“笏:しゃく” の例文
“笏:しゃく”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治5
泉鏡花5
ヴィクトル・ユゴー4
中里介山2
柳田国男2
“笏:しゃく”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語11.5%
文学 > 中国文学 > 小説 物語1.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
新任された開拓監事兼陸軍中佐の堀盛は、ゆるやかなきぬれの音をひびかせてしゃくを、ふりまわしながらやって来た。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
一人は年頃四十あまりと覚える人の、唐綾からあやの装束にかんむりを着けたのが、しゃくを取り直して佛壇に坐している。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
従七位は、白痴ばかの毒気を避けるがごとく、しゃくを廻して、二つ三つ這奴しゃつの鼻のささを払いながら、
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤熱した鉄の玉座にすわり、赤熱した鉄の冠を額にいただき、赤熱した鉄の王国を甘諾し、赤熱した鉄のしゃくを執る。
王の側に緑袍りょくほうを著てしゃくを持った者が坐っていた。緑袍の男はこれを聞くと、王の方へ向って言った。
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ときおり向うの庇の間から、頭の君と道綱とが小声で取交わしている話し声にまじって、しゃくに扇の打ちあたる音が微かに聞えてくる。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
一位と呼ぶ赤みがかった木理きめの美しい木を材料とするもので、今まではこれでよくしゃくが作られました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かんぬしが脂下やにさがったという体裁、しゃくの形の能代塗のしろぬりの箱を一個ひとつてのひらに据えて、ト上目づかいに差出した。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、清忠が、玉座へむかって、しゃくを正しかけたときである。後醍醐のおひざも、すっと同時にお立ちになった様子が、の下からうかがわれた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「足許はやみじゃが、のう。」としおれた肩して膝ばかり、きちんと正しい扇をしゃく
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
烏帽子直垂の道庵先生は、こうして立ち上り、向き直ってしゃくを以て群集をさしまねきながら、
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
町を去る三十五里の西高峯は眼の前にあり、しゃくを執る朝臣ちょうしんの如く真黒に頑張って、その周囲にギラギラとした白光は途方もなく拡がっていた。
白光 (新字新仮名) / 魯迅(著)
左右に童子を随えて、しゃくを捧げて立たせたまう、あの聡明と威厳を備えた御影である。
杓子はこれを要するに主婦のスタッフ、大臣・大納言だいなごんなどのしゃくに該当し、また楽長の指揮棒のごときもので、すなわち家刀自の権力のしるしであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
玄明は、かんむりをかぶり、しゃくを、装束の襟にさし、両手に、榊を捧げている。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると閻魔大王は、持っていた鉄のしゃくを挙げて、顔中のひげを逆立てながら、
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その夜の旅寝の夢の中に、彼は正式の装束しょうぞくを着けた正香が来て、手にする白木しらきしゃくで自分を打つと見て、涙をそそぎ、すすり泣いて目をさました。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あなたは衣冠束帯で手にしゃくを持ち、からだぜんたいから金色の光を放っていた。
もし光栄にして剣のしゃくのうちに存するならば、帝国は光栄そのものであった。
その手に彼は専制君主の力を示すしゃくというべきむちをふりかざしていた。
という顔色がんしょくで、竹の鞭を、トしゃくに取って、さきを握って捻向ねじむきながら、帽子の下に暗い額で、髯の白いに、金があらわ北叟笑ほくそえみ
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
フランシスはやがて自分のまとったマントや手に持つしゃくに気がつくと、はじめて今までふけっていた歓楽の想出おもいでの糸口が見つかったように苦笑いをした。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
芸術はばらを捲いたしゃくを、この都の上にさしのべて、ほほえんでいる。
