉であり、その糾合きゅうごうに応じて立った以上、今となって
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちかく出師すいしせんとする柴田しばたがたの滝川征伐せいばつ、その兵を糾合きゅうごうする諸大名しょだいみょうへの檄文げきぶんであるらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泰山たいざんの強盗群、孫観そんかん呉敦ごとん尹礼いんれい昌豨しょうきなどの賊将が手下のあぶれ者、三万余を糾合きゅうごうして
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして伊勢に、北畠親房、河内和泉には、四条隆資たかすけと、それぞれの地に、それぞれな宮方の驍将ぎょうしょうがたたかっている。あるいは、四隣しりんの兵を糾合きゅうごうして、次の地盤をつくりつつある。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一揆いっき煽動せんどうしておいて、北からは浅井、朝倉の兵を呼び、南からは長嶋の一向宗徒を糾合きゅうごうし、石山本願寺の門徒兵や、叡山や、また畿内きないの三好、その他の残党もあつめ、一挙に
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これらが蛮国王孟獲もうかくの打ち揚げた狼煙のろしによって、久しぶりに大きな刺戟を得、諸邦から軍勢をひきつれて、続々と糾合きゅうごうに応じ、たちまち雲霞うんかのごとき大軍団を成したのであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)