神の剣 (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
と半ばつぶやき呟き、さっと巻袖のしゃくを上げつつ、とこう、石の鳥居の彼方かなたなる、高き帆柱のごとき旗棹はたざおの空を仰ぎながら、カタリカタリと足駄を踏んで
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その快活は火薬でできており、その滑稽は帝王のしゃくを保っている。
「何をするんだ、ばかなッ、わしはしゃくを持っている木像じゃない」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、この神主は一癖も二癖もありげで、ただ宮居の中に納まっているのみでなく、しゃくを振って手下の者を差図し、奉納の鏡餅は鏡餅、お賽銭はお賽銭でうやうやしげに処分をさせる。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それが、趣向の眼目とみえ、彼女は、高貴な神の使わしのような化粧と扮装をし、しゃくを胸にあてて、眼をとじたまま、息をしているのか否かも分らないほど、肉感のない形相をしていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(扇をしゃくに)それ、山伏と言っぱ山伏なり。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「このごろの御大身と来たら、やくざが錦を着たようなものさ。どうせ婆娑羅者ばさらものなら、しゃくも刀も持たない無頼漢ならずもののほうが、いっそどれほど可愛いか知れないじゃないの」
盆と正月の十六日には、閻魔堂の格子が開いて、がらんとした暗い堂の正面に、朱顔に金の眼を光らせ、赤い口をかっと開いて、しゃくを持っていきり立った閻魔大王の姿を、しみ/″\と眺める事が出来るのだ。
四谷、赤坂 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
十日ほど経って、王様は国を巡邏じゅんらされて、どこもかしこも、自分と同じ者ばかりで、もう一言の悪口も聞かれないのに、すっかり満足させられて、思わず王しゃくを振りあげながら、万歳! と叫ばれた。
地は饒なり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
と、しゃくを正して、奏上していた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しゃくくるまは持ちて行け、
ことに目にたつのは正月の十五日前で、これを子どもが持つと、ちょうど神主かんぬしさんのしゃく扇子せんすと同じく、彼らの言葉と行ないに或る威力がある、というふう昔者むかしものは今も感じている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ジェレミヤス(Johannes Jeremias)の説に拠れば、シャマシュがその右手に持っているのは石筆で、智の表象であり、左手に持っている円形の物は時または年の表象であるといい、またグリムは、右手の長き物はしゃくで、左手の円き物は輪であると言うておる。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
百合ゆりの花を冠した国王のしゃくはあった、地球を上にのせた皇帝の笏はあった、鉄でできたシャールマーニュ大帝の笏はあった、黄金でできたルイ大王の笏はあった、けれども革命は、親指と人差し指とで、一文のねうちもない藁屑わらくずのようにそれらをへし折ってしまった。
植通も泉州の堺、——これは富商のいた処である、あるいはまた西方諸国に流浪し、むこ十川そごう(十川一存かずまさの一系だろうか)を見放つまいとして、搢紳しんしんの身ながらにしゃくや筆をいて弓箭ゆみややり太刀たちを取って武勇の沙汰にも及んだということである。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「僕は別に今の政府を憎みはしない。それは綿の帽子で和らげた王冠だ。先が雨傘あまがさになってる王笏おうしゃくだ。実際今日のような天気では、僕はこう思うんだ。ルイ・フィリップはその王位を利用することができる。すなわちしゃくの方を人民に差し伸べ、雨傘あまがさの方を空に開くことだ。」
華美を極めた晴着の上に定紋じょうもんをうった蝦茶えびちゃのマントを着て、飲み仲間の主権者たる事を現わすしゃくを右手に握った様子は、ほかの青年たちにまさった無頼ぶらいの風俗だったが、その顔はせ衰えて物凄いほど青く、眼は足もとから二、三間さきの石畳をあなのあくほど見入ったまままたたきもしなかった。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
それよりも大切なことは、祭壇があれば、祭主がなければならないことですが、御安心なさい、烏帽子えぼし直垂ひたたれでいちいのしゃくを手に取り持った祭主殿が、最初から、あちら向きにひとり坐って神妙に控えてござる——さてまた祭主と祭壇の周囲には当然、それに介添かいぞえ、その世話人といったようなものもなければならぬ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